[R-18]密採者と自然保護官のいちゃいちゃ

新規約?ペッ。知るかよ! タイポ?すいません…
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帽子男 @alkali_acid

密採者の残党は顔をしかめた。 「お前をバラすこともできるんだぞウルザーン。あのばあさんの孫でなきゃとっくに」 「ばあちゃんは死んだ。自然保護官が殺した」 「言わんこっちゃない…あの人もいつまでも潮を探り続けて…」 「俺は保護官を殺す。絶対に殺す」 「ガキにできるかよ」

2019-03-10 22:05:42
帽子男 @alkali_acid

ウルザーンがむきになっても誰も役に立ちそうな武器は売ってくれなかった。 孤児がカネなどろくに持っていなかったせいもあるし、万が一強力な得物を自然保護官に向けて返り討ちにあえば、出所がばれてとばっちりを受けるかもしれなかった。

2019-03-10 22:09:01
帽子男 @alkali_acid

少年は悔しさに涙ぐんだが、わめくかわりにひきさがり、淡水海とキャンプを往復して食料を運ぶようになった。キャンプに来る配給はいつも不足していた。豊かな淡水海の魚貝を密漁し、干して持ち込めば多少の稼ぎにはなった。

2019-03-10 22:12:15
帽子男 @alkali_acid

「海藻の密生水域さえ近づかなきゃ保護官の鮫もあまりうるさく追い回さないと思ってるのか。そのうち捕まるぜ」 「追いかけてきたって俺はかわせる」 「どうだかな。お前の歳ならコロニーへの移入だってまだ簡単だぞ。もうやめたらどうなんだ」 「魚。買えよ」 「買うさ」

2019-03-10 22:14:57
帽子男 @alkali_acid

だがとうてい武器を調達できるほどのカネはたまらなかった。自動小銃や誘導弾程度なら入手できたかもしれない。だがECMつき魚雷や潜水艇となるととても無理だ。バイオインプラントを施した南の軍人上がり、それもカメレオンシャークを四頭連れた男をしとめるには足りなかった。

2019-03-10 22:16:52
帽子男 @alkali_acid

「別の稼ぎ方もあるぞ」 「なんだよ」 「集住地域には女と子供が優先して移入してる。ここは男ばっかだ」 「?」 「お前は女の子みたいな顔してるからな。体を売れば稼げる」 「それやったら…武器をくれるのか」 「売るのは俺達にじゃない。援助物資を配給するお偉いさん方にだよ」

2019-03-10 22:20:22
帽子男 @alkali_acid

ウルザーンは考えてから承知した。 「武器が手に入るならやる。だけど騙したら、あんたらをまとめて密告してやる」 「よしいい子だ」

2019-03-10 22:22:14
帽子男 @alkali_acid

密採者の残党は売春用の小道具のたぐいをしつらえてきた。少年の日に焼けた肌に合う黄色いワンピースと白い下着、化粧品。いずれも女達が検疫を通せずに置いて行ったものだ。 感染確認パッチを通るための注射も打ったし、キャンプでは水は貴重だったが、体の内外を洗浄しさえした。

2019-03-10 22:26:16
帽子男 @alkali_acid

「集住地域のお偉いさんは清潔好きだ。つまみ食いはしたくても、病気になるのはごめんだとよ。最近じゃこいうのもの投資が高くつく商売だ」 「ふぅ…ふぅ…」 「ちょっと興奮剤が多かったか。行ってこい」

2019-03-10 22:29:28
帽子男 @alkali_acid

客の正体は伏せられていたが、あとで少しは知れた。 社会福祉局とつながっている児童保護団体の調査員や、食糧管理局の委託職員など。男も女も、その他の性別もいた。

2019-03-10 22:31:35
帽子男 @alkali_acid

誰もが初めての火遊びではなく、ウルザーンぐらいの男娼を抱いた経験は豊富なようだった。 「コロニーでは人形で色々試したけど、人間は君が最初だ」 そう耳元でささやくものもいた。 少年は返事をするゆとりもなく、ただ声変わり前の喉で甘く啼いて、苦い怒りをかみ殺した。

2019-03-10 22:34:16
帽子男 @alkali_acid

カネは密漁よりたまったし、危険もずっと少なかった。たまに無茶をする客もいたが、何をされているのか興奮剤が抜けるまで気づかない方が多かった。 「もうそのワンピースを着るだけでできあがっちまうみたいだな。クスリもいらんか?こいつは結構高いしな」 「うるさい…ちゃんと」

2019-03-10 22:36:56
帽子男 @alkali_acid

「ああ。あと二、三回でお前の欲しい装備の分はたまる。だがそのカネで集住地域にいってうまくやる方が利口だぞ」 「…武器…ちゃんと…」 密採者の残党に念を押してから、黄色いワンピースの少年娼は今夜の客のもとへ向かう。いつものテントではなくトレーラーハウス。

