「日本海軍の対潜水艦戦」抄読

同志雪の人さんによる、吉田昭彦「日本海軍の対潜水艦戦」の紹介です。
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同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

敵を探して攻撃することがそもそも不可能だから、付き添うしか出来ないと言うわけ。

2017-06-21 18:48:03
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

ソーナーシステムの低信頼度は、捜索能力の悲劇的な低下のみでなく、稀に発見しえた潜水艦への攻撃効果も薄いものとした。

2017-06-22 18:29:35
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

探知を継続しつつ攻撃出来ないから、最後に発見した辺りに爆雷をばら蒔く以外に手段がない。 当然命中を期待出来るわけがなく、逆にそれに気付いた米潜水艦は反撃雷撃するようになった。

2017-06-22 18:44:14
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

米潜水艦の攻撃による日本海軍の対潜艦艇の喪失が92隻もの数になるのも納得と言うもの。 米潜水艦にとって駆逐艦と輸送船の違いは、足の速い獲物か足の遅い獲物か程度のものだったわけだ。 もしくは多少緊張感のある狩りか、気楽な狩りか。

2017-06-22 18:48:18
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

悲惨としか言いようがない日本海軍の対潜部隊だったが、終戦間近になって虎の子の空母を四隻も海上護衛総隊に編入。ついに対潜航空制圧能力を獲得したのである。 ……しなかった。そもそも航空部隊の制圧能力のなさは以前指摘した通りである。その上で護衛空母には問題が山積していた。

2017-06-26 18:52:20
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

護衛空母の運用にすらソーナーシステムの劣弱が影響してくるので、これもうソーナーが全ての元凶では? ってなる。

2017-06-26 21:51:37
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

ソーナーが無いから対潜戦術を発展させようがなく、対潜戦術が無いから護衛空母の安全に自信が持てず、安全に自信がないからその行動を制限せざるを得ず、船団に随伴させても単にHVUが増える結果に。 うーん、この。

2017-06-26 21:56:17
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

対潜戦術が全く発展する余地がなかった結果、船団航行隊形も効果的なものを発案出来ず、多くは複縦陣を取っていた。これで護衛空母を随伴させるにしても、何処に置けと……? 護衛の為の護衛が必要な有り様で、発着艦作業も大きく制限された。

2017-06-27 18:44:41
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

一方船団護衛隊形を完成させていた米英は、陣形の内側に空母が自由に運動する空間があった。

2017-06-27 18:46:21
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

更には護衛空母自体の能力不足もあった。対潜哨戒に用いたらしい97艦攻を使うには些か甲板が短すぎた。速力も充分でなく、運動の制限も合わさってはまともに使えたものではない。 この点米英はカタパルトで解決したが、日本には空母用のカタパルトはなかった。

2017-06-27 18:52:25
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

これら海上護衛、対潜戦術の停滞の背景的要因は対潜戦の専門家がいなかったことがあげられる。 これは別の論文で指摘されてることだが、日本海軍には潜水艦の専門家もいなかった。併せて考えると、そもそも水中戦を全く理解していなかったと言うことなのだろう。

2017-06-28 21:40:26
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

そも日本海軍はその基本戦略・戦術を渡洋敵艦隊の撃滅の一本槍に置いていたことから、これらに直接関与しない部分の研究をしてこなかった。 海上護衛、対潜戦術等はアウトローであり、これらの専門家は存在しなかった。

2017-06-28 21:46:20
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

これらは水雷、機雷、潜水艦、航空の専門家が各々の専門の一部として研究し、教育訓練を行っていた。

2017-06-28 21:50:21
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

水雷 水雷屋の主流的用兵思想は言うまでもなく軽快艦艇による水雷襲撃であり、彼らの対潜戦術も必然速力と軽快さにものを言わせた攻勢的なものになった。 実際、速くて小回りの効く駆逐艦に魚雷を叩き込むのは難しい。逃げるのも大変だ。 しかし日本海軍の装備特性と、全く噛み合わなかった。

2017-06-29 17:58:47
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

日本海軍のソーナーシステムは低速域でしか能力を発揮できないのに速力を前提とした結果、僅かな性能発揮の可能性を皆無のものとした。 ソーナーを使えないものと決め、最低条件である水中捜索を省みなかった。 勇ましく走る自らの術科への考察に欠き、その意義を求めなかったからに他ならない。

2017-06-29 18:09:02
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

高等商船学校出身の予備士官の方が既往概念の束縛を受けず、ソーナーシステムの能力発揮に勤め、米潜水艦撃沈の戦果をあげている。 専門家の方がかえって装備を使いこなせないと言う、皮肉なことであった。

2017-06-29 18:24:38
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

機雷 当然、機雷屋の主流たる術科は敷設と掃海であるが、それだけでなく沿岸・海峡防御の分野も含まれており、水中衛所の活動である水中捜索、対潜攻撃も含まれていた。 日本海軍における水中捜索、対潜攻撃分野の武器開発、進歩にはこの分野の人々の貢献が多い。

2017-06-30 23:36:12
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

しかし彼らの努力はあくまで沿岸防御、海峡通教阻止、水中衛所での活動の為のものであり、その思考範囲から脱却することはできなかった。 彼らは平穏な海面で静止しながらの水中捜索を前提としていたから、航行しながらの船団防御、艦隊防御にその技術を応用しきれなかった。

2017-06-30 23:41:15
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

ここで対潜戦の専門家がいれば「お、これ走りながら使えたら便利じゃーん」とか言いだしたのかもしれないが、いなかった。 日本海軍上層部は機雷屋に応用と活躍の機会を与える着意も無かったから、そこから発展する芽も出なかった。

2017-06-30 23:46:11
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

潜水艦 全く逆の立場の専門知識、技能を活用することは非常に意義深い。しかしそれは明確な目的意識をもって行う必要がある。潜水艦関係の専門家の対潜戦への在り方は、その目的意識に欠けていた。

2017-06-30 23:59:30
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

すなわち水中捜索は潜水艦の主たる捜索手段である聴音にこだわり、攻撃も単なる魚雷射点制圧と公算投射に終始した。また、水上艦艇の騒音に関しては何一つ有益なアドバイスをできずに終わった。 この点機雷関係者と同様の誤りを犯したと言える。

2017-07-01 00:21:40
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

水雷、機雷、潜水艦と、一貫して既存概念に囚われて全く応用ができなかったといった趣

2017-07-01 00:22:32
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

航空 時代の先鋒を行く航空術科の専門家は、流石に思考が柔軟であった。対潜水艦作戦・戦術への理解も深く、懸命の努力をかけ戦果を挙げている。米潜水艦の損失の大部分は航空攻撃によるものであった。

2017-07-02 07:34:21
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

しかしそれらは従来の艦隊決戦・主力艦攻撃の為の術技とかけ離れており、また対潜捜索レーダーの基本概念すら誤った低性能は、これらの人々の努力に報いる面があまりにもなかった。

2017-07-02 07:38:48
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

航空術科に関しては、対潜戦に誤った概念を抱き不適当な方策を取ったという点は見当たらない。惜しむらくは物心ともに所望のレベルに達しなかった。

2017-07-02 07:38:57