『ロックマンゼクス』は“ボンクラ”だからこそ楽しめるのでは? という話

某ゲームカタログwikiで「ガッカリすぎるシナリオ」とこき下ろされていたのに首を傾げて、再検討した次第です。 いつもより順序立てて話せていないのですが、備忘録がわりに一応まとめてみました。
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らいおねサン @WRaione

何度と言うけど、ヴァン/エールとアッシュ/グレイが『ロックマン』〜『ロックマンX』〜『ロックマンゼロ』と続いてきた戦いの歴史をすっぱりと終わらせて、時代の末端を生きるヒトビトが自由に世界(物語)を生きられるようにしたの、他に類を見ない優れた解答だと思うのよね。

2019-01-06 18:28:39
らいおねサン @WRaione

『ロックマン』『ロックマンX』では、工業用、管理用、作業用、戦闘用……と“用途”に沿ってロボット(レプリロイド)が生み出され、用途に沿った社会参加しか受け入れられなかった。このために衝突が起こって、戦いの歴史が続いていた。

2019-01-06 20:18:11
らいおねサン @WRaione

『ロックマンゼロ』に時代が移ると、人間もレプリロイドも用途を限定せずに出生できるようになった一方、喫緊のエネルギー不足問題のためにレプリロイドの口減らしが始まり、紛争に発展。先の大戦による怨恨も合流して、戦いは続いた。

2019-01-06 20:18:12
らいおねサン @WRaione

『ゼロ』の完結に際して、エネルギー問題は解決、残る怨恨も英雄の命を引き換え(?)に葬送することに成功し、数百年が経過する。 『ゼクス』開始時には、完全に機械と自然が溶け合った世界観へと変わり、目下の問題は、野生化した機械生物の脅威程度に収まった。

2019-01-06 20:18:13
らいおねサン @WRaione

しかし、凶暴化した機械生物の暴走自体は全く問題なかった。というか、暴走と思われていたものは、ライブメタルの適合者を探すゲーム運営者によって意図的に引き起こされたものだったことが判明。 一気に問題は単純化した。

2019-01-06 20:18:14
らいおねサン @WRaione

既に境界の溶け合いきった人間とレプリロイド、自然と機械。ここに差別もなければ、目立った環境問題もなく、●●●ー●とかいう勝手に世を儚んで狂った科学者が余計なことをしなければ、とっくにこの世界はユートピアとして成立していたのではないかと。

2019-01-06 20:18:14
らいおねサン @WRaione

実は『ゼロ』の最後で無理矢理に人類から切断されたバイルの怨念が元で、戦いの種は撒き散らされていたのだけれども、それを技術によって具体化したのもやはり黒幕であって、本当に問題はなかったのだった。

2019-01-06 20:18:16
らいおねサン @WRaione

3シリーズに渡って続いた、人間とロボット(レプリロイド)をめぐる戦いの歴史を鑑みれば、黒幕曰く世界が愚かしく見えてくるのも分からないではない。 しかし、現状として紛争はなく、盗掘者程度の小悪党か、野生化した機械生物ぐらいしか問題のないのを見ると、彼の結論は性急すぎるとも思われます。

2019-01-06 20:18:17
らいおねサン @WRaione

『ゼクス』の世界観はもはや、生き物が存在するにおいて最低限当たり前の脅威しか残っていない状態にあると考えます。 これ以上コントロールすべきものがないほどにフラット、なおかつ、かの科学者が掲げた理想に合致している。 これでもまだ、戦う理由があるならば、もう個人的なものぐらいしかない。

2019-01-06 20:18:17
らいおねサン @WRaione

ヴァン/エールはどちらとも、ライブメタルの出自や、『ゼロ』『ゼクス』の間に起きた出来事を知らないままに戦いました。 扱う主語はこれまでのシリーズに比べると小さく、「みんなを守るロックマンになる」となっているぐらいです。 そして、敵役はロックマンの王となり、支配者を目指すという人物。

2019-01-06 20:18:18
らいおねサン @WRaione

「レプリロイドの独立を目指す」とか、「自分を追放した者達に復讐する」とか、そういったものではなく、ただ「支配する」ことを目的にした、かなりスケールの小さいもの。 過去にも「世界征服」と宣っていた悪役はいたけれど、「自分が優れていることを世間に知らしめる」という隠れた理由があった。

2019-01-06 20:18:19
らいおねサン @WRaione

『ゼクス』の悪役はそのような理由すらなく、端的に言うと他人の褌で世界のヒトビトを養分にしようとしていただけの小悪党とさえ言えます。 相対する主人公も、別にこの悪役の陰謀を止める以上の目的はなく、戦い終われば仲間のもとに帰るだけの、「ただのヒト」でした。