2019-03-10 22:40:00
帽子男 @alkali_acid

中へ入るよう指示を受ける。プールになっている。貴重な水が湛えてある。 「その邪魔なものを脱いでここへ来い」 浮かんだ男が命じる。 興奮剤で霞がかかった頭でも解る。相手は自然保護官。 「時間がもったいない」

2019-03-10 22:43:46
帽子男 @alkali_acid

ウルザーンは歯を食いしばる。あたりをうかがうが武器になりそうなものはない。 「どうした?」 「…なんでも…ありません」 「カネは払った。その分は働け」 「…はい」 ワンピースを脱いで浅黒い肌を澄んだ水に滑り入れる。嗅ぎ慣れた汽水の匂い。逞しい腕が細い手首をとらえて引き寄せる。

2019-03-10 22:46:26
帽子男 @alkali_acid

保護官の瞳はひどく冷たく、とても欲情しているようには思えない。 「買春だったな」 「…は…ぃ」 「いいとも。こういうやり方も慣れている。戦時中は役に立った」

2019-03-10 22:47:45
帽子男 @alkali_acid

男は楽器に限界まで音を出させるようなやり方で少年から快楽と苦悶をひきずりだし、幾度も許しを請わせた。数時間もすれば興奮剤は抜け切ったが、代わりに何か異なる力が未熟な脳を焼いた。

2019-03-10 22:49:42
帽子男 @alkali_acid

水質保持機能を持つトレーラーのプールは少年がこぼす涙も汗もそのほか一切も浄化し、澄み切った清潔な褥の中でひたすらに休みない恍惚の責苦を与えた。 保護官は密採者に接吻して上の口からわずかに塩気を帯びた水を飲ませつつ、すっかりこなれた下の口を指で寛げ、同じように潤す。

2019-03-10 22:53:48
帽子男 @alkali_acid

「あぐ…ぁっ…おわり…も…」 「時間延長のカネか?心配するな。お前をかこっている組織はもうなくなる」「…!?」 「名前と特徴を言え。全員のな」 「ふざ…」 「早くしろ」

2019-03-10 22:56:28
帽子男 @alkali_acid

男は額を少年に押し当てた。 「ひぎぃいい!!!?」 小柄ながら逞しい腕の中で華奢な肢体が痙攣する。 「鮫ほど簡単にはいかんか…よく聞け。お前の…内海の衆と言ったか?脳には電磁波を感じ取る器官がある。ある種の魚が備えているような、な」 「あぐ…あ…」 「報告すれば物議をかもすだろう」

2019-03-10 22:59:12
帽子男 @alkali_acid

「自然保護局はおひとよしが多い。お前達も人間ではなく保護動物に加えよと言い出しかねない。だが私は人間として扱う。憎むべき密採者としてな」 「ぐ…ひっ」 「私にも似た器官がある。ただし電磁波を感じ取るだけでなく発することも可能だ。これで鮫を…我が姉妹を同期する」 「やだ…やめ…」

2019-03-10 23:02:07
帽子男 @alkali_acid

「お前の母親も、お前のように扱い、後少しで同期できたが、お前の父親が邪魔に入った。どちらも失った。あの老婆もお前の一族だな…私は感じ取れる。そういう器官を持った連中の気配をな」 「かあちゃ…を…ゆるさ…」 「解るか?あの時わざと見逃してやったのだ」

2019-03-10 23:04:17
帽子男 @alkali_acid

自然保護官はさらに幼い密採者の官能の糸をつまびきながら、同時に額と額をこすり合わせ続ける。 「予想通りお前は密採者の残党と連絡をとった。連中の性根は変わらん。売春、薬物、武器の売買…海藻ほどではないにせよ希少な動植物の違法取引」 「ぎ…っ…」 「さあ。誰と誰だ」 「ころし…や…」

2019-03-10 23:07:31
帽子男 @alkali_acid

男はふいに玩弄の手を止めた。少年はがくりと糸が切れた人形のように強張りを失い、厚い胸板にもたれる。 「…よし。十分だ」 「…ころし…や…」 「お前が今思い浮かべた顔ですべてだな」 「!?」 「やり方次第で、鮫の見た景色は私にも見える。お前の抱いた像も同じだ」

2019-03-10 23:10:40
帽子男 @alkali_acid

「うああああ!!」 絶叫を放つウルザーンの唇を仇敵は乱暴に接吻で塞ぎ、もう一度水中で蹂躙しつくしてから、矮躯を抱いたまま深く潜り、相手が息を詰まらせ、意識を混濁させるまでプールの底にとどまった。

2019-03-10 23:12:37