常世神とエタニティラルバ

常世神に関する一連の物語について考えたり調べたことのまとめ。
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銅折葉 @domioriha

常世神についてもう少し調べていた。 CiNii 論文 - 上代文献における「常世」をめぐって ci.nii.ac.jp/naid/110000468… #CiNii 「常」の字には永遠、変わることがないというイメージを抱きがちだが、どちらかというと「最盛期」のニュアンスのほうが強いのではないかという話。

2018-11-15 22:36:22
銅折葉 @domioriha

CiNii 論文 -  上代日本における「をち水」について : 「出雲国造神賀詞」の「をつ」と『続日本紀』養老改元記事の若返り表現の考察を中心に ci.nii.ac.jp/naid/110009857… #CiNii 日本における不老不死は神仙思想とは別に「老いたものが若返る」ことであるというニュアンスが含まれているという話。

2018-11-15 22:37:15
銅折葉 @domioriha

翻って常世神のところを読み直すと、栄えて新しい富が与えられる&老いたものが若返るという書き方で、永遠の命や繁栄を約束したわけではないというのは確かにその通り。おそらく最近の三月精周りでのラルバの描写はこの「常世」をイメージして対象に生命力を与える能力にフォーカスされているのでは。

2018-11-15 22:39:19
銅折葉 @domioriha

CiNii 論文 -  『続日本紀』天平八年十一月条の上表分における「酒盃に浮かべた橘」について ci.nii.ac.jp/naid/110009872… #CiNii 常世神と言えば橘の木に付くと描写され、古代における橘のイメージがどんなものであったかについての考察。

2018-11-15 22:40:17
銅折葉 @domioriha

橘は枯れることなく青々と栄える生命力があって、永遠の命になぞらえられることも多かった訳で、そこを端的に示したのがタジマモリのトキジクの実。垂仁天皇の命により不老不死の果実を求めて「常世」に渡りそれを持ち帰ったタジマモリだが、その時には既に垂仁天皇は死んでいた。

2018-11-15 22:42:25
銅折葉 @domioriha

タジマモリはそれを嘆いて自ら命を絶ち、この時のトキジクの実とは後の橘であると結ばれる。確かに橘には永遠の命がイメージされたが、その橘は実在しているのに実際に食べてみても不老不死ではない。ここにどうやって理屈が付くのかと前から疑問だったのだが、

2018-11-15 22:44:15
銅折葉 @domioriha

表現として「不老不死の実」は垂仁天皇の命を永らえたり生き返らせることはできず、また持ち帰ったタジマモリ自身もそこで命を絶つということは、逆説的にこの時点で既にトキジクの実は不老不死を与えてくれるものではなくなっていたと考えても良いのではと思うようになった。

2018-11-15 22:46:04
銅折葉 @domioriha

そもこのトキジクの実、あくまで「常世」つまり老いたものを若返らせ、最盛期の姿と力をとりもどす「をち」のパワーを与えるものであって、永遠不変の命をもたらすものではないのではないか。

2018-11-15 22:47:17
銅折葉 @domioriha

そしてこのトキジクの実そのものは、実は後の時代に我々もよく知る、橘と同じただの植物であり、これに「橘の木につく」とされる常世神が生命力エネルギーを注ぎ込んでいたのではないか。タジマモリが持ち帰ったトキジクの実は既に普通の植物になっていて、不老不死をもたらす果実ではなかった。

2018-11-15 22:49:34
銅折葉 @domioriha

というようなことを、ラルバちゃんの描写を見ていて思いついた。

2018-11-15 22:50:52
銅折葉 @domioriha

エタニティラルバの本文における「常世神」と「常夜神」の混在、確かに一部の「常夜」は永遠に続く夜、つまり永遠の世の中というニュアンスの文面で書かれておりますが、「常=最もその状態が盛んな時」という感覚からすると微妙に外れて錘、どっから来たのかなあと思っておりましたが

2018-11-18 10:21:18
銅折葉 @domioriha

ラルヴァつまりlarvaは、分類学の父であるリンネがローマ神話にあった悪霊であるラルヴァを幼虫に当てる用法を確立したことによるものだそうで、元ネタの悪霊ラルヴァは夜になると現れ悪さをする悪霊という話があり、このへんも意識されていたのかもしれず。

