ギガベース日誌 ACT07「CREATED VICTIMS」06

再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「パルヴァライザーLC-60083、戦闘開始」　#ギガベース日誌

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「クイーンズランスより各部隊へ。AFのパルヴァライズ進行率、81%。コジマ粒子拡散影響場の完全消滅を確認。各部隊長はPAの展開を開始せよ」 「了解。港湾水鬼、PA展開開始」 クレイドルから投下された巨大なカプセル。その１つが展開し、内部から人型の深海棲艦が現れる。 #ギガベース日誌

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港湾水鬼を包んでいたカプセルは、海面に根を張るかのように膨張。周囲の海水を固形化し、港湾水鬼の為の舞台を構築する。 構築の最中、港湾水鬼の存在に気づいたオーメルの艦娘達が、対地装備による集中攻撃を開始した。 「あぁ……？」 #ギガベース日誌

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艦娘達が放つ対地ロケットと三式弾の雨を、PAが徹底的に拒絶する。 「か弱い……あまりにも、か弱いなぁ……救ってやらねば」 発艦する球状の艦載機。口蓋を備えた球状の機体は、QBに匹敵する速度で艦娘達に突撃する。 「赤い新型？！」 「赤い奴は強いに決まってる！注意しろ！」 #ギガベース日誌

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対空射撃を避け切った個体が、狭霧の右腕に食らい付いた。 「がぁっ？！何っ！？痛い！！離してっ！や、やだぁ！」 雷撃でも爆撃でもない、噛み付きという非常識な攻撃手段とそれに伴う激痛に狭霧の平常心は蹂躙される。 「嫌だ！離し……いがっ！？」 #ギガベース日誌

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艦載機を引き剥がそうと右腕を振り回していた狭霧の頭部と四肢に、計4期の艦載機が立て続けに噛み付いた。 艦載機達はそのまま上昇し、誰ともわからぬ相手に許しを乞う狭霧の体を5つに引き裂き捕食した。 「嘘っ……」 「冗談でしょ……こんなのっ」 #ギガベース日誌

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艦載機は狭霧の欠片を少し咀嚼した後、唾でも吐くかのように海面に投げ捨てた。 程よく噛み砕かれた肉と衣服の混合物は黒い液で彩られ、深紅の装甲を纏った駆逐イ級となる。 その光景を目の当たりにした艦娘達の動きは精細を欠き、1隻ずつ丁寧に深海棲艦に加工されていく。 #ギガベース日誌

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「んまぁ何だ、見てくれは良くないが……こっちも切羽詰まってるんだ。許しておくれよ」 逃げ惑う艦娘達を見つめながら、港湾水鬼は気だるげに呟いた。 #ギガベース日誌

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「何なのよ、こいつらっ！」 突如降下してきたル、タ級の混成艦隊と熾烈な撃ち合いを繰り広げる本社防衛部隊の艦娘達。深海棲艦は、共に降下してきた黒いカプセルを守るように囲んでいる。 「長門さん！あれどうする？！」 「下手に手を出すな！提督からの指示を……」 #ギガベース日誌

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長門が言い終わるより先に、カプセルは開花するように展開し、内部にいた大型深海棲艦が姿を表した。 「泊地水鬼、PAの展開を開……っぎゃあっ！」 カプセルの中身を視認した艦娘達は、最優先撃破対象を中にいた泊地水鬼に移した。 #ギガベース日誌

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「あ、あぁ……？！私、壊れ？あぁ、痛い、痛い……？！」 傷付いた自身の下腹部に右腕を突き刺す泊地水鬼。白く細い指が傷を抉り、コジマ粒子や黒い液状物質が吹き出す。込み上げる感覚に、泊地水鬼は死体のように青ざめた頬を染め恍惚の叫びを上げた。 #ギガベース日誌

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「あぁ、そう！この身体なら！壊れても痛くてもっ！全てが救われる！壊れるのは気持ち良くて、救われるっ！！だったら……！！」 自身の各部にマウントされた砲台を四方八方に向け、泊地は背を仰け反らせながら絶叫と共にそれを放った。 #ギガベース日誌

