性悪ゴブリンが、女騎士や女勇者やエルフの姫を屈服させてハーレムで暮らす話

帽子男 @alkali_acid

わめく盗賊の退路を塞ぐだめおしのように、剣豪と騎士がそれぞれ抜き身の刃を手にあらわれる。 「あらあら聞き捨てなりませんわ。正室はまだ決まっていないはずでしょう」 「…ボルボ。そろそろはっきりさせろ」 「ｷﾞｲｲ！何言ってんだあんたら！？」

帽子男 @alkali_acid

白、黒、黄、それぞれのしなやかな腕が伸びてくる中、緑の若者は縮こまり、あわれなこそ泥を呪わしい運命に導いた古き闇とやらにありとあらゆる罵詈雑言をぶつけた。 「死ぬ…絶対死ぬ…おいらはもうだめだ…」

帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 都の地下を縦横に走る水路では、再び巡り始めた流れを、のたうつ触手の塊が泳ぎ回り、夾雑を取り除き、着々と縄張りを広げていた。

帽子男 @alkali_acid

水は今、はるか深くにある湖とも淡水の海ともつかぬ暗い淵から昇り、小鬼が直したあまたの風車によって循環していたが、いずれ化生の思いのままに御せるようになるはずだった。 不死の怪物はかつての荘園にある溜池に顔を出すと、満月の光を受けて楽しげに躍る。姿形は捻れ縒り合わさり、

帽子男 @alkali_acid

やがて人型になる。何か見本でもあるのか、丈はゴブリンと同じほど、輪郭はエルフに似ているだろうか。少年とも少女ともつかぬかんばせには、無邪気な笑みが浮かぶ。 「ぼ、る、ぼ…」 太陰に向かって言葉を形作ったそれは、何か照れでもしたかのごとく水面に没した。はでな飛沫と音が上がったが

帽子男 @alkali_acid

遠くで、生えたばかりの柔らかい草をのんびりとはむ駱駝以外には、聞くものとてなかった。

帽子男 @alkali_acid

おしまい。