焼け跡のエレン先生——中学英語はこうやって始まった(中3)

中学英語教科書の戦後第一号『Let's Learn English』を分析していこう
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uroak_miku @Uroak_Miku

49)ここ、興味深い。「あいむふぁいんせんきゅ、あんじゅー?」とは違うフレーズであいさつしてる。こちら(教科書のあいさつ例文)のほうが自然に感じる。 pic.twitter.com/beJDFuWjme

2019-03-09 14:20:10
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50)このやり取りもすごく自然。  Help yourself, please. (コーヒーをどうぞ)  Thank you. It's very good coffee.(どうも。これはすごくおいしい)  I'll ring for another cup. (もう一杯持ってこさせるよ)  Oh, never mind. (ああどうかおかまいなく) イラストと微妙に食い違う pic.twitter.com/q6VB0kU1Tc

2019-03-09 14:25:17
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51)電話でのやり取り。こんな電話機、昭和22年の日本では使われていなかったと思う。当時の中学生(と教師)にこのイラストは、そして電話のやり取りじたいがサイバーパンクでとてもかっこよく思えたと思います。 pic.twitter.com/MKrlSIGFjh

2019-03-09 14:33:47
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52)道を訊かれたときの応対。  turn to the left at the second crossing. れれれ「二つ目の交差点で左向け左をしてください」と聞こえる。この時代にはこれで〇だったのかな。  turn left at the second crossing. なら「二つ目の交差点で左にまがって」で〇に。 pic.twitter.com/XVwAxYzgFx

2019-03-09 14:38:29
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53)それから  Not at all. また古風な…「どういたしまして」は今なら「Sure.」で済ませてしまうと思う。 時代を感じさせます。 pic.twitter.com/ohV3rXq2kn

2019-03-09 14:40:54
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54)文房具店にて。ノートを買うのにいちいちこんなやり取りをしていたのでしょうかこの頃のUSAでは。 pic.twitter.com/XtBJ197IcM

2019-03-09 14:52:03
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55)ネイティヴにすればここまで紹介した会話スキットは、呼吸と同じくらい楽勝と思われるのですが、日本の中学生にとってはハイレベルな英文です。当時でも今でもです。

2019-03-09 14:53:34
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56)たとえば  I'll take this. (これにするね) は今の子だと中二以降でないとわからない。「′ll」は中二デビューだから。

2019-03-09 14:55:16
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57)便りを送っています。「先日はお見送りありがとう」な内容。 ごく自然かつ平明なあいさつ状なのですが、これでもニホンジンの英語学習者には難所がいくつも待ち構えている。 pic.twitter.com/f9vMGPYUd6

2019-03-09 15:00:02
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58)「後日本を送るよ、気に入ってくれるとうれしいな」  I hope you will like it. これで〇なのですが、もし  I hope you like it. なら✖になります。どうしてかわかるでしょうか。 pic.twitter.com/CB3IzY6OaP

2019-03-09 15:06:01
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59)たとえば日本のこけし人形か何かを、直接相手に手渡して  I hope you like it. (気に入ってもらえるかな) なら〇で    I hope you will like it. ですと「いいから気に入ってくれたまえ」と聞こえてしまうのです。

2019-03-09 15:08:09
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60)この食い違いがどうして生じてしまうのか?ここでは説明は省略。とにかく、こういうネイティヴにすれば息をするのと同じくらい意識もしないでできてしまうことを、私たちノン・ネイティヴは必死に努力して会得しないといけないわけです。

2019-03-09 15:09:46
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61)分析的に解説はむろんできます(ここではやらないけど)。しかしそれはじっくり時間をかけないといけないのです。そうしないとなかなか理解できないから。

2019-03-09 15:11:23
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62)そういうわけで、ネイティヴにすれば楽勝もいいところのフレーズでさえ、日本の学校英語ではかなり授業が進んでからでないとさっぱり理解できないのです。

2019-03-09 15:21:49
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63)日記。これもネイティヴには楽勝でも、日本の中学生にはとてもしんどい。 pic.twitter.com/Izy82EdMlR

2019-03-09 15:23:22
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65)右ページは英語の略称いろいろ。「GHQ」があるのが実にこの時代です。

2019-03-09 15:26:07
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66)「SCAP」が載ってる! 連合国軍最高司令官(Supreme Commander for the Allied Powers)さまのことですよ。 pic.twitter.com/VhuJiR5B6X

2019-03-09 15:41:33
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67)英語の標識いろいろ。これも時代を感じる。占領下の日本では英語の標識があちこちに立っていたのですよ。小津安映画でもちらっちらっと映ってるの。 pic.twitter.com/n9EIs5uDvB

2019-03-09 15:43:20
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68)あちこちあえてとばしましたが『Let's Learn English』中三編の分析は以上であります。 pic.twitter.com/0FfffTWjh7

2019-03-09 15:44:57
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69)これで中一、中二、中三のすべてに目を通したわけですが、うーん、ここまで各巻につながりがないとは思いませんでした。

2019-03-09 15:52:07
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70)準備期間がとにかく足りなかったこと、それぞれ手分けして編纂されたこと、理想に燃えすぎて空振りを連発したことなど、原因はいろいろあるわけですが

2019-03-09 15:53:16
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71)ひとつだけ一貫性を見出せる。 戦時中の中学英語教科書へのアンチテーゼとして編纂されている点です。

2019-03-09 15:54:22
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72)中二編に掲載されている千夜一夜物語とかガリバー旅行記とかの英語長文は、往年の英語教科書では頻出のものだったと想像します。 それが戦時体制下でだんだん姿を消して、いれかわりに富士山は日本一高い山とかの愛国心教育色の強いものになっていったのですが(後日紹介)、

2019-03-09 15:58:31
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73)そういう内容のものは新生日本にはふさわしくないということで、イソップ童話やアンデルセン童話やシーザーの奥方の良妻賢母話とかの、おそらく過去にも使われていた題材を再登場させたのです。

2019-03-09 16:01:45