日向倶楽部世界旅行編第71話「決闘を望むもの」

三隈グループ @Mikuma_company

「来たぜレオン、俺たちの相手だ！」 「やり方はいつも通り、決闘式(デュエル・フォーメーション)だなハルト！」 二人は風を切って進み、最上達へと突撃する。 彼等は共に真の騎士を目指す心友、互いの動きは熟知していた。これ以上の言葉は必要なかった。 〜〜

三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 「私は白百合のリリィレオン！白百合の純白に誓い、決闘を申し込むッ！」 「俺は黒薔薇のローズハルトッ！黒薔薇の漆黒に懸け、いざ尋常にッ！」 騎士を捉えた最上達に、彼等からの宣戦布告がなされる。芝居掛かったその言葉に、最上は思わず笑ってしまう。

三隈グループ @Mikuma_company

「はははっ…騎士道精神って奴なのかな、ああいうの」 顔は笑っていたが、最上の返礼は冷たい。彼女は有無を言わさず瑞雲を放ち、牽制に主砲をぶっ放した！ 「足柄さん、行きましょう！」 「……ええ」 最上に促され、足柄も砲撃と共に一気に攻勢をかける。

三隈グループ @Mikuma_company

「どうやら、決闘には応じてくれなさそうですね」 飛来する瑞雲を前にリリィレオンが軽く笑うと、ローズハルトは不敵な笑みを浮かべる。 「なら、決闘に持ち込むまでだな！」 ハルトの威勢にレオンも応える 「その通りだよハルト！相手は集中攻撃を狙うはず、離れるなよ！」 「任せろレオン！」

三隈グループ @Mikuma_company

彼等はそう言い合うと、近い距離で守りを固めながら前進する。最上はそれを見て、瑞雲を操作しつつ目を細めた。 (なんとなく、作戦は見切られてるみたいだな) 相手が取ったのは、集中攻撃を予想して足並みを揃えた守りの陣形。これに対し最上は、足柄と共に挟撃にかかる。

三隈グループ @Mikuma_company

足柄とコミュニケーションは取っていないが、自然と立ち位置は挟み撃ちの形を取った。 (流石足柄さんだな…合わせやすい) 砲撃を開始した足柄を見て、最上も同じく攻撃を始める。瑞雲の攻撃、二人の砲撃、三方からの同時攻撃がリリィレオンを襲う！ 戦闘が始まった！

三隈グループ @Mikuma_company

「レオンッ！狙いはお前みたいだぜ！」 ローズハルトは小手先から機銃を放ち、瑞雲を迎え撃って言った。 「その様だなハルト！まずは動き易い私を潰そうというわけか！」 リリィレオンも砲撃を避けつつ、盾に仕込まれた機銃で瑞雲を落とし、防戦に徹しながら応える。

三隈グループ @Mikuma_company

二人は猛攻を凌ぎつつ言葉を交わす。 「レオン！この決闘、どちらに申し込む！？」 「私は盾の艦娘に申し込もう！」 「なら俺は爪の艦娘に、決闘を申し込むッ！」 彼等はそう言うと、背中合わせに守りを固めた。最上達はそこへ攻撃を続けるが、彼等の守りは見た目以上に強固である！

三隈グループ @Mikuma_company

「もう少し詰めないと厳しいか…！」 最上は苦い顔をしつつ攻撃を続ける。守りに徹した彼等は、最上の想像を超える回避能力を発揮していた。今もかなり近い距離で交戦していたが、より詰めなければ打撃は与えられないだろう。

三隈グループ @Mikuma_company

無論、接近にリスクがある事は最上も理解していた。防御に徹し、痺れを切らして近付いたところで攻勢に出る…所謂兵糧攻めの様な事を行おうとしている可能性は大いにあった。 しかしそんな事で日和っていては、ますますジリ貧となる。リスクを負ってでも勝負に出る必要があった。

三隈グループ @Mikuma_company

「足柄さん」 「分かってるわ、ここが勝負所になる…」 最上の通信に、足柄は彼女と同様の方針で答える。二人は互いの意思を疎通すると、主砲を構え、機を伺う。攻勢は維持しつつ、悟られぬ様に。 「アクセルパッチ…動いてるな、問題ない」 最上は万全の体制を取り、その時を待つ。

三隈グループ @Mikuma_company

そして両チームの立ち位置が変わり、レオンとハルトの距離が一瞬大きく離れた、その瞬間が訪れた。 「ここだッ！」 最上は一気に加速、リリィレオンへと突撃する！だがそれと同時、リリィレオンも急激な加速！最上との距離を一気に詰めた！

三隈グループ @Mikuma_company

「ハルト！爪の艦娘は任せる！」 「おう、任されたぜ！」 最上とレオンが距離を詰めれば、狙い通り決闘が始まる！二人は背中合わせに離れた！ 「白百合のリリィレオン、参るッ！」 迫り来る最上の砲撃を避け、瑞雲の攻撃を盾で弾き、レオンは最上に突撃する！

