「終末期医療は医療費の無駄なのか?」

医療政策学者津川友介氏による、終末期医療と「予防医療」に関する、データに基づいた考察。
74
津川 友介 @TsugawaYusuke

今年Scienceに出た論文ですが、ほとんどの死亡は予測不能なので終末期医療は医療費の無駄であると考えるのは間違いである(多くの場合誰が終末期か分からない)という内容の論文をご紹介します。 science.sciencemag.org/content/360/63… twitter.com/earl_med_tw/st…

2019-01-03 01:27:11
EARLのコロナツイート @EARL_COVID19_tw

人工呼吸器はほんのごく一部、それ以外の患者でも施設ごとのコストから年間1〜2兆円。一方で医療費は全体で40〜50兆。主たる医療費高騰要因である高額な新薬や高度な医療技術等による増加に比べると圧迫要因としてはけっこう少ない。一方米国では寿命はほぼ変化してない(むしろ短縮)のに医療費は高騰 twitter.com/Dr_Zetton/stat…

2019-01-03 00:50:39
津川 友介 @TsugawaYusuke

この厚労省の方は数多くの誤解をしています。まず医療財源を保険料で全て賄う必要はそもそもなく、ほとんどの先進国は税と組み合わせています(フランスは税中心、ドイツは保険料中心)。保険料を上げるか税金で補填するかは政治的判断(どちらか国民の受けが良いか)で、両者に大差はありません。 twitter.com/shizukalady/st…

2019-01-03 01:39:01
津川 友介 @TsugawaYusuke

@ochyai 米国の公的保険メディケアのデータで、65歳以上の高齢者ほぼ全員(4350万人)と65歳未満の身体障害者+透析患者(880万人)のデータです。平均年齢は72歳でした。Supplementにありますが、85歳以上の高齢者に限定しても、予測死亡率>50%の人は死亡者の11.7%だけでした。 science.sciencemag.org/content/sci/su… pic.twitter.com/sTtT52abm4

2019-01-03 06:03:23
拡大
津川 友介 @TsugawaYusuke

日本での議論の元は分かりませんが、米国ではメディケア(65歳以上がほぼ全員加入する皆保険)の加入者が人生最後の12ヶ月に、生涯医療費の25~30%を使うと言うデータがそもそもの「終末期医療費が高い」という話の発端です。この割合は近年も変わっていません。 onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.11… twitter.com/yusuke_tsugawa…

2019-01-03 06:07:23
津川 友介 @TsugawaYusuke

しかし、最近のサイエンスの論文でもあるように、多くの高医療費患者は救命しようとしてICUに入って治療を受けたものの、残念ながら救命できず、振り返ってみると死ぬ直前に多くの医療費を使っているだけです。亡くなると分かっていながら高額な医療費を投入されている患者は多くないとされています。 twitter.com/yusuke_tsugawa…

2019-01-03 06:09:28
津川 友介 @TsugawaYusuke

さらに言うと、終末期患者の中で高医療費患者は多いものの、高医療費患者から見るとその割合は比較的小さいことも分かっています。つまり、「終末期の医療費」は、大きな問題であるかのように見えますが、日本の社会保障費の問題を解決するほどの主要な問題ではないでしょう ajph.aphapublications.org/doi/pdf/10.210… pic.twitter.com/4HHTC5JOz0

2019-01-03 06:14:19
拡大
津川 友介 @TsugawaYusuke

おっしゃる通りなのですが、データ上それらを区別することが困難であるため、多くの論文では”End-of-life health spending(終末期医療費)”と表現した場合は両者を含んでいます。脳梗塞後の胃ろうでも、回復を目指している人は急性期疾患になりますので。 twitter.com/bluekby/status…

2019-01-03 07:08:00
Kb: 穴蔵生活 @bluekby

終末期の医療という言葉でいろんな種類の医療がゴッチャゴチャで話されてる気がするね。 脳梗塞後に胃瘻寝たきりで入院してる話と、急性期疾患で(結果的に)最後の1ヶ月ICUにいましたって話では、だいぶ違うよなあ。