2018-11-18 10:23:45
銅折葉 @domioriha

蝶の羽根モチーフからするとラルバちゃんの幼虫から成虫に変態する姿の象徴というくだりは、おなじくプシュケー(生命とか魂とか心とかの意味合い)との意味合いもあるのでありますね。ギリシア神話における女神の方のプシュケーは、元は人間の娘で生命の酒、不老不死の薬ネクタルを飲んで神になった。

2018-11-18 10:26:59
銅折葉 @domioriha

女神の方のプシューケーは蝶の羽根を付けて描かれることが多く、このへんのモチーフは人から紙に変じたその変化の象徴として付けられたものであるとも思われるという。 commons.wikimedia.org/wiki/File:John…

2018-11-18 10:29:53
銅折葉 @domioriha

皇極紀にのこる常世神の一連の騒動、常世神って名前に惑わされ気味だが永遠の命を与えてくれたりはしないんだよな。年を取ったものが若返るというのと、新たな富を与えるというやつ。ここでいう富も金銀財宝ではなくて時代的に人々が喜ぶもの、狩猟や農耕の収獲とかなのであろうや。

2018-11-18 10:35:59
銅折葉 @domioriha

要するにこの常世神がもたらしてくれるとされたものは、総じて生命活動の活発化であったと思われる。

2018-11-18 10:37:36
銅折葉 @domioriha

しかし実際にそんなものはなく得られる利益はなく、世は乱れたという流れが続く。常世神はインチキであったのか、望む通りのものではなかったのか。 大生部多がただのインチキの代物を広めるほど巧みなペテン師であったのか、もしくは常世神が人間たちに応えなくなったのか。

2018-11-18 10:40:33
銅折葉 @domioriha

河勝がこの常世神の討伐に派遣されているのは、放置できない状態だと看做されたからだと思うわけだが、常世神の現世利益が無いと書かれた後に河勝が討伐に来たというのが微妙に流れとしてちぐはぐのような気はする。

2018-11-18 10:43:12
銅折葉 @domioriha

秦氏が養蚕の権益をまもるため、常世神信仰を討伐したというなら常世神信仰はデタラメで、世を乱すだけであったとしておかないといけないんからまあそのへんかなと思うけど、これだと放っておいても常世神信仰は潰えてしまいそうなニュアンスが強いんだよなあ。

2018-11-18 10:44:20
銅折葉 @domioriha

統治側として、ただしくない信仰に乱れた地域を放置してはおけないという感じに読むべきなのだとは思うけど。

2018-11-18 10:45:24
銅折葉 @domioriha

常世神は最初から意味のない悪い信仰であって、この間違った新興宗教に心を惑わせたやつらがいて、実際には恩恵もないのにこれを崇めてつづけていたために世が乱れたので、河勝はこれを討伐した、という感じの。

2018-11-18 10:48:35
銅折葉 @domioriha

ただこれ、実際にあった歴史として考えると、秦氏が養蚕の権益を守るために勃興した別の勢力を征伐した想定なら、大生部多が富士川周辺に発生させた「新たな富」を掲げる勢力というのは、それなりに力を持っていたからこそ河勝に潰されたとみるべきなのではないか。

2018-11-18 10:51:00
銅折葉 @domioriha

いわゆ勝者の記録に残す過程で、常世神という利益のないインチキの神様でに惑わされたやつらが世の中を乱したので討伐したよ、と書かれたという……

2018-11-18 10:52:23
銅折葉 @domioriha

常世神信仰において、河勝が討伐したのは大生部多であって常世神そのものではない。まあ虫を(神そのものを討伐したと言っちゃうとそもそも信仰に効果があったニュアンスになるだろうし)討つわけにはいかなかったのでその祭祀を行わせた元締めを討ったということなのであろうか。

2018-11-18 23:16:42
銅折葉 @domioriha

常世神自身のその後ははっきり描かれてはいないが、大生部多が討たれて巫覡はこれを祀ることをやめたとあるので、信仰の中心を焼き払ったり、崇められていた蚕に良く似た虫そのものを打ち倒したり殺したりはしていないようにも見える。

2018-11-18 23:17:48
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