あと一番首をかしげたのは、杉田議員が批判された経緯を踏まえた上で、藤岡氏は議論をこう終えているんですね。「批判を恐れず勇気を持って正論を主張する国会議員の存在は貴重であり、有権者はそれを正しく評価しなければならない」と締めているんです。
2018-09-20 20:14:14なるほど、杉田議員は批判を恐れず勇気を持って正論を主張したのか、と。だとするならば、この番組からも送った質問状に対しても、しっかりと勇気を持って応答が来るはずなんですが、それが一切ない。あるいは各メディアが杉田議員に対して「今回の件についてコメントを」と言ったのだけれども、
2018-09-20 20:14:15「ごめんなさい」と言ってスッスッと逃げていく。これ勇気ある国会議員の態度なんですかね?僕にはさっぱりその評価の仕方が分からないのですけれども、少なくともこういった発言をする議員に対して、「有権者は正しく評価しなければいけない」という一点においては、同意します。
2018-09-20 20:14:15ただその正しさは、人によって違う。私とこの藤岡氏でも当然全く立場は違うわけです。また、国会議員を選ぶ党の役割ですね。杉田議員は元々議員でない頃も、例えば女性差別を矮小化したり、さまざまな歴史問題、あるいは外国人差別といった問題をいろいろ論じていた人ですね。
2018-09-20 20:14:16つまりさまざまな差別的な発言をする人を選んで議員にしたのが自民党なので、そうした党の問題も問われなければいけないというような、広いところで問われていたものが、ただ「生産性」という言葉が言葉狩りされたんだというような理解だけに矮小化される。
2018-09-20 20:14:16つまり、批判相手を矮小化してそれに応答したとしても生産性はないですよね。そこには議論の生産性はありません。そんなことを繰り返されていても、これは特集としてあまりにレベルが低いとしか言えない状況になっていますね。
2018-09-20 20:14:16それから、その後に小川栄太郎さんという方が論考を載せていて、そちらはですね「政治は行きづらさという主観を救えない」というタイトルのものなんですけれども、一番最初にこう出てくるんですよ。「テレビなどで性的指向をカミングアウトするうんぬんという話を見る度に」
2018-09-20 20:29:13こういうふうにつぶやくんですって。「人間ならパンツをはいておけよ。性的指向など見せるものでも聞かせるものでもない」と書いてあるんですね。この場合の性的指向というのは、いわゆるセクシャリティの方向性の話ではなくて、趣味の話だと捉えた上で小川氏は文章を綴り続けているわけです。
2018-09-20 20:29:13その後の文章には、事実上の間違いというものがたくさんあるんですね。たくさんあるだけではなく、その間違いについてそもそもしっかりと調べて書こうという気すらない、という文章なんです。
2018-09-20 20:29:14「LGBTという概念について私は詳細を知らないし、バカらしくて詳細など知るつもりもないが、性の平等化を盾に取ったポストマルクス主義のへんし(ツイ主注:?)に違いあるまい」という、なんじゃそりゃというようなものなんですけれども。物書きなら調べてください。
2018-09-20 20:29:14ただ、その前段に戻ってもそうですし後半もそうなんですけど、実際を調べて対応というような論考や文章になっていないので、全体として言っていることは、要は「杉田議員の言っていることは間違いない。合っている」と言いたいのだけれども、
2018-09-20 20:29:14その反証として出されているものがことごとく論理的に脆弱なんですね。さっき言ったように、テレビで性的指向をカミングアウトする人に「パンツをはけ」と言うと小川氏は言っているわけですね。でも、テレビで「誰々が結婚しました」と結婚会見を異性愛者がしたならば、
2018-09-20 20:29:15それに対して「いや、性的指向は黙ってやれよ」とかって言わないわけじゃないですか。となると、異性愛者の場合と同性愛者の場合で全く異なる対応をする社会というものを前提としているわけですね。で、同性愛者などのカミングアウトについては、パンツを脱ぐかのような行為だと認識している。
