「フラグメンツ・オブ・エピック:ディープ・オーダー」「ナバルの章:ワット・イズ・ザ・ヴァリュー・オブ・ライフ?」#4

深海騎士団叙事詩断片第2章 観察し、己を調え、そして観察せよ。 カラテによって未来を切り拓く為に。
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

激流ブレスが大海龍の全身を覆う青紫色の霞を洗い流す!霞はすぐに全身を覆い直さんと再生を果たしたが、リカルドはハンター視力で捉えていた。尾に噛み付くサメめいた黒鉄の塊…深海棲艦の艤装を!((見えた!))リカルドはナバルを見た。ナバルはリカルドを見返した。 23

2018-12-31 11:11:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

リカルドは上を、海上を数度指差した。((上?そこまで行けばいいの?))リカルドは頷いた。そして彼は大海龍へと迫っていく。大海龍はナバルを見上げていた。かの龍の敵意は、己にブレスを浴びせかけた不届き者へと、ナバルへと注がれていた。((成程そーいう訳ね!)) 24

2018-12-31 11:14:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

ナバルは察し、全速を以て海上へと泳いで行った。大海龍はその巨躯をバネめいて縮こませ、逃げて行く小さき者を睨みつけた。数拍の緊迫の後、大海龍はカラテを解き放つ!恐るべき速度の螺旋回転突進!「GRAAAAAAAH!」((ウワちょっとハヤイハヤイハヤイ!?)) 25

2018-12-31 11:17:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

ナバルは大海龍の予想外の速さに面食らう。このままでは追い付かれ、粉微塵に打ち砕かれるのは必定!圧倒的カラテに対し、ナバルは敢えて振り返った。((逃げるだけじゃ間に合わない…なら!))その口元が再び泡立った。ナバルは全身から力を抜き、再び激流ブレスを大海龍めがけて放つ! 26

2018-12-31 11:20:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」SPLAAAAASH!「GRRRRRAH!?」大海龍の顔面に激流ブレス命中!そしてブレスの反動で、ナバルは空気が抜けた風船めいた猛スピードで海上へと浮上!そして大海龍も遅れて海上へと飛び出したのだ!ナムアミダブツ! 27

2018-12-31 11:23:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「アバーッ」吹雪は3度チョップを叩き込み、フレッシュゴーレムの肩を破壊!吹雪はそのまま10フィートはあろうフレッシュゴーレムの肩と首筋の狭間に降り立つ。フレッシュゴーレムは煩わしそうに吹雪に掴みかかる! 29

2018-12-31 11:29:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ」「イヤーッ!」「アバーッ」吹雪の体を握り潰さんとしたフレッシュゴーレムの手指をチョップによって総ケジメ!そしてそのままカラテを燃やし、槍めいたケリ・キックでフレッシュゴーレムの首を刎ねる!「イヤーッ!」「アバーッ」 30

2018-12-31 11:42:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

フレッシュゴーレムはもんどりうって倒れた。吹雪は着水し、よろめいた。その息は荒く、額は玉の汗に濡れていた。「ハァーッ…!ハァーッ…!」「六連主砲…斉射!」KRA-DOOOOM!「アバーッ」ライオンハートのヒサツ・ワザの音が轟いた。 31

2018-12-31 11:42:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

別のフレッシュゴーレムは上半身が吹き飛ばされ、残った下半身が海へ沈んでいく。ライオンハートは吹雪の背後へと着水し、同じように息を荒げた。「ハァーッ…ハァーッ…吹雪=サン、君は何体倒した?」「……29体です」「凄いな…私は10を超えてから数えるのを止めてしまったぞ…」 32

2018-12-31 11:42:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

SPLAASH!SPLAASH!水しぶきを上げ、10フィートほどの巨大なフレッシュゴーレムが2体出現する。新たに出現した2体に呼応し、更なるフレッシュゴーレム達が吹雪とライオンハートを取り囲む。ライオンハートは心底辟易した表情でその光景を見た。「こいつらは不死身か…」 33

2018-12-31 11:42:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ハァーハッハッハッハッ!言ったはずだ!このフレッシュゴーレムは我がネクロマンス・ジツの究極であると!つまり強靭!無敵!最強のジツなのだよ!」ネクロマンサーは包囲から僅かに外れたフレッシュゴーレムの肩の上で高らかに笑っていた。 34

2018-12-31 11:44:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

BLAM!ライオンハートがネクロマンサー目掛けて砲撃を放つ。「イヤーッ」フレッシュゴーレムがその砲撃を叩き落した。「ハッハッハ!届かんよ、そんなカラテの籠らぬ砲撃なんぞ!」ネクロマンサーはその光景を見、更に機嫌を良くして笑った。 35

