【英霊剣豪201x番勝負】　第十二節

劉度 @arther456

突き出された刀を、身を捩って避ける。その刃が、信綱の頸動脈に押し当てられた。「覚えたぞ」フツヌシは刀を引き――。「ッ！？」動かない。信綱が手首と肘の関節を抑えていた。「新陰流、無刀取り」関節が極められ、フツヌシの意志とは無関係に、手が刀を手放した。21

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「おのれぇっ！」巨大刀が唸る。その刃がたどり着く前に、信綱はフツヌシの腕に刺さったままの刀を握った。止められた斬撃が、再び動く。フツヌシの宿業を、信綱の剣が両断した。「剣神、討ち取ったり」22

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次の瞬間、フツヌシの体から青白い炎が吹き出した！「ぬうっ！？」たまらず、信綱は距離を取る！「やったのか！？」「何あれ！？」周りで見守っていた武蔵たちも困惑する内に、炎は更に大きく、強くなり、巨大な火柱へと変化する。23

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《くそ、なんてこった！》立香が持つ通信機から、叫び声がする。ダヴィンチだ。「どうしたの、ダヴィンチちゃん！？」《霊基が暴走して、聖杯の魔力を吸収してる！英霊剣豪の枠を超えて……神が出現するぞ！》戦艦棲姫の体を燃料にして、青い炎を身に纏った、身長10m以上の巨神が顕現した。24

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信綱はためらうことなく、巨神に踏み込んだ。足が大きく斬り裂かれる。しかし、傷口から青い炎が吹き出し、信綱を襲う！「くっ！」とっさに防いだ刀から、鋭い金属音が響いた。剣で打ち込まれたかのような衝撃。いや、実際に打ち込まれたのだ。「この炎……すべて剣か！」25

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巨人が腕を振り下ろした。青い炎が鞭のように唸り、甲板に叩きつけられた。「ぬうっ……！」武蔵は立香の盾となり、炎を防ぐ。他の面々も、避けるか防ぐかしている。「何だこいつは、さっきのと同じでいいのか！？」段蔵が巨神を銃撃する。しかし、傷は炎によって防がれてしまう。26

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「駄目だ、デカすぎる！」《ならば、我々が！》イージス艦の砲撃が巨神の頭を吹き飛ばした。しかし、炎が吹き出し、新しい頭部を形づくる。「効いてない！？」《いや、効いてる！撃ち続けて！再生するなら、いつか体力が尽きるはず！》その時、巨人の手の平から、一筋の炎が放たれた。27

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炎はイージス艦の後ろの海に着弾した。次の瞬間、海が割れた。いや、斬られた。《うわあああっ！？》《機関一杯！引きずり込まれるぞ！》裂け目に流れ込む海水に翻弄され、イージス艦は身動きが取れない。巨神は２発目を放とうとしたが、信綱の斬撃がそれを止めた。28

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「せいっ！」巨神の足元に結界が貼られた。はつなの術だ。巨神の動きが僅かに鈍る。そこに、武蔵たちが、段蔵たちが、信綱が次々と攻撃を仕掛ける！だが、巨神は倒れない。「火力が足りない……あと、もう一押し……！」立香は悔しげに呟くが、もう、切れる手札はない。29

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「ワシを呼んだか！」甲高い声が響いた。見上げれば、艦橋に仁王立ちする人影がある。「戦国乱世は人の舞台！古き神の場にあらず！お主は、このワシが相手をしてやろう！」赤いマントをたなびかせ、少女は高らかに名乗った。「第六天魔王・織田信長、ここに見参！」30

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運命 ～剣舞～　ぐだぐだ明治維新　土方歳三 戦 bgm youtu.be/sosddRJ-2so @YouTubeさんから

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「信長……！」カルデアから送り込まれた、この時代に最も相応しいサーヴァント。レイシフト当初からはぐれていた彼女が、遂に姿を表した。「あれが、そちらの信長公なのですか？」はつなが声を上げた。「うん！」「女性の信長公もいるとは……」流石のはつなも、驚きを隠せないようだ。31