2018-09-20 20:29:15セクシャリティというものを、セックスの話だけにしか考えておらず、さまざまなアイデンティティや人生の設計の話などに関わってくる問題や文化でもあるということが知られていない。それはそうだよね、調べていない人なんですから。調べていない人なんだから、そうなるのはよくわかる。
2018-09-20 20:34:59その後「性には生物学的にはXXの雌かXYの雄しかいない。おしべめしべ以外に『レズしべ』『ゲイしべ』というのはないのであって」うんぬんと書いているんですね。よく分からないんですけれども、例えば同性愛の動物はいますし、人間にもXXとXYしかないのではなくて、
2018-09-20 20:34:59さまざまな染色体の組み合わせによって、トランスジェンダーの立場になる人もいるわけです。性分化疾患に分類されるような、XXYとかいろいろな染色体のバリエーションがあって、そうしたことが一つの理由としてトランスジェンダーになっている人もいるわけです。
2018-09-20 20:35:00なのに、そういったことを調べずに「人間にはこれしかない」と断言するという、物書きとしての傲慢さなのか、よくこれで原稿料払いますね新潮45さん、と。あと、新潮45はもうちょっとちゃんと校閲した方がいいんじゃないかなと。
2018-09-20 20:35:00今言った単純な事実誤認すらそのまま載せてしまうということは、要は「うちは立場さえある程度響き合えるのであれば、細かくチェックはしませんよ」ということを、露骨に宣言しているようなことになってしまうのです。そんなことでは、さまざまな論考をこれからも批判されることになってしまいますね。
2018-09-20 20:35:01他にもかずとさんという方がお書きになっているんですけれども、この問題をTwitterで最初に問題視した尾辻議員は「同じ議員同士なんだから、なぜ直接話をしなかったのか。なんでTwitterでやったのか」と。
2018-09-20 20:35:01いやいや、杉田議員が公の雑誌で公表しているんだから、メディア上でそれに応答するのはひとつの言論でしょうと思うんですけれども。でもそれについて「なぜなのか。それは……」という形で、この後推論が始まるんですよ。「LGBTの中でも、LGBに関しては社会的弱者でもなんでもない。
2018-09-20 20:38:17支援の必要は一切ない。そのことをレズビアンの当事者である尾辻さんは分かっている。だからこそ杉田さんの問い掛けに答えることができなかった。いや、答えようがなかった」と推測しているんですね。いやいやいや、直接やり取りしなかったら、そういう論調になる根拠が全く分からないわけですが。
2018-09-20 20:38:17最後にこの文章は「尾辻かな子さん、今のあなたは、単なる同性愛者の恥さらしです。草々」と締めているんですよ。同性愛者という一つのアイデンティティクラスタが存在するわけではないので、「君は同性愛者の恥だ」と言うのは、例えば誰かに対して「君は異性愛者の恥だ」と言うのと同じぐらい
2018-09-20 20:38:18大きなくくりの中で何かを語るぐらいの滑稽さが存在しますね。でも、ある種の批判を成立させるためには、いろいろな立場の書き手を動員しつつ、それでなんとなく多くの論考っぽいものを掲載して応答したような体裁をとっているわけです。新潮45という雑誌としてはね。
2018-09-20 20:38:18だけれどもそのクオリティは、今紹介したものだけではなくて他を見ても、まあちょっと細かく赤字を入れるところから編集者は始めた方がいいのではないか、というものが非常に多く並ぶ状況にあるのです。これをもって応答と言えるわけでもなければ、とりあえず新潮45はこの路線で行くんだなという、
2018-09-20 20:38:19ある種の宣言ということになるわけです。前回が朝日新聞批判の特集で、今回は野党批判の特集の企画も別にあって、という流れの中に「どこがおかしいんだ」と杉田水脈氏を擁護するような。いや、中には「杉田水脈氏の言っていることは自分は正しいとは思わないが、
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