2018-12-31 11:47:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

吹雪は嫌悪感も露わに吠える。「死者を冒涜して、貴女自身は高みの見物か!何処まで卑劣極まれば気が済む!」 「卑劣とは片腹痛い!イクサとは常に卑劣な方が勝つのだよ!それに死者を冒涜とな?笑わせる!死ねば皆同じ肉の塊だ!」 36

2018-12-31 11:50:02
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

ネクロマンサーは邪悪な笑みを浮かべ、吹雪を指差し嘲った。「そして全ての死の上に君臨するのがこの私、ネクロマンサーだ!貴様らの命の価値なぞ、死して我が傀儡となる以外に無いのだよ!」「外道が…!」吹雪は歯を噛み砕かんばかりに怒りを燃やす。 37

2018-12-31 11:53:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

しかしその体からはカラテの陰りが見え始めている。フレッシュゴーレムは実際恐るべきジツである。死者の塊がある限り、ジツ者を止めぬ限り、破壊してもなお再生し、永劫に動き続ける腐肉の巨人なのだ!吹雪も、ライオンハートもまた、動き続ける巨人兵団を相手に無益な消耗戦を強いられていた。 38

2018-12-31 11:56:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

1対1体のカラテは然程ではない。だが、その耐久力は決して侮れず、常に全力のカラテで以て打倒さねば動きを止めることはできないのだ。ネクロマンサーは消耗しきった二人の戦士を嘲り、言った。「おお、怖い怖い。だが実際お前たちは限界だろう?疲れが顔に出ているぞぉ?」 39

2018-12-31 11:59:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「そんな健気なお前達に残念なお知らせだ…お前たちの行動だが、実に無意味だ」「何だと?」「あの白い木偶の坊の守ろうとしたあの化物、あれはお前たちとの交戦前に既に我が手に落ちている」「馬鹿な…」ライオンハートは愕然とし、よろめいた。吹雪がその体を支え、立ち上がらせた。 40

2018-12-31 12:02:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

クロマンサーはその光景を見、更なる嗜虐の笑みを深めた。「我が艤装は強力なネクロマンス・ジツ発生源として改造を施している。それを打ち込めば、如何なる存在だろうが我が傀儡に早変わりだ。お前達が何を企んでいようが、もう全てが遅きに失している!諦めろ!我が死者の軍勢に加わるのだ!」 41

2018-12-31 12:05:02
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「断る」吹雪は決断的に言った。ライオンハートは吹雪の横顔を見た。その顔は、決して揺らがぬ意志の強さで形作られていた。その眼は、まだ何かを信じている眼であった。吹雪は挑発的に言った。「無意味と笑ったな、ネクロマンサー=サン」「ああ、笑ったとも」「無意味なことなど何もない」 42

2018-12-31 12:08:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「あらゆる行いには意味がある。意味を見出す者がいる。私はそう教わった。そう、身を以て知っている」「はっ、負け惜しみを」「そうですね。私だけではそうかもしれません」吹雪はネクロマンサーから視線を外した。 43

2018-12-31 12:11:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

その眼は遠く、ネクロマンサーのタタミ数十枚分の距離、カラテによって隆起せんとする海面へと向けられた。吹雪は微笑んでいた。懐かしさで。「ですが、理不尽を打ち砕くのは…いつだってカラテなのですよ」 44

2018-12-31 12:14:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「何を…」SPLAAAAAASH!!「何だ!?」ネクロマンサーは振り返った。ライオンハートはただ見上げていた。吹雪は目を見開いてそれを記憶に刻み付けた。 45

2018-12-31 12:17:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

沈みかけた太陽を背に、白亜の龍が空へと昇っていく。海を巻き上げ、重力に逆らい、翼もなく天へと至るその姿が、夕焼けに照らされ茜色に染まる。それは、三日月めいてシンピテキで、美しい。それは、命の輝きである。その光景を仰ぎ見た全ての存在が、畏敬の念に心を打たれていた。 46

2018-12-31 12:20:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

そして吹雪は見ていた。美しき大海龍の尾に噛み付く邪悪なる艤装に襲い掛からんとする、蒼黒の鎧を。ハンターを。己の師、理不尽を打ち砕くカラテの体現者を!ハンターは暴れ馬を制するロデオめいた姿勢で艤装へと跨る。手にする剣斧の刀身を、禍々しい赤黒の稲妻が覆い隠す。 47

2018-12-31 12:23:01