先生と私⑧【再生】

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101 部屋の中には、大きな天蓋の中に花びらを散らしたクイーンサイズのベッドがふたつ並んでいて、間接照明でお洒落な雰囲気の大きな部屋だった。 「この部屋めっちゃかわいい！ 外にお風呂もありますよ！」 今の状況を忘れてはしゃいでるうちに、先生は離れた場所でどこかに電話をしていた。

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102 先生が戻ってきて 『今日はいっぱい楽しもなぁ』 って私を後ろから抱きしめて言うけど、 その声はどこか冷たくて 「え… なんですか？ 怖い…」 リゾートホテルのような雰囲気でもやっぱりラブホテルで、気付くとベッドの上には拘束具が置かれていた。 「え… 先生？」 『脱ごか』

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103 『ほら、今日は言うこと聞くんやろ？』 ベッドに座った先生の前で仕方なく服に手をかける。 何回やらされてもこの羞恥心には慣れない。 無理やり脱がされるほうがまだましで… 下着姿になったところで後ろを向かされ、後ろ手に手枷を着けられる。 「先生… こういうのは…」

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104 『嫌とか言わんよな？ お前やったらこれぐらい経験あるやろ』 「ないですよ…」 ベッドの上に座らされ、足枷も着けられる。 先生は私を抱えて後ろに座り、髪を撫でながら 『あの日… お前友達とおるって言うてたやんな… 上手いこと嘘ついて… 電話繋がらんかったときどこおったん？』

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105 聞かれるけど、バンドの事は口止めされてるし… って返答に困ってたら、 『この期に及んで嘘つこうとか思ってないよな？』 耳元に冷たく突き刺さる声… 言うしかなかった。 「ライブハウスに… いました」 『そうなんや、あいつの歌聞きに？』 「行くまで知らなかったんですけど…」

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106 『あいつのサプライズか… ズルいなぁ』 「先生じゃなくて大倉が連れていってくれて… 私を元気づけるために。 その日ですよ、葉月ちゃんにいろいろ言われたの。 あの朝、先生葉月ちゃんとエレベーター一緒に乗ってきて話してたし…」 『ん？ 俺いま責められてる？』

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107 背中を爪でなぞられて 「ゃ… ごめんなさい…」 身動きが取れないことを思い出す。 『また大倉… ちょっと最近目に余るなぁ』 「私が頼んだんです、帰りたくなかったから… ついでに連れていってくれただけで」 『大倉とヤスが一緒にやってんの？』 「あと丸山さんも」 『そうなんや』

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108 「もう一人知らない人がボーカルで」 『へー、ぜんぜん知らんかったわ』 「すごいんですよ、みんな。 大倉の腕がしっかりしてるのもドラム叩いてたからなんだって…」 返ってこない言葉に、 自分が喋りすぎてたことに気づいて背筋が凍る。 「はっ… ごめん…なさい…」

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109 それでも続く沈黙に恐る恐る振り返ると、 髪を鷲掴みされ下に引かれる。 『ええ加減にしとけよ』 「やっ痛いっ… ごめんなさい…」 『だいたいこの髪型もあいつの趣味やろ』 「痛いっ… やぁっ」 上を向いた顔に先生の顔が近づいて口付けられた瞬間、 下唇に噛みつかれて血の味がした…

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110 「先生… 痛いよ…」 『こんなん、大した痛みじゃないで…』 これから起こることを考えて一気に怖くなる。 『まぁええわ…』 先生がリモコンを操作すると、目の前の大画面のスクリーンに目も当てられないような男女の映像が映し出される… 『なぁ、ヤスとお前こんなことしたん？』

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111 「先生、もうやめて…」 『ちゃんと見ろって。 この女の人がお前で、男がヤスやと思って…』 顔を前に向けられ 『絶対に目閉じんなよ』 耳に口を当てて言われる。 『お前はこんなことを 俺以外のやつとしたんやで…』 生々しい映像の中で下品に喘ぐ女性に自分を重ねると、気持ち悪くなる…

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112 「ほんとに… やめて」 顔を動かそうと思っても固定されたままで… 『なんで泣いてんの？ めっちゃ気持ちよさそうやんか… どんな体位でやられたん？』 「やめて…」 『ヤスのでかいのでお前何回いかされたん？』 「もう、ほんとにやめて！ こんなこと… なんのために…」 『答えろや！』

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113 『そのあいだ、一瞬でも俺のことが頭に過らんかったんか！』 こんなきついことしながら、 傷ついてるのは先生のほうな気がした… 「ずっと先生のことしか頭になかったですよ。 でも必死で忘れたいと思って安田先生に抱かれたけど、 体は感じるのに頭も気持ちもぜんぜんついていかなくて…」

