私と人形 ドルフロ:ショートショート

ドルフロを題材にしたお話
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イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

#私と人形 私は『指揮官』PMCのグリフィンに雇われた元軍人だ。今ではとある地域の分屯基地を任されている。基本的には平和な場所だ。ただし、鉄血の人形が現れなければ、の話だが。私は奴らの脅威を身に染みて判っている。その事は追々話すとしよう。私は今日も書類仕事に就いていた。

2019-01-29 06:18:21
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

他愛も無い仕事だ。辺境の分屯基地の仕事なんて、何があったか。人形の被害率はどれ程の物か。補給物資の申請。此らはテンプレート化され、人形からもたらされた情報や副官からの意見具申によって私は書類にペンを走らせる。堅苦しく動く手を使って。「指揮官、お疲れではありませんか?」

2019-01-29 06:25:44
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

副官…スプリングフィールドからの言葉を聞いて私は背筋を伸ばした。関節が鳴る。確かに些か書類仕事に熱中していたらしい。「マフィンが焼けましたので、一服如何でしょう」「ありがとう、スプリングフィールド」彼女の焼くマフィンは、贔屓目に見ても美味しい。そして同時に淹れられる珈琲も美味い。

2019-01-29 06:33:57
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

一時のブレイクタイム。他愛も無いお喋り。その時不意に、幻肢痛が走った。私は歯を食いしばって耐えようとした。「指揮官!?無理を為さらないで!鎮痛薬を!」震えて身動きの取れない私に、彼女は何の躊躇も無く、私に口移しで水と薬を飲ませてくれた。暫くして 薬が効いたらしく、痛みは治まった。

2019-01-29 06:39:18
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

本当にこの幻肢痛には困らせられる。片目が、そして私の四肢が唐突に痛むのだから「何度も仰いますが、無理はしないで下さい。何時かの様に、痛みで倒れられては私達も気が気でないのですから」彼女、スプリングフィールドの言う事も尤もだ。では少し昔話をしようじゃないか。つまらない昔話を。

2019-01-29 06:43:23
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

私は以前、前線で闘っていた。鉄血の戦闘兵器と。しかし、私の所属していた部隊は数名を残して壊滅。私も死にかけていた所を偶然助けられた。命と引き換えに、体の多くを失って。その結果がこれだ。四肢と片目を失い、それを補う為に私は義手に義足。そして片目は義眼を付ける羽目になった。

2019-01-29 06:48:20
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

皮肉なのはこれらの義手類は、彼女ら人形の技術によってもたらされた物であり、日常生活にはなんら問題の無い義手類だ。だが、失った物の痛みは耐えがたい。幻肢痛に度々苛まされる私はある日、小さな執務室で倒れ込んだ。報告に上がってきた人形の酷く驚いた顔を今でも覚えている。私は告白した。

2019-01-29 06:53:15
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

戦闘で四肢と片目を失ったこと。何故私がこの辺境の分屯基地を任されたのかを。それは少しでも鉄血との戦闘経験を持つ人材を欲されたからだ。彼女ら、人形に此らを告白し、水密カバー代わりの皮膚を脱いでみせると彼女らは息を飲んだ。無理も無い。人形なのか人間なのか判った物じゃ無いのだから。

2019-01-29 06:59:59
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

だが意外だったのは、私は彼女らに受け入れられたと言う事だった。私はてっきり、拒絶される物かと思っていた。こんな機械塗れの人間に、メンタルコアなんぞ預けられるかと。彼女らは私を慈しみ、労い、そして気遣った。嬉しいやら、恥ずかしさやら、己のどうしようも無い無力さに少し涙した。

2019-01-29 07:06:19
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

曰く、生身でありながら勇猛にも鉄血の戦闘兵器と闘った事、そして自分たちとよく似た体である事が彼女らにとって受け入れられた理由らしい。全くもって皮肉な物だ。大怪我を負ったが故に、瞬く間に彼女らに受け入れられるとは。だが、彼女らとの信頼関係を簡単に築けたのは純粋に有難かった。

2019-01-29 07:15:51
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

その時不意にサイレンが鳴った。鉄血の出現を知らせる音だ。「此方は司令官、ナガン。状況は判るか」戦闘指揮所で臨時の監視員を務めているナガン・リボルバーに私は問い掛けた『鉄血の戦闘兵器が3、人形が4じゃな。大した規模ではないが、さっさと駆逐するのを進言するぞ』「部隊の編成は任せた」

2019-01-29 07:23:02
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

『年寄りをこき使わんでくれ』苦笑交じりに言う彼女の口癖に私は小さく微笑んだ「信頼しているからこそ、よ」『仕方ないのう。指揮官殿の頼みとあれば』「私もすぐに戦闘指揮所に向かう。部隊の編成が済み次第、ヘリに乗ってくれ」『了解じゃよ。さて、鉄火場に向かうとするか』

2019-01-29 07:27:46
イブキ(かはたれどきの魔女)(﨟たけた鉄血) @r_s_b_s

「スプリングフィールド」私は副官の彼女に声を掛けた「勿論です。補佐致します」「ありがとう。何時も助かる」「補佐官ですから」そっと微笑む彼女に私は信頼感を感じていた。さぁ行こう。私の戦場へ。彼女らを指揮する為の戦闘指揮所へ。今度はもう、負けるつもりはない。彼女らが居るのだから。

2019-01-29 07:32:07

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