園児RPGテキスト外伝「宵の流星と暁の詩」第三章
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雲一つ無い空の如く青い髪、汚れ無く澄みきった泉の如き碧眼の乙女。その姿は一目見るだけで皆に内なる光を感じさせた。 #mmytxt
2018-08-24 21:13:10円卓十三席の中でも最も武勇に長け、知的で、偏らず、優しく、気品あり、驕らない者…それは闇を照らし人々を導く『光』に最も相応しいものだった。 #mmytxt
2018-08-24 21:15:07武を極めながら術の扱いにも秀で、強さと優しさを兼ね備えた…そして聖剣に選ばれた彼女が聖騎士と呼ばれるのも当然の事であった。 #mmytxt
2018-08-24 21:19:51選ばれし聖騎士たる彼女は数え切れぬ者に祝福され、讃えられた。それでもなお謙虚さが揺るぐ事はなく、ただ一人の愛弟子と共に技を磨いていた。 #mmytxt
2018-08-24 21:21:58カナリア鳥の羽の如く黄色い髪、瑞々しいハシバミの実の如き褐色の瞳の少女。彼女は蒼髪碧眼の騎士に師事し詩の術を学んでいた。 #mmytxt
2018-08-24 21:25:21それは師と弟子という関係以上の物だったかも知れない。選ばれし者故の孤独が光の騎士にはあったのだ。黄色い髪の少女の語る詩には、それを埋める力があった。 #mmytxt
2018-08-24 21:27:07だが、太陽がいずれ沈むように光も永遠に輝き続ける事はできない…彼女にとってそれは、今からちょうど110年前のあの日だった。 #mmytxt
2018-08-24 21:32:16光の騎士は愛弟子の少女と共にポポースカの地を訪れていた。そこは黄色い髪の少女にとって大切な場所であったからだ…そう、大切な場所。 #mmytxt
2018-08-24 21:34:27黄色い髪の少女は故郷に伝わる詩を聞かせたかったのだ…一人の少女として。蒼髪碧眼の騎士もそれを望んだ…だが悲劇は起きた。 #mmytxt
2018-08-24 21:36:00二人の前に恐ろしい魔物が姿を現したのだ。光の騎士にとっては恐ろしい敵ではなかったが激しい戦いに巻き込まれ、愛弟子の少女は…。 #mmytxt
2018-08-24 21:38:39大切な人を失った彼女の心には埋まらぬ穴が…そして闇が広がっていった。それらに衝き動かされるまま力を振るった末に…。 #mmytxt
2018-08-24 21:40:03『…そして彼女は自ら円卓十三席を離れ一介の旅人となったんだ。光が空席となったことで円卓十三席は混迷を極め、出奔や裏切りが続発したり闇の勢力が台頭したりしたのを円卓一の賢者・水の癒し手が再編して平和が戻ったのはまた別の話だね』 #mmytxt
2018-08-24 21:45:16イツキが語りを締めくくった。ムメイは円卓を再編し平和を取り戻した水の癒し手に心当たりがある気がしたが、また別の話なので深く考えない事にした。ふと、ずっと俯いていたシカナがイツキの方を向いて口を開いた。「イツキさん…だったかな」「ああ、それでいいよ」 #mmytxt
2018-08-24 21:46:42「私…不思議な夢を見るんだ。ずっと前から、何度も何度も同じ夢を…」「その話をなぜ僕に…?」イツキの問いに、シカナは自らの平静を保つ為か…一呼吸置いて…答えた。「私がよく見る夢と、イツキさんが語ったポポースカ大爆発の顛末が一緒なんだ…」 #mmytxt
2018-08-24 21:50:02シカナのその言葉に、その場にいる皆に動揺が走った…そして最も動揺を隠せないのは、誰あろうその言葉を引き出したイツキその人であった。「どういう…ことだ…?」眉根を寄せるイツキに代わってムメイが口を開く。「シカナさんは、この話を聞くのは初めてなのよね?」 #mmytxt
2018-08-24 21:51:57「そうなんだ、だから余計に…」シカナは自分がいつも見る夢…森の中で見たもの、蒼髪碧眼の少女の事について話した。「何の心当たりもないのに何度も見る夢、ねぇ…」「ひょっとしてあれじゃねえか。前世の記憶ってのがこう、夢に」ウィアドがムメイの言葉に割り込む。 #mmytxt
2018-08-24 21:54:22確かに彼の言葉にはある程度説得力がある。あの物語が真実に基づいていて、シカナが黄色い髪の少女の生まれ変わりだとすれば…!?皆の緊張が頂点に達した、その時…!! #mmytxt
2018-08-24 21:57:10