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「私がみんなを助けてあげるからぁああぁっっ！！！！！！！！！」 泊地の正面に展開していた深海棲艦達が、放たれた黒い直線を後ろから浴び、触れたそばから細切れになっていく。 「レーザー砲台っ？！」 「違う！ありゃ水圧カッターか何かだ！」 #ギガベース日誌

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「あんなもん、どうやって避けろっての！」 「撤退だ！私達が敵う相手じゃない！」 「撤退ったって！戻ればいいんだよっ！！！」 護衛の深海棲艦を好き放題に切り刻んだ水圧カッターの刃は、新たな獲物を欲するように艦娘達に向けられた。 #ギガベース日誌

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先頭にいた長門と陽炎の肉体を、黒い刃が斜めになぞる。 真っ二つにされた二隻の断面が悪性腫瘍の如く過剰に膨張し、軽巡ホ級に似た深海棲艦が断面から形成されていく。 「みんなみぃんな！残らず救ってあげるからぁ！！！！」 #ギガベース日誌

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戦場が深海棲艦によって染め上げられていく中、ダーインスレイヴが真下のオーメル本社をメガフロートごと押し潰し、周囲のメガフロートまでもが傾斜し沈んでいく。 最早オーメル側の艦娘と提督には、守るべき対象も帰るべき場所も残されていない。 #ギガベース日誌

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本社の完全破壊を確認した戦艦水鬼、クイーンズランスはゆっくりと立ち上がり、眼前に広がる戦場を一望する。 「ようやく成就する……我々は今日、単なる殺戮者でなくなるのだ」 「おい、クイーンズランス？聞こえるか？」 #ギガベース日誌

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「こちら防空棲姫。離島と港湾、泊地の展開が完了した。僕も出ていいかい？」 「許可する。相手はギガベースだ、油断するなよ」 「わかってる。あんな思いは、二度としたくないからな」　#ギガベース日誌

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「……聞いていたよりも、聡明だな」 「彼は自分の最期を認めていないようだからね。二度目はごめんだろうさ」 クイーンズランスの真横では、蠢く肉の群れの上に吹雪が平然と立ち、上方のネクスト達を眺めている。 「あの駆逐艦は？」 「ギガベースの取り巻きの排除に向かったよ」 #ギガベース日誌

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「セントエルモ級4隻だろう？ノーマル1機でどうにかなる相手でもあるまい。空母水鬼あたりでも向かわせ……」 「必要無いね」 「何故だ？」 「彼女は、"特別"だ。僕と、DfJと、神様が認める程度には」 #ギガベース日誌

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ギガベース艦橋。 深海棲艦の降下と同時に起こった通信妨害により、艦橋内は混乱を極めていた。 「提督との通信は？！」 「ダメだ！！本社近くの連中も応答が無い！かろうじてセントエルモ辺りの防衛隊と金剛さん達に繋がるぐらいだ！」 #ギガベース日誌

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「敵、推定降下数出ました！駆逐級から戦艦級まで、約二万隻！大型艦艇や未確認兵器も含まれます！」 「桁一つ間違えてんじゃねえだろうな！」 「葛城さんから通信です！繋ぎます！」 ざわつく艦橋内に、葛城の震える声が響き渡る。 #ギガベース日誌

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「こちら防衛部隊葛城！敵ACからの狙撃でセントエルモ2番艦が大破！現在、接近してきた第2世代ノーマルと深海棲艦を護衛部隊で迎撃中！何なのよこいつっ！」 深海棲艦と行動を共にするAC。かつてギガベースは、そのような相手とも対峙した事がある。　#ギガベース日誌

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しかし、今回の状況は異常過ぎた。ギガベースの艦娘とセントエルモ3隻を以てしても苦戦する相手、しかもそれが第2世代ノーマルたった1機と聞き妖精達が困惑する一方で、何を思ったのか隼鷹が葛城に直接指示を出す。 「その機体の映像、こっちに出せるか？！」 「えぇっ？り、了解！」　#ギガベース日誌