2019-01-03 06:41:07
津川 友介 @TsugawaYusuke

医療経済学の研究では「終末期医療費」と言うと人生最後の一年間の医療費のことを指します。 oxfordre.com/economics/view… 最後の1ヶ月のようにより短くすれば予測精度は上がるかもしれませんが、医療費の総額が小さくなるので、医療財政への影響は小さなものとなります。 twitter.com/ochyai/status/…

2019-01-03 08:44:45
津川 友介 @TsugawaYusuke

@ochyai この論文では、日本のデータは病院でかかった医療費しかないのですが、最後の1年に8.2%、最後の3年で13.5%の生涯医療費が投入されています。最後の1ヶ月に限定したらもちろんこれらの数字よりも小さくなるので、医療財政への影響はかなり限定的になります。 healthaffairs.org/doi/full/10.13… pic.twitter.com/VqQqAFEBfm

2019-01-03 08:49:23
拡大
津川 友介 @TsugawaYusuke

私個人としては、落合さんや古市さんの主張の内容に問題があるとは思っていません。アカデミアの中ですら、終末期医療費がどれくらい大きな問題なのかまだ決着がついていないからです。これがきっかけで、前提条件である「終末期医療は高い」が正しいのかどうか丁寧な検証が進めば良いと思っています。

2019-01-03 08:59:59
津川 友介 @TsugawaYusuke

日本とアメリカは違うという意見があったので日本のデータもご紹介しておきます。 この論文では、日本のデータは病院でかかった医療費しかないのですが、最後の1年に8.2%、最後の3年で13.5%の生涯医療費が投入されていました。 healthaffairs.org/doi/full/10.13pic.twitter.com/C4FRBZimm8

2019-01-03 10:31:03
拡大
津川 友介 @TsugawaYusuke

予測の話ですので、不確実性のことになります。 twitter.com/woofer30/statu…

2019-01-03 10:38:37
はーりぃ @Woofer30

これは、いわゆる「リスク」と「不確実性」で言うところの後者なのでしょうね。 twitter.com/TsugawaYusuke/…

2019-01-03 10:23:16
津川 友介 @TsugawaYusuke

医師が余ると医師誘発需要が起き、その結果として診療報酬の引き下げが起こり、(腕の良い医師を含む)全ての医療従事者が苦しむという結果になることが予想されます。よって私は医師を余らせるべきではないと考えます。 healthpolicyhealthecon.com/2014/07/23/phy… twitter.com/sfinthevillage…

2019-01-03 11:50:16
津川 友介 @TsugawaYusuke

終末期医療は以前考えられていたほど、医療財政に大きな影響を及ぼす問題ではないと考えられるようになってきている、というのが正しい解釈だと思います。 twitter.com/tonishi0610/st…

2019-01-03 12:09:29
西智弘@川崎医師 @tonishi0610

ありがとうございます。先ほどの落合さん・古市さん対談にからんで、終末期医療が医療経済学的に問題なのかどうかは「わかっていない」ということでしたので、質問しました。いま執筆している書籍にも関連している内容でしたので…。 twitter.com/TsugawaYusuke/…

2019-01-03 11:52:58
津川 友介 @TsugawaYusuke

日本を含む社会保険制度を採用している多くの国で、加入義務のある医療保険は税金に近い形で機能しており(保険料は税金とほとんど変わらない)、富の再分配の役割を果たしていることが知られています。 twitter.com/tomatosukisuki…

2019-01-04 01:45:37
カヤックを作るハックルベリー・フィン。 @tomatosukisuki1

@yusuke_tsugawa @marxindo 健康な時に買っておいて病んだ時に必ず当選する宝くじでありますので再分配とはちとちがうような・・・。(税金で補填される部分を除く)

2019-01-03 12:48:39
津川 友介 @TsugawaYusuke

診療報酬が引き下げられられても既得権益の手放しにはつながらないと私は考えています。 日本では医療費総額が政治的に決められているので、そのパイを何人の医療従事者で分け合うかという問題だと思います。 twitter.com/sfinthevillage…

2019-01-04 01:49:08
津川 友介 @TsugawaYusuke

保険外が拡大すると、情報の非対称性のため患者が搾取されます。 例えば急性虫垂炎で病院にかかって手術には数百万円かかると言われても、じゃあ要りませんと言える人はいません。病院は価格を上げられるようになるので儲かるようになります。東京中心部を除いて、病院間の競争は不十分だと思います。 twitter.com/ryo_mura_0913/…