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「魔力を回せい！決めに行くぞ、マスター！」艦橋上から、信長が立香に呼びかける。立香は令呪が刻まれた右手を高々と掲げた。「わかった！令呪を以て命ず――宝具を解放せよ！」令呪の魔力を受け、信長の宝具が展開される！「三千世界に屍を晒すが良い……！」32

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信長の周囲に現れたのは、三千丁の火縄銃。長篠において武田騎馬軍団を壊滅させたと言われている三段撃ちの逸話が、信長の力として昇華した形。「天魔降臨！これが魔王の三段撃ちじゃあああっ！」信長の号令で、火縄銃が一斉に火を噴いた！33

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銃弾が炎を、霊基を穿つ！巨神が苦痛に吠える！神仏を破壊する第六天魔王の銃弾は、回復を許さず、神の体を容赦なく抉り取る！「相性ゲーとか得意なんじゃよね、ワシ！」自らも両手で火縄銃を連射し、巨神に追い打ちをかける信長！「銃が効くなら負けるわけないし！」34

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巨神が動いた。足元にあった戦艦主砲を掴み、力任せにねじ切ると、それをかざして銃弾の盾にした。神には絶大な威力を誇る銃弾だが、何の変哲もない鉄板には弾き返されるしかない。「あっるぇー！？」続いて、巨神が手の平をかざした。信長を斬るつもりだ。35

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火縄銃の掃射に負けない、強烈な銃声が響いた。信長に向けられていた、巨神の手が吹き飛んだ。「見ておれんな」信長の後ろから現れたのは、大型ライフルを手にした茶筅髷の男。「なんじゃ、美味しいとこ持っていきおって。あれぐらいワシ一人で何とかなったし！」「で、あるか」36

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「信長公！？」はつなが叫んだ。「信長公ォ！？」その場にいた全員が驚きの声を上げた。「え、なんで信長公が現代銃を！？」狼狽える立香の視線の先で、信長はライフルのレバーを引き排莢、狙いをつけ、引き金を引き、神霊の足を撃ち抜く！「しかも使いこなしている！？」37

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「回り込む。足場を頼む」「ワシに指図するな！何様のつもりじゃ！」信長は返事をせず、艦橋を蹴って宙に飛び出した。「あ、ワシか！」足元に現れた宝具の火縄銃を踏み台にして、信長は空を進む。一歩間違えば落下する危険な動きだが、信長は恐れることなく空中を突き進む。38

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信長は巨神の横に回り込んだ。巨神は火縄銃を防ぐのに手一杯で、それに気付いていない。信長はスコープを覗き込む。狙うは巨神の核。聖杯のある心臓部だ。ようやく気付いた巨神が、弾幕を浴びることを厭わず、信長に向けて砲塔を振りかぶる！その砲塔が、突然吹き飛んだ。39

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《艦長さん！？》《いえ、まつりさんでは！？》砲撃部隊が困惑する。「……信長公」誰も気付かなかったが、船尾に対戦車ミサイルを持った男がいた。明智光秀。彼は上空の信長を見て、続いて艦橋の信長を見て、溜め息をついてから姿を消した。40

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「滅せよ！」信長は引き金を引いた。神殺しの銃弾は、青白い炎を潜り抜け、聖杯を正確に貫いた。神霊は天を仰ぎ見て、声なき絶叫を上げた。腕から力が抜け、砲塔が落ちる。炎が形を失い、霧散していく。そして、すべてが終わった時、そこには動かない戦艦の残骸だけが残っていた。41

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【英霊剣豪201x番勝負】　第十二節おわり　エピローグに続く

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人物名鑑#047【織田信長(FGO)】 日本一の知名度を誇る尾張の戦国大名。FGOでは、『女性だが、後世には男性として伝えられた』という話になっている。宝具の『三千世界（さんだんうち）』は、比叡山を焼き、既存の価値観に立ち向かった彼女の逸話を反映し、神霊に対して絶大な威力を誇る。 pic.twitter.com/0QyAGkxq7i

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人物名鑑#048【織田信長(201x)】 日本一の知名度を誇る尾張の戦国大名。こちらは史実通り男性。近未来銃を使いこなすだけでなく、未来や平行世界への言及すら行う。『201x』は、彼が戦い続けた果てに辿り着いたゲームであり、まさしく『信長の野望』である。 pic.twitter.com/s1XDze3HfY

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