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教育に「エビデンス」を追求することの難しさ

中室牧子氏の指摘する「教育はエビデンスに基づくべき」という主張に、基本的に同意。ただし、教育は実験科学的なエビデンスを得にくい分野であるという自覚も必要。
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shinshinohara @ShinShinohara

研究者として常に心がけているのは、エビデンス(証拠)。実験データの裏付けがないと、自信を持って理論を提唱できない。データがない場合は「分からない」と答え、「仮説だが」と断ってから、見立てを述べるのが関の山。そんな私が上司本、子育て本を書くとき、困ったのがエビデンス。

2018-11-29 21:27:24
shinshinohara @ShinShinohara

中室牧子氏が「学力の経済学」で語った、エビデンスに基づいた指導法の構築、という主張には、基本的に賛成。ただし、エビデンスがない指導法は全部無視してよいかというと、それは極端だと考える。なぜなら、教育・指導の分野は、実験データの裏付けを取るのが難しい事例が多いからだ。

2018-11-29 21:32:27
shinshinohara @ShinShinohara

例えば10人の教員に「子どもにこういう語りかけをしてください」と、実験したとしよう。残念ながら、教員によっては、同じ語りかけなのに子どもの反応が違い得る。ある先生の場合は子ども達がニコニコして「はい!」と元気よく返事するのに、別の教員だとビクビク、泣きそうな子どももいるかも。

2018-11-29 21:36:03
shinshinohara @ShinShinohara

私自身、こんな経験がある。ある幹部が私を戒めようとして話してきたことに私は怒り、「我々の使命は何だと思ってるんですか!」と机を叩いて反論。すると別の上司が私を諭し、私は納得。ところが怒鳴られた幹部は「同じことを言ってるのに、なんで私は怒鳴られなければならなかったのか」と愚痴。

2018-11-29 21:39:23
shinshinohara @ShinShinohara

これは面白いと思った。確かに、幹部も上司も、語った内容は同じ。なのに私は幹部の話を怠慢と感じ、上司の話を賢い慎重さと受け取った。なぜこの違いが出たのか? 「ボディーランゲージ」だ。つまり、姿勢や態度から伝わる、言葉にならない言葉が、言葉以上に、その人の心の中を映し出すからだ。

2018-11-29 21:43:26
shinshinohara @ShinShinohara

その幹部は、私を明らかにバカにした態度をとっていた。だから内容も、仕事の手を抜くようにという風にしか聞こえなかった。ところが上司は私の仕事を高く評価してくれており、時間配分をうまくするように、という、体調を慮るものだと感じた。言葉は同じだが、意味はひどく変わった。

2018-11-29 21:46:18
shinshinohara @ShinShinohara

これが、教育や指導という分野で実験データをエビデンスとして集めることを難しくしている理由。実験データとして客観性を持たせるには、3反復以上の、同じ処理をした場合のデータが必要だが、3人いれば三様の反応となり、なかなか「同じ処理」という状態を作れない。

2018-11-29 21:51:08
shinshinohara @ShinShinohara

ある先生が「ハーイ、静かにして!」と声をかければピタッと静かになるのに、別の先生が同じように声をかけてもワイワイガヤガヤ。前者の先生は「これから大事なこと言うぞ!」という気迫があるが、後者はビクビクオドオドだったりする。ボディーランゲージがものを言う。

2018-11-29 21:53:29
shinshinohara @ShinShinohara

実験をする場合は、同じ条件に揃える必要があるが、「同じ様な先生」を集めるのは不可能。先生は一人一人個性があり、「同じ先生」を揃えることができない。反復を揃えることができないから、指導法の効果を客観的に検証することが難しい。

2018-11-29 21:59:08
shinshinohara @ShinShinohara

いきおい、教師の個性に左右されない部分だけしか検証できない。だから、エビデンスに基づいた教育学の鼎立、というのは、目指すべきではあるのだけど、いつの話になるのやら、そもそもその企ては成り立つのか、冷静に考える必要がある。

2018-11-29 22:03:33
shinshinohara @ShinShinohara

子育てや部下の指導法を研究するには、実験データをエビデンスと考える「実験科学」とは別の「科学の作法」を重視するのがよかろう。生態学などでおなじみの、「観察科学」だ。

2018-11-29 22:16:44
shinshinohara @ShinShinohara

科学的に学問を進める方法としては、3つある。詳しくはこちらにまとめてあるが、実験科学、理論科学、そして観察科学がある。子育てや部下の指導法を研究するには、生態学や地学でとられている、観察と観察のぶつかり合いからより優れた仮説を生み出す手法が適している。 togetter.com/li/909940

2018-11-29 22:28:05
shinshinohara @ShinShinohara

子どもに働きかけをする。その反応をよく観察する。そこから何が子どもの心の中に起きたのか、仮説を立てる。また別の働きかけを試してみて、前の仮説のままでよいかを検証する。そうして、より優れた仮説へとブラッシュアップする。

2018-11-29 22:46:35
shinshinohara @ShinShinohara

拙著「自分の頭で考えて動く部下の育て方」や「子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法」は、そうした「観察科学」的な手法で見つけていったテクニックを盛り込んだ。しかし真に「科学」であり得るには、私一人ではなく、多数の人たちによる検証が必要。

2018-11-29 22:53:02
shinshinohara @ShinShinohara

あくまで私が一人述べただけでは、「仮説」に過ぎない。しかし「仮説」は提唱されなければ、他者によって検証され得ない。観察して生み出した仮説を別の人の観察から生まれた仮説とぶつかり合わせることによって、観察科学は成り立つのだから。

2018-11-29 22:55:10

コメント

Takeshi 27% ISHIHARA @acacia_harmony 2019年3月1日
私が趣味で発声に関して日々考え、実践しているのは、ここでいう観察科学にあたるのだろう。
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