ロフトプラスワン石崎店長の「なぜ僕は元・貴闘力をあそこまで怒らせたのか？～お車代2万で貴闘力を呼ぼうとした男～」

石崎典夫 @nori_king

42まだ貴闘力氏を乗せたタクシーが到着した様子はない。１０分経過。もしかして道路の反対側に止まっているのか？と思い、信号を渡って反対側へ。１台１台タクシーをチェックするもそれらしき車はない。１５分経過。時刻は１４：４５。これはさすがにおかしいだろうと思い、（続）

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43貴闘力氏に電話しようとするも、もしかしたら道路が混んでるとか、運転手さんが別の神社を花園神社と勘違いしたのかな？等、思い浮かぶだけの理由を並べて、恐いから電話を掛けるのを躊躇する。そうしてる間に１４：５０になってしまった。その時、携帯が鳴った。貴闘力氏からであった。（続）

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44「あ～、ドン・キホーテって大久保の方？それとも歌舞伎町？」。しまった、あらかじめ地図はお送りしていたものの、どっちのドンキかは伝えていなかった。もちろん歌舞伎町であって、大久保のドンキからだとプラスワンまで片道10分はある。（続）

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45これで、もし大久保のドンキに貴闘力氏が向かっていたら…。全身から否応なく汗が吹き出る。「いや、歌舞伎町の方です！歌舞伎町のドン・キホーテ前です！」「あ、そ。運転手さん、歌舞伎町の方で」。良かった、まだタクシーの中のようだ。時刻は１４：５５になっていた。（続）

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46相変わらずドン・キホーテ前と、反対側とを行ったり来たりしていた。そして何度目かのドン・キホーテ前に戻ってきたその時、黒の革ジャンと黒のスラックスに身を包んだ貴闘力氏がその姿を現した。タクシーは途中で降りたようで、徒歩でドン・キホーテ前に現れた。（続）

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47その第一声は「歌舞伎町、久々やな」。しかしその目は僕に合わせてはくれなかった。「じゃあご案内しますので」僕が先導し、貴闘力氏がその後を往く。ゆっくりと久々に訪れる歌舞伎町を確かめるように歩を進める。途中、何件か居酒屋があり店の前に張り出されたメニューをチェックする貴闘力氏。続

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48思いきって声を掛けてみる。「何年振りなんですか、歌舞伎町は？」「……」やはり返答はなかった。貴闘力氏の2～3メートル先をリードしながら、遂にプラスワンがあるビルへと辿り着いた。エレベーターを降りて地下2階へ。扉が開く。15:00、貴闘力氏が初めてプラスワンに足を踏み入れた。続

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49楽屋へとご案内する。鹿島氏の配慮で、鹿島氏と親しい女性メンバーが楽屋に待機。出番まで貴闘力氏をおもてなしする作戦であったが、貴闘力氏が楽屋に現れたその瞬間、緊張感が伝染したのであろう、挨拶を交わした後、誰一人、貴闘力氏に話しかける女子は居なかった。（笑）

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50あらかじめ確認しておきたいことがあった。お車代の件である。今回、出演料はノーギャラでとご厚意で来て頂いたのだが、新宿に来るまでのタクシー代はお支払します、と事前に約束していた。楽屋でそのことを聞くと「後でいいから」とポツリ。それが今日、貴闘力氏と初めて交わした会話であった。続

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51それ以降、貴闘力氏は目を閉じて腕組みをし、壇上からの声を聞きつつ貴闘力氏なりの「待つ」ポーズを始めた。壇上ではまだ第一部が行われていた。「貴闘力さん、入られました」のメモを送り、一旦休憩に。出演者が楽屋に戻り、貴闘力氏と挨拶。その時、初めて貴闘力氏の顔から笑みが漏れた。（続）

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52その時、初めてホッとした。第二部は貴闘力氏を迎えるＶＴＲに始まり、鹿島氏・居島氏の「相撲愛」溢れるトーク、第二部に豪さんも出演して頂きBUBKAでの取材話も織り交ぜつつ、トークは円滑に進んでいく。中盤辺りから貴闘力氏同門であった若貴とのエピソードから相撲協会の話へ、（続）

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53そして遂に事前ＮＧの八百長問題に、鹿島氏は踏み込んでいった。しかし貴闘力氏は帰らなかった。逆に真正面から受け止め、それをいなしていく。攻める鹿島に受ける貴闘力。まさにガップリ四つのトーク。鹿島氏の言う「来てさえくれれば大丈夫！」という言葉が実証された瞬間であった。（続）

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54 16:00、第二部が終了し先に楽屋へと戻ってきた貴闘力氏。片道7500円、計15000円のお車代を貴闘力氏にお渡しする。最後まで目は合わせてくれなかったが、貴闘力氏はプラスワンにて見事な取り組みを見せてくれたのだった。イベント全て終了し、（続）

石崎典夫 @nori_king

55プラスワンの事務所にて僕は真っ白になっていた。とりあえず終わってホッとした気持ちと、このままで終わっていいのか、という気持ちが交差する。その時、以前「ドラゴ」にて貴闘力氏に聞いた話を思い出した。BUBKAのインタビューを見て貴闘力氏を応援する電話が40～50件来て、（続）

石崎典夫 @nori_king

56それがいたく感動したという話であった。そうだ、今日見に来てくれたお客さんの感想と、お礼の手紙を書いて貴闘力氏に送ろう。お客さんの感想はtwitterに数多くツイートされていた。どれも好意的な意見でそれをプリントアウトした。手紙には自分の気持ちを正直に綴った。（続）

石崎典夫 @nori_king

57これまでの非礼を詫び、今日のトークがいかに素晴らしかったかを心を込めて書いた。そして数日後、携帯が鳴った。貴闘力氏からであった。「おう、感想見たぞ。これ、いいやつだけ選んで送っただろ？」相変わらずぶっきらぼうだが、ちょっとだけ声色が変わっていた（続）

石崎典夫 @nori_king

58「違いますよ～！ほとんどいい感想でしたよ！」「ほとんどってことは何通か悪いのもあったやろ。正直に言うてみい」「いや、言い方間違えました。全部いい感想でした！」「嘘つけ！正直言いてみい」今までからすると考えられないやりとり。（続）

石崎典夫 @nori_king

59そして最後には、「今度、皆でまた店きてな。待ってるからな！」と声を掛けてもらった。それぞれの世界にはそれぞれのしきたりやルールがあって、僕は誤ってそれを踏み越えてしまったのだと思う。でも最終的には相手の気持ちに立った対応なのだと改めて分かった。（続）

石崎典夫 @nori_king

60その事を忘れないようにここに記しておこうと思います。許可なくお名前を出してしまった皆様、大変申し訳御座いませんでした。（完）

石崎典夫 @nori_king

有難うございます！もうしません！（笑） RT @kemta: 貴闘力ドキュメント、なんとなくいい話で完結！　@nori_king ご苦労様でした！