- alkali_acid
- 4126
- 4
- 0
- 0
◆◆◆◆ 密採者の残党は密告によって全員が捕まった。 樹脂の手錠と綱につないだ男達の群が護送機に向かっていくのを、黄色いワンピースの男娼を抱き寄せた自然保護官がわざとらしく眺めやる。 服のすそをまくり上げ、裸の尻をむき出しにしてもてあそびながら、時折ついばむように口づけさえする。
2019-03-10 23:15:03「裏切りものめ…」 「ばあさんが海底の地獄で泣いてるぜ」 「尻軽が…」 口々の罵り、唾を吐きながら、密採者は二人のそばを通り過ぎ、移動する檻の中に収まっていく。 ウルザーンの耳元で保護官がささやく。 「忘れるな。私はあいつらを皆殺しにしてもいい」 「…っ…」 「お前の態度次第だ」
2019-03-10 23:17:37摘発は密採者の残党だけでは終わらなかった。キャンプで後ろ暗い行為に関与していた社会福祉局や食料管理局の関係者なども次々に犯罪の実態があらわになり、責任追及はかなり上層まで及んで組織の改革を求める声も高まった。
2019-03-10 23:20:53「私の海に腐ったゴミは要らん。たとえ岸辺にでもな」 無音ホバークラフトの甲板で、男はうそぶき、開いた足の間を見下ろす。黄色いワンピースの少年が四つん這いになり、口いっぱいにものをほおばりながら、燃えるような、しかしどこか潤んだまなざしをねめあげている。
2019-03-10 23:24:51「ぷはっ…お前が…いちばん…」 「きちんと最後までだ」 罵ろうとした唇をまた塞ぎ、喉奥までおさまったのを確かめると、褒めるように頭をなぜる。 「戦時中のやり方はいずれ不要になる。お前が私を受け入れればな。お前の母親もあまり時間はかからなかった」 「ぐ…んっ…」
2019-03-10 23:28:10「いずれ…密採者どもが集住地域に溶け込み、交雑しきるころには、内海の衆が人間ではなく…亜人…保護動物である可能性について、保護局に情報を知らせてやるつもりだ」 「んっ…んっ」 「上達したな。卵子はある。お前の母親のものが」 「…っ!」 「雄はお前がいる。生態の回復は可能だ」
2019-03-10 23:31:46保護官は初めて微笑んだ。優しいと言ってもいい表情だった。 「それまでお前は非正規の助手だ。知っているか。あの海藻には老化を抑制する効果がある。お前にはあれを摂取させよう。私の耐用年数が来るまでのあいだにすべては解決するはずだ」 あたりをカメレオンシャークが跳躍する。
2019-03-10 23:34:48しぶきを上げながら変幻する体色には同期している男の歓喜が反映しているようだった。 男はしたたかに欲望を放つと、少年のおとがいを開かせ、たまった白濁を確かめ、いつものようによく味わってから嚥下するよう促す。
2019-03-10 23:36:07「殺してやる…父ちゃんと…母ちゃんと…ばあちゃんの仇…」 「そう。鮫達もな。いつも私を殺したいと願っている。だがお前と同じ、脳にある器官のおかげで、忠実な姉妹でもある」 「殺してや…絶対に…絶対に…」 「よいとも。楽しみだよウルザーン。最後の密採者」
2019-03-10 23:39:47