2019-01-04 02:12:47
村上 遼: Ryo Murakami @RyoMurakami_WPI

逆に言うと、市場拡大には「保険外」しかない? twitter.com/TsugawaYusuke/…

2019-01-04 01:58:04
津川 友介 @TsugawaYusuke

情報格差が無くなっても、同じ地域に複数の同じ機能を持った病院がない限りは、競争は不十分になります。病院による価格の引き上げは医療費と保険料の高騰につながります。これがアメリカで起きていることです。 医療に関しては規制緩和は自殺行為に近いことを理解しておく必要があると思います。 twitter.com/ryo_mura_0913/…

2019-01-04 02:24:16
村上 遼: Ryo Murakami @RyoMurakami_WPI

@yusuke_tsugawa コメントを頂きありがとうございます。 「市場拡大には繋がるが、現状の競争状態では情報格差により患者さんが搾取されてしまう」ということですね! とすると、情報格差をなくして健全な競争状態にしたいと思ってしまいます。

2019-01-04 02:18:23
津川 友介 @TsugawaYusuke

価格は保険会社と病院とのパワーバランスによって決まるので、必ずしも保険会社の決めた価格では決まっていません。病院が最初の請求金額(Charge)を高め(入院だと実際の支払額Payment amountの約3倍)にするのは、無保険者や旅行者がその額面を支払うことになるからです。 twitter.com/lalahearttwit/…

2019-01-04 03:20:09
肥和野 佳子 @lalahearttwit

因みに米国の例では事実上、各手術とかの値段のスタンダードを決めるのは保険会社ですね。病院や医者が法外な値段を吹っかけるけど保険会社と病院・医者が契約している特定価格の料金になる。そこから患者は保険適用での2割負担とかになる。 twitter.com/TsugawaYusuke/…

2019-01-04 02:33:54
津川 友介 @TsugawaYusuke

この記事にもいくつかミスリーディングな点があると思います。予防医療は「うまく使えば医療費抑制につながる」からです。 詳しくは日経新聞の経済教室に寄稿したこちらの記事をご覧頂けると幸いです。 nikkei.com/article/DGKKZO… twitter.com/masa_koz/statu…

2019-01-04 03:39:58
津川 友介 @TsugawaYusuke

医療行為(薬や医療機器を含む)の割合です。このグラフから、20%の予防医療は医療費抑制につながると解釈できます。 twitter.com/masa_koz/statu…

2019-01-04 04:28:48
津川 友介 @TsugawaYusuke

そこまでシンプルな話ではありません。 40歳台で脳梗塞になった場合に投入される医療費と、その人が予防医療で長生きして90歳で脳梗塞になった場合の医療費では、後者の方が少額になると考えられます。 40〜65歳の労働とそれはGDPや税収に与える効果も費用対効果分析では考慮されていません。 twitter.com/masa_koz/statu…

2019-01-04 05:04:02
津川 友介 @TsugawaYusuke

Cost-savingの医療行為は、予防医療にかかるコストを考慮しても、医療費↓&健康↑ですので、提供しないという選択肢は無いと思います。 医療費の支払い方法をエビデンス(+費用対効果)に基づいて再分配するだけで、追加の財源を必要とすることなく医療費削減効果が期待できます。 twitter.com/sasai_tsuneo/s…

2019-01-04 05:08:32
笹井継夫 @sasai_tsuneo

@yusuke_tsugawa お久しぶりです。本件ですが、どれぐらいの医療費抑制効果を想定するかで議論が分かれるのではないでしょうか?

2019-01-04 05:03:22
津川 友介 @TsugawaYusuke

もちろんそのサイズ(削減できる金額)に関してはシミュレーションが必要です。 twitter.com/yusuke_tsugawa…

2019-01-04 05:09:52
津川 友介 @TsugawaYusuke

患者さんの希望+医療者の判断です。高齢者が延命治療を希望しない場合には医療費投入額↓となり、延命治療を希望するかどうかの最大の予測因子は年齢(高齢者であるほど延命治療を希望しない)であることが研究で知られています。 twitter.com/masa_koz/statu…

2019-01-04 05:21:44