三隈グループ @Mikuma_company

しかし！最上は突如方向を転換、レオンとの間合いを取った！だがレオンにとってそれは今更、二人は最早決闘の間合いにあった！ 「行きますよ！」 その時だった！ 「レオンッ！後ろだ！」 「何ッ！？」 ハルトの声にレオンが振り向いた瞬間！ 「貰ったァッ！」 彼の目と鼻の先に、足柄が現れた！

三隈グループ @Mikuma_company

レオンの前に現れたそれは、アポロ∞により加速し強襲する、爆速の足柄！ 「速いッ！？」 高速で迫りつつ砲撃する足柄に、レオンは素早く盾を構える！弾丸は狂いなく全て盾に命中、高速下でも足柄が正確な狙いである事を存分に示す！しかし足柄の攻撃は、それだけで終わらない！

三隈グループ @Mikuma_company

砲撃が防がれた事を確認すると、彼女は赤熱化した灰狼爪を構え、防戦一辺倒のリリィレオンに襲い掛かる！文字に表せば長い、だがこの間、コンマ一秒を下回る世界！ 「そこよッ！」 「クッ！」 振り抜かれる恐ろしい爪を、レオンは剣でなんとか防ぐ。

三隈グループ @Mikuma_company

防ぐのだが！高速で迫り、打ち込んで来た足柄にはパワーがある！彼は衝撃にバランスを崩しそうになりながら後方へ押される！ そこへ追撃！足柄の追撃！二手目、三手目の狼爪が襲い掛かった！彼は盾で必死の防御、スレスレでなんとか耐える。半端な艦娘では初撃の前に落ちる、彼はよくやっている！

三隈グループ @Mikuma_company

しかし彼の頑張りも、容赦の無い攻勢に崩れつつある！ 「っ…！」 爪の攻撃をなんとか凌いでいた彼の背後から、今度は最上が砲撃を加える！彼のマントが弾け飛んだ！ 「やっぱり反応装甲か、ならもう一撃！」 最上は瞬時に狙いを定め直し、撃つ！足柄も爪を、振り下ろす！

三隈グループ @Mikuma_company

が！ 「…ッ！」 足柄は背後からの気配に気付き、トドメは最上に任せて素早く離脱した！ 「レオン、行けっ！」 気配の正体はローズハルト！辛うじて足柄に追いついた彼は、牽制射を繰り返しながらハルバードを振り下ろす！ 「すまない、ハルトッ！」

三隈グループ @Mikuma_company

その一瞬が、友の作ったわずかな隙が、リリィレオンにとっての蜘蛛の糸！ 「一対一ならッ！」 隙を見逃さず、彼は身を翻して最上へと突っ込む！転換の隙は盾で潰した、彼は被弾する事なく一気に距離を詰める！

三隈グループ @Mikuma_company

これに対し、最上は甲板と主砲で迎撃の構え！リリィレオンの盾に仕込まれた主砲は火力不足、守りを固めた迎撃はあまりに正しい判断！正しいが！ 「そこだッ！」 その手を崩す一手を、レオンは持っている！彼は一瞬だけ猛烈な勢いで加速し、最上へと切り込んだ！

三隈グループ @Mikuma_company

「向こうもあるのか、こういう加速！」 最上は咄嗟にガードの構え、そして主砲で迎撃！奇襲に対し的確な判断、彼女は振り抜かれたリリィレオンの剣を弾き、主砲を撃ち込む！弾丸は盾で防がれず、レオンの鎧に直撃！鎧の表層が弾け飛んだ！ (盾を使わなかった…捨て身か！？)

三隈グループ @Mikuma_company

最上は訝しみつつも、接近している状況を好まず距離を取ろうとする。リリィレオンの鎧は予想以上に強固、接近しての殴り合いは最上に不利がつく！ しかしリリィレオン、これに食らいつく！最上が速度を上げても、彼は距離を保って追いついてくる！ 「速い…ここまで速いのか！？」

三隈グループ @Mikuma_company

彼女は主砲を撃ちつつレオンを追い払おうとする。しかし出来ない、距離が、離れない！ その理由に、最上はすぐ気が付いた！ 「…ッ！？なんだこれッ！？」 最上は自身の艤装から伸びる、一本のワイヤーを発見した！そのワイヤーの伸びる先は！ 「リリィ・ベッド(百合の花壇)…決闘の舞台！」

三隈グループ @Mikuma_company

リリィレオンの艤装！最上はレオンと、一本のワイヤーで繋ぎ止められていた！ 「あの時か…！こんなもの！」 最上はそのワイヤーを主砲でぶっ飛ばそうとする。だがリリィレオンはそれを止めた！ 「そのワイヤーを切るのはやめておいた方が良い！」 「何！？」