【考察】なぜ三四郎は優柔不断なのか?─都市の「迷羊(ストレイシープ)」化作用─,『100分de名著』「三四郎」より
- Sweets1942
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番組でも言われていたように、三四郎はどこか頼りなく、決断力がない。 しかし、これは彼が未熟なせいなのだろうか? 私は、別の要因もあると考える。 その要因とは、都市(東京)へ出てきたことにある。 #100分de名著
2019-03-04 23:14:20都市において、人は様々な選択を提示される。 三四郎の冒頭は、まさにその選択提示が行われた場面である。 見知らぬ女と一晩宿を過ごすかどうか?という選択を迫られた。 結果としては、一緒に泊まりはするけど、何もしないという選択を三四郎はした。 #100分de名著
2019-03-04 23:17:10その後も、三四郎への選択の提示は続く。 里見 美禰子との出会いは、彼女と時を共にする選択を提示する。 また、脳裏には、幼馴染のお光さんがよぎる。 この二人の女性とどちらと共にするか?という選択を迫られる(もちろん、上手くいかないかもしれないけど)。 #100分de名著
2019-03-04 23:20:53そのような膨大な選択の提示により、人は、「迷羊(ストレイシープ)」となる。 菊人形見物から抜け出したとき、里見 美禰子が「迷羊(ストレイシープ)」とつぶやいた。 これは三四郎が、膨大な選択肢に迷っていることを意味している。 #100分de名著
2019-03-04 23:25:00では、逆に三四郎が自分の田舎にずっと住んでいたらどうだっただろうか? まず、配偶者は幼馴染のお光さんであろう。 また、職業は親の地主を継ぐであろう。 すなわち、田舎は人に選択肢を課さない。 従って、田舎は「迷羊(ストレイシープ)」を生み出さない。 人生を確定させていく。 #100分de名著
2019-03-04 23:30:05従って、三四郎がどこか頼りなく、決断力がない「迷羊(ストレイシープ)」なのは、彼自身の性格のせいだけでなく、都市が人をそのように仕向けるのだ、と結論づける。 #100分de名著
2019-03-04 23:31:30この都市による「迷羊(ストレイシープ)」化は三四郎にだけ起こっているのではない。 どこかつかみどころがなく、大人びている里見 美禰子も、その影響下にある。 これは、彼女が三四郎・野々宮・銀行家という三人の選択肢を提示され、迷っていたことから分かる。 #100分de名著
2019-03-04 23:34:39従って、都市の「迷羊(ストレイシープ)」化作用は、都市に住む人々万人に起こっているといえる。 もちろん、私たちにも起こる。 進学・就職・結婚・子供…。 様々な選択肢が私たちの前に広がっている。 私たちは「迷いという刑」に服しているのかもしれない。 #100分de名著
2019-03-04 23:38:43