焼け跡のエレン先生——中学英語はこうやって始まった(中3)

中学英語教科書の戦後第一号『Let's Learn English』を分析していこう
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まとめ 焼け跡のエレン先生——中学英語はこうやって始まった(中2) 中学英語教科書の戦後第一号『Let's Learn English』を分析していこう 4117 pv 7

これの続きです

uroak_miku @Uroak_Miku

葛藤は回転によって均衡を保ち、回転の運動エネルギーから思わぬものがとびだしてくる。なんちゃってインターナショナルスクールしかり、エレン・ベーカーしかり。 pic.twitter.com/oqrYYwXWUd

2019-03-09 04:56:28
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1)『Let's Learn English』中三編の分析へ。

2019-03-09 05:30:16
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2)表紙は中1~3とおして同じ。 もっとも「Book 3」とあるのは中三用の表示。 pic.twitter.com/u0Llr74Yt2

2019-03-09 05:33:17
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4)左ページに本書の基本構成が。PARTⅠとPARTⅡに分かれていて、2が口語英語つまり英会話の章。 右ページよりPARTⅠが開幕。 pic.twitter.com/ulOIYjEMjd

2019-03-09 05:36:36
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5)左ページは、PARTⅠのもくじ。 April、May、June、July…と縦に並んでいるのがわかるでしょうか。4月、5月、6月、7月…と月単位で章が組み立てられています。 pic.twitter.com/QwcPtZWlVh

2019-03-09 05:39:20
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6)事実、右ページは4月の章。

2019-03-09 05:40:01
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7)4月を舞台にした、トムとメアリ兄弟の朝の様子。ちょっとした短編小説。 中二編がイソップ童話とかガリバー旅行記とかの読み物だったのに対して、今度のはぐっと親しみやすいお話でスタート。 pic.twitter.com/3PjSsRmDtj

2019-03-09 05:42:51
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8)この落差の大きさは、中二と中三で編纂者が異なることに由来しています。 中二掲載のものは、どうやら明治以来ずっといろんな教科書で使われてきた長文の再利用のようです。 一方でこの中三のものは、アメリカの小学校に通っていた帰国子女の女性によるものでした。

2019-03-09 05:45:54
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9)当時の文部大臣の秘書さんです。バイリンギャル(死語)。ですので英文がとても生き生きしています。

2019-03-09 05:46:52
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10)それにしても奇妙なことです。 中三編のほうが中二編よりくだけていて読みやすいのだから。 中一、中二、中三の教科書がそれぞれ独立していて、今のようなステップアップの工夫がなされていないのです。 よくこんな代物を堂々と全国の新制中学校に配ったものだと思いますね。

2019-03-09 05:52:50
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11)ただ当時の裏事情を鑑みるに、頭ごなしにけなすのはためらわれる。 このシリーズは昭和22年4月の新制スタートと同時にデビューしたわけですが、実は新制への切り替えをCIE(占領軍の教育部門)が宣言したのが前年の9月でした。

2019-03-09 05:55:33
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12)つまり半年で各教科の教科書を文部省はこしらえなければいけなかった。

2019-03-09 05:57:45
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13)上からの命令で嫌々やっていた…と思った方は零点。むしろミンシュシュギの理想に燃えて、各教科の教科書が、文部省の職員たちによって開発された。

2019-03-09 05:59:22
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14)理想に燃える(=敗戦を受けての生まれ変わり願望=過去の自分を切り捨てたい願望=生き残ってしまったことへの罪悪感)開発チームの志はいいとして、実際に使うことになる新制中学生たちの便宜が置いてきぼりになってしまった。 少なくとも英語教科書についてはそういわざるをえないでき。

2019-03-09 06:07:48
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15)要するにメソッドが確立されていなかったのです。

2019-03-09 06:08:38
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16)今の私たちが中学で使った英語教科書は、メソッド開発後のものです。 be動詞から始まって一般動詞が登場して[中略]接続詞が順にデビューして現在完了形が現れて関係代名詞の説明があって…というステップアップの組み立て。 これは戦後開発のものなのですよ。

2019-03-09 06:10:45
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17)この『Let's Learn English』(文部省)はそういうメソッドの確立前に作られたものです。分析していくとそれがよくわかる。 この二年後に教壇デビューすることになる『Jack & Betty』(開隆堂)からですねこのメソッドが現れるのは。

2019-03-09 06:12:41
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18)この話は後にまわすとして、分析を続けます。

2019-03-09 06:25:34
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19)EXERCISEが興味深い。これも生き生きとした問いが続くのです。 pic.twitter.com/CiFUOkDQs1

2019-03-09 06:29:49
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20)たとえばこれ。各文に「”」を入れろという課題。日本語でいうカギカッコです。 pic.twitter.com/lxPshPBlTY

2019-03-09 06:31:21
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21)これがよくわからない。各文を含んだ英文をこしらえてみろとあるのですが、二つ目のはすぐわかるとして(「…」の部分に何か文を入れてみろ、だから)ほかのはどうすればいいのか。 pic.twitter.com/YBrGDPognV

2019-03-09 06:33:37
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22)たとえば一つ目の  It took a long time to wake him up. (彼を起こすのにはずいぶん時間がかかった) これを含んだ英文を作ってみろといわれても…どうしたらいいんでしょうね。

2019-03-09 06:35:12
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23)和訳してみましょうという問い。面白いですね中一中二ではこういう問いは見かけなかったから。 pic.twitter.com/ImSg9wsJ54

2019-03-09 06:36:53
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