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114 「ごめんなさい… 先生」 ぎゅっと抱きしめられるけど 『エリ… ほんまに好きや… 好きやから許されへんわ… ごめんな』 「え…」 理解できない先生の言葉を必死で考えてたら部屋のインターホンがなる。 先生は当たり前のようにドアに向かって行って誰かと話していて…

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115 ‘’お邪魔します、お楽しみのところごめんなさいね‘’ 女の人を招き入れる。 全く予想していなかった事態に下着姿の自分を恥じることも忘れて 「先生、誰？」 『俺のお友達。美人やろ？』 「え？ なに考えてるの？」 『お前に俺とおんなじ気持ちを味わってほしくて…』 「えっ？」

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116 そう言うとグラスとシャンパンを持ってきて、隣のベッドで飲みはじめる二人… 「先生？ 冗談ですか？」 私に見せつけるようにこっち側に座ってる… 『リナ元気やった？ ごめんな急に呼び出して』 ‘’きみくんのお願いならいつでも大丈夫よ‘’ なにこれ… 嘘でしょ？ このあとすることって…

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117 ‘’っていうか、すごいの見てたんやね(笑)‘’ 『リナも興奮するやろ？』 「やめて、先生！ これほどいて！」 『黙って見とけ』 そんなの絶対に耐えられない… ‘’本当にいいの？ 可哀想じゃない？目の前で…‘’ 『お仕置きやねん、誰にでも股開くから…』 「嫌！ お願い、帰らせて！」

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118 「したいなら勝手にしていいから、 お願い、外に出させて！」 ‘’可哀想… なんかこんなところでできるかな‘’ 『お前、黙っとけ言うてるやろ』 そう言いながらこっちに来て、後ろに回ったと思ったら猿ぐつわをはめられた。 「んー、んー」 やめてって叫ぶけど全く言葉にならない。

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119 『ごめんな、リナ』 女性のところに戻ると、先生が女性の服を脱がせながらキスしはじめた。 「んー、んっ…」 体を反対に向けベッドに伏せるけど、 塞げない耳からはずっとさっきの映像の音と共に、二人の声とリップ音が聞こえてくる… 『相変わらず綺麗な体してんなー』 ‘’はずかしいよ…‘’

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120 こちらのベッドが軋み誰かが乗ってきた気配に振り向くと、 下着姿の女性が ‘’いくらなんでも可哀想だから、これ着けてあげる‘’ そう言って私にアイマスクを着ける。 少しするとまた聞こえてくる二人の声に、 体を丸めて時間が過ぎるのを待つしかなかった。 ‘’やっ… きみくん…気持ちいい‘’

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121 叫んでも叫んでも声にならない私の意志は 映像の卑猥な音と女性の嬌声にかき消される。 ずっと叫んでいるのとこの状況に頭がどくどくと脈打ってぼーっとし、 体も痺れてくる… 叫ぶ体力もなくなって、力なく泣き続けるしかなかった。 ‘’やーっ、ダメぇ、きみくん… ああぁっ‘’

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122 女性の一際大きな声が遠くに聞こえる… 自分の感情も分からないまま涙を流し、 閉じられない口からは唾液を垂れ流す。 どちらかが私のいるベッドに乗ってくるけど、 体を起こされた手で先生だと分かった。 猿ぐつわが取られて… 「触らないで、お願い… このまま帰らせて… 許して…もぅ」

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123 アイマスクを取られても、 直後の二人を見るのが嫌で体を伏せる。 それでも私の顔を持ち上げてキスする先生… 「ほんとに… やめて…」 『ちゃんとこっち見て』 感情が消えかけてしまってる私は言われるまま目を開けた。 『顔どろどろやん… 辛かったな、ちょっとやりすぎた』

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124 「えっ…」 そこには服を着た二人がいて… 「なんで… どう…いう…」 『お前があんまり叫ぶから、ちょっと胸痛かったわ』 ‘’ほんとにごめんね、大丈夫？ ちなみ言っておくと私は赤の他人のヘルス嬢だから恨まんといてね。 こんな声だけの仕事なんて初めて…(笑)‘’

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125 「あ… 」 拘束も解かれて放心状態で抱きしめられるけど、頭にも体にも力が入らない… 『大丈夫か？』 ‘’ほんとに可哀想… ここまでしなくても… ちゃんとケアしてあげてよ？‘’ 女性はそう言ってサイドテーブルに置いてあったお金を持って出ていった。 『なんか言えよ… なぁ』