2019-01-06 20:18:19
らいおねサン @WRaione

こう書くと、「『ゼクス』のスケールは恐ろしくみみっちくて幼稚」と言いたげに思われるかもしれませんが、むしろ言いたいのは「逆にこれまでのシリーズの戦いが報われた」ということなんです。

2019-01-06 20:18:20
らいおねサン @WRaione

エックスやゼロ、シエルが戦ってきたのは、「人間とレプリロイドが共に暮らせる理想郷をつくる」ためでした。 『ゼクス』に至って、まだエネルギー問題や差別による紛争が続くのであれば、彼らが頑張った意味がありません。

2019-01-06 20:18:20
らいおねサン @WRaione

だからこそ、続編の内容が「ボンクラな悪役が個人的な理由で戦いを仕掛け、主人公が普遍的な理由によりそれを阻止する」ようなものであったことは、むしろ彼らにとって喜ばしいものであったのではないでしょうか。

2019-01-06 20:18:21
らいおねサン @WRaione

「それでも人は戦いを繰り返すかもしれない」「それでもヒトビトから負の感情が無くなることはない」「だからこの世界はリセットされるべき」と、『ゼクスアドベント』の黒幕は断じました。 アッシュ/グレイは、これに対して、実にシンプルな反論をします。

2019-01-06 20:18:21
らいおねサン @WRaione

「うるせーーー!! これは自分たちの世界/物語じゃーーーー!!!!!」 と。(実際はこんな粗野に言ってないですけど) 勝手に世を儚んで虚しいものと悟り、結論に至ったヒトビトを歩みを止めたとして憐れむ黒幕。 彼が余計なお節介をしなくても、元よりヒトビトは上手く行っていたのです。

2019-01-06 20:18:22
らいおねサン @WRaione

『ゼクスアドベント』の主人公はその点について顕著で、片やみなしごなれど、「自分のルーツが分からないなら代わりに偉大な冒険者になって世間に知らしめよう!」とトレジャーハンター生活を楽しむ少女。 片や出生に後ろ暗いものを抱えるも、出会った人の優しさによってまっすぐに成長した少年です。

2019-01-06 20:18:23
らいおねサン @WRaione

別に、何も問題はないんです。 ちょっと黒幕の野望によって人生かき乱されているだけで、物語の開始時点でアッシュ/グレイはこの世界でみんなと共に生きていくことができる、「ただのヒト」だったわけです。 故に、その驚くべき秘密を黒幕に暴露されても、「だから何?」程度の話に留まりました。

2019-01-06 20:18:23
らいおねサン @WRaione

流石に暴露を受けて多少はショックを受けたのですが、「それでも君は君だ」と声をかけてくれる人に囲まれているし、その人たちが態度を変えることすらなかったために、結構すんなり流された次第です。 既に主人公らはみんなと共に生きる「ただのヒト」だったので、黒幕のゆさぶりは不発になりました。

2019-01-06 20:18:24
らいおねサン @WRaione

もはやこの世界観は立派にユートピアとして確立しています。 主人公たちはとっくにこの世界で立派にそれぞれの物語を生きているし、将来そこで何か問題があるにしても、それはもう英雄として戦ってまで解決することではありません。 『アドベント』はそれを再確認する物語だったとも言えるかも。

2019-01-06 20:18:24
らいおねサン @WRaione

全くに『ゼクス』『-アドベント』の物語が無駄だったとは思いません。 生死をかけた戦いの歴史が終わり、個人的な野望をめぐる戦いに移ったことは過去シリーズの功績を示すことになりますし、戦いの歴史そのものについての向き合いの機会としても意味あるものです。

2019-01-06 20:18:25
らいおねサン @WRaione

有り体に言えば「ボンクラ」なんですけど、それがむしろ喜ばしいものだとは思えないでしょうか。 生存をかけた椅子取りゲームを終わらせようとする英雄の物語ではなく、知己のヒトビトの自由を守る、ヒーローの物語に変わったといいますか。 純粋に元気の出てくる内容になれたよなあって。

2019-01-06 20:18:26
らいおねサン @WRaione

『-アドベント』の隠しエンディングでは続編の可能性を露骨に匂わせてしまっているんですが、文芸的には無理に作らなくともじゅうぶんな結末は作れてるんじゃないかな、と思います。 いえ、出るに越したことはないんですが。

2019-01-06 20:18:26
らいおねサン @WRaione

出るにしても、『ゼクス』の魅力的な世界観を、もっと縦横無尽に駆け回れるような内容だったら嬉しいですね。 最前のサントラに収録された「とある定食屋の1分間の音声スケッチ」とか、「気分転換にプレリーの洋服を買いに行くボイスドラマ」みたいな……

2019-01-06 20:18:28