日本国における鉄道イメージダウンの構造

高山直人(憂鬱な魔シ去天使、むっちの先生、文筆業兼挿絵作家兼編集系にチェンジ) @naobotaka_magi

日本の鉄道天国がらみの軋轢は「新自由主義」の問題でもない。ましてや「普通の日本人と一部の日本人」の問題でもない。右派はおろか口先では鉄道趣味に連帯表明をしている左派も勘違いしがちだが、すべては「鉄道の特権性に起因する問題」なのである。

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鉄道の本場であり、世界的にも有名な先進国の1つでもあるアメリカ合衆国は、現在の鉄道社会の原点が公共交通の確立だった。現在のアメリカの都市交通はもともとは私鉄である。

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民間の利益のために利用者は不当にお金を徴収され、しかもインフラのレベルが低かったことから大規模な不買運動が巻き起こり、公共交通が公的にまとめられた顛末がある。

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アメリカの事例に至る本国のそれの不平等構造は、今の日本の現実に似ている。鉄道は事実上特権企業であり、IT産業やテレビ放送やスマホ屋や家電業や自動車産業などのあらゆるほかの産業の存在とは到底思えず、「現代の東インド会社」としか思えない。

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昨今の鉄道をめぐるやりたい放題は目に余る。故意に鉄道趣味が乗り込んで混雑を悪化させたり、高校生や大学生や外国人を車社会に追い出すなど、そのなりふり構わなさは植民地の宗主国や裏社会気取りにしか見えない。

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こうした不公正の歴史は、大日本帝国時代から一貫して続いているといえる。1980年代に国鉄民営化を実現するとますますやりたい放題がエスカレートした。結果「公共インフラのモラルの問題」により都会を中心に日本を取り巻く環境はますます混迷し、今に至っている。

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政治の問題だから、加害責任は政治家などにあるとひとごとにはできない。鉄道を子供のころから娯楽として親しんだ私たちは、今こそ日本国の不公正の構造を振り返り、鉄道趣味の加害責任に向き合う必要がある。

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私たち日本人は、先祖を含めたカルマによって、鉄道というインフラを捻じ曲げ、その後ずっと力でねじ伏せ続けてきた歴史がある。

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資本をつかさどる人間が鉄道を支配した構造は戦後からではなく、明治時代から首尾一貫していたのだ。こんなの後進国と何も変わらない。日本においてそのような環境が是正された歴史など存在しない。

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私たち自身も、公共冒涜の直接の加害者である。 東京や大阪には私鉄の本場がある。とくに東京の西側はリトル大阪とも呼ばれている。なぜかと言うと、戦前の実業化がビジネスのために民間主導で公共交通インフラを建設したのだが、

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当時の日本では省線に対する悪評が当たり前にあり、後回しされる地域であるがゆえに鉄道を作ることすらできなかったから、民間主導でインフラを完結させようという街づくりが進められた。私鉄と宗教とのつながりも有名である。

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その私鉄が宗教に明るい政党を利用して鉄道のありかたを変え、鉄道というインフラ産業と宗教とのつながりがが現代でも生きながらえていることを世に知らしめた。

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インターネット上で下品なスピーチを繰り広げる連中はよく「鉄道は公共の資産だ！」という謎のスローガンを用いたがる傾向がある。この言葉には全うな人ほど違和感があるはずだ。彼らはリベラルと敵対しているが、公共性を理由に「郵便の民営化は誤りだった！」ということはない。

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この違和感しかない言葉を平然と用いる感覚の持ち主であるということに、ホンネでは鉄道を同じ公共の資産とみなしていないネオリベないし非常識であることが表れている。彼らにとってバイクもアニメも露悪の捌け口だが「大日本帝国」の時代の異常性そのものなのである。

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彼らほど議会では誰も相手にしないような変な屁理屈を述べ立てて公共資産の民間の運用は善だと言い張りたがる傾向があるが、本当にそう思っているのなら日本で起きている怒りの車社会化キャンペーンなど起きるはずがない。

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私たちは鉄道という存在を踏みつけている。まずこの自覚を持つべきである。 それは、おりこうさんも同じだ。私の家の近くには幹線道路も鉄道の線路もあり、高架橋とかでたまに暇そうなPTA上がりの成れの果てのような集団が交通安全や反珍走団のビラ配りをすることもあるが、

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こういう連中の掲げる「公共」は、日本国民の意志とはまるで異なる。彼らは嘗ての社会主義のシンパであり、反消費社会を掲げていて、その一環として反車社会を認識しているに過ぎない。反車社会をアピールする上では、悪徳ライダー・ドライバーも鉄道の腐敗も同じダシにすぎない。

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しかし、国道もあるし都道府県道も高速もある日本で、道路を民営で運営するなんて話はまずありえない。立ち退きのために宗教団体が利用されることもないし、連日土建屋が不祥事を起こすこともない。道路工事の評判は、ビルのゼネコンよりもいいことさえあるのがこちらの現実だ。

高山直人(憂鬱な魔シ去天使、むっちの先生、文筆業兼挿絵作家兼編集系にチェンジ) @naobotaka_magi

一方、鉄道界隈にとっては、日本人の右派であれば嫌悪かもしれないが、そうでないノンポリ層の大多数、そして左派にとっては、そんなことはないのである。戦前や国鉄への複雑な感情はあれども、一般市民にとって加害者であるのは鉄道趣味も鉄道社会も同じだ。

高山直人(憂鬱な魔シ去天使、むっちの先生、文筆業兼挿絵作家兼編集系にチェンジ) @naobotaka_magi

日本人の嫌鉄道感情に至ったのは、外からの力による構造的支配に対する憤りというものが明治以来つもりに募って限界点に達したからに他ならない。今起こっている大人だって、鉄道の文化性や鉄道自体は否定していない。多くの日本人世論がそうだ。

高山直人(憂鬱な魔シ去天使、むっちの先生、文筆業兼挿絵作家兼編集系にチェンジ) @naobotaka_magi

全鉄道の公的管理は理想かもしれないが、経済やブラック車社会の問題がある以上今すぐにはできない。ならばせめてこれ以上国民に迷惑を強いるのはやめてくれというのが日本人の本音である。

高山直人(憂鬱な魔シ去天使、むっちの先生、文筆業兼挿絵作家兼編集系にチェンジ) @naobotaka_magi

日本にある私鉄は本土で激しい公営化に対する抗議活動があって、存続されたものだ。当時「反公営化」を掲げていたのは、国民であり、それを扇動したのは右派勢力だった。