日向倶楽部世界旅行編第77話「オーラの衝撃、波紋の一撃」

準決勝第二試合、なかよし伊勢型と横須賀利根姉妹の試合が始まる。策を巡らせ勝とうとする日向、姉妹の力で勝とうとする利根姉妹、そして独自の思惑を秘めた伊勢、戦いの行方は…。
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三隈グループ @Mikuma_company

「伊勢、用意は良いかッ!?」 「その必要はないね」 「波紋障壁、展開ッ!」 「再生の光、良いものを見つけたじゃないのッ!」 「波紋弾ッ!」 「オーラ・シュートッ!」 「唸る血潮が我が身を揺らす」 「唸る波紋が汝を揺さぶる!」 「晴嵐、波紋掌底ッ!」 日向倶楽部、この後21:00! pic.twitter.com/6qhaIPPZ0w

2019-03-12 20:45:20
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【前回の日向倶楽部】 扶桑です。 日向と横須賀利根姉妹の試合が始まりました。私としてはどちらにも勝ってほしいというのが本音なのですが、そういう訳にもいきません。 しかしどちらも怪我をしないか心配で心配で、先程からもうずっと落ち着きません。ああ、皆さんどうか気をつけて下さ

2019-03-12 21:00:39
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【前回の日向倶楽部その2】 思惑が見えない伊勢に対し、頭を悩ませる日向。そんな彼女を心配する扶桑は、一人で抱え込むなと言い、自身が確かな味方である事を伝える。 一方、利根姉妹の妹筑摩は、一人戦おうとする姉に反発、自身が前に出る事を進言する。 それぞれの想いが交錯する試合の行方は…

2019-03-12 21:02:19
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第77話「オーラの衝撃、波紋の一撃」

2019-03-12 21:03:14
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〜〜 「来た…!」 日向達の前に迫って来たのは、利根の操る無数の艦載機、そして利根姉妹であった。 「伊勢、用意は良いかッ!?」 戦闘開始はすぐそこ、日向は伊勢に声をかける。無論、伊勢はとうに用意を済ませていた。 「問題無し、いつでも平気だよん」 伊勢は刀を振るい、身構えている。

2019-03-12 21:04:19
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そこへ、日向は主砲の照準を合わせつつ言った。 「今回は筑摩が前に出ている…距離を保ちながら頭数を…!」 減らすぞ、彼女がそう言おうとした瞬間、伊勢がニヤリと笑った。 「その必要はないね」 「何ッ!?」 「こうするからだよッ!」 驚く日向を尻目に、伊勢は真っ直ぐ突撃した!

2019-03-12 21:05:43
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彼女は牽制射撃と共に、疾風の如く突進する。その突然の行動に日向は驚き、自らも前進しつつ砲撃を開始した。 「あいつ…!何を考えている!?」 味方である伊勢の想定外の行動により早々に崩壊したプラン、日向は舌打ちしつつ戦線に加わる。 そして想定外なのは、利根姉妹も同様だった。

2019-03-12 21:06:46
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「ここに来て向こうから来るじゃと…?」 利根は艦載機を差し向けつつ、伊勢の行動を訝しむ。彼女の行動は、それまでの待ちをひっくり返すものだからだ。 一方で妹の筑摩は、姉の訝しんだこれを好機と捉えた。 「向かって来るなら、都合が良いわ!」 彼女は飛甲剣を構え、伊勢へと向かう。

2019-03-12 21:07:46
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筑摩の得物である「飛甲剣」、長身である彼女の身体以上の大きさを誇るそれには、筑摩が起こす晴嵐の波紋が流されている。これは質量を活かした打撃武器であると同時に、そのサイズにより大楯としての機能も持つ。 彼女はこの大楯を利用し、伊勢の牽制射撃を物ともせず突撃する。

2019-03-12 21:08:51
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本来、正面に盾を構えたところで横っ腹や上から狙われるのが関の山、伊勢と日向には瑞雲があるのだから、この防御を破る事は難しくない。 しかし筑摩の後方には利根が控えている、彼女の操る艦載機群が筑摩を結界の如く守っている。結果、砲撃さえ防げれば筑摩の死角は無くなるのだ。

2019-03-12 21:10:17
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「よし…このまま詰める!」 筑摩は自らも連装砲で牽制しつつ、伊勢との距離を詰める。敵の艦載機は封じられているも同然、目の前の伊勢にだけ集中すれば良い。 そしてある程度距離が詰まった瞬間、筑摩は攻勢に出る!速度を更に上げ、伊勢へ一気に接近する!

2019-03-12 21:11:50
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伊勢はこれに対し、距離を保ちながら砲撃を行なって対応する。対応自体は凡庸だがその狙いは正確、筑摩に回避と防御を強いる。 「っ…!この程度ッ!」 筑摩は弾丸を避け、飛甲剣で防ぎ、伊勢へと前進する。その前進には気迫があった、事実彼女は今、闘志に満ち溢れている!

2019-03-12 21:13:02
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しかし、伊勢は特に動じない。 「んー…あれは大した事なさそう、どうでも井伊直弼って感じ。」 彼女はため息混じりに言うと、筑摩への砲撃を続ける。筑摩は尚も接近を試みるが、日向が戦列に加わる事で状況は変わる。 「伊勢、このまま奴は押し切るぞ!」

2019-03-12 21:14:13
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日向は伊勢の後方から砲撃を敢行、攻めあぐねる筑摩を狙い撃つ。 「このっ…近付けない…!」 二人の迎撃を前に筑摩は防戦に転じざるを得ず、苛立ちを隠せない。 しかし日向もまた、耐える筑摩に対し顔をしかめていた。 「しぶとい…砲撃だけでは手数がもどかしいな…!」

2019-03-12 21:15:30
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状況は一見して日向達の優勢であったが、上空では利根の艦載機を辛うじて抑えている状況、彼等ものんびりは出来なかった。 「クッ…伊勢!前に出るぞ!」 日向は勝負を決めるべく進路変更、筑摩との距離を少し縮め、砲撃を敢行する! 「そこだッ!」 彼女は四基の主砲を、撃つ!撃つ!撃つ!

2019-03-12 21:17:00
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それらは僅かな時間差で放たれた砲撃、弾丸達は筑摩の元へ、同時に迫る! 当然筑摩は飛甲剣でガードを行なう。だがピッタリと同時に迫る攻撃、全てを防ぐ事は不可能! 「…ッ!防ぎ切れない!」 それを察知し、筑摩は大ぶりな回避を選択、一気に進路を切り替える。 その時!

2019-03-12 21:18:31
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「もう一撃だ、そこを狙わせてもらうッ!」 日向は再度砲撃を敢行、今度の砲撃は大きくタイミングをずらした時間差砲撃!バラバラに放たれたその攻撃は、大きく回避を行ない、小回りが利きにくくなっていた筑摩の軌道に突き刺さる! 日向の本命は、この一撃であった! 「ッ…!しまった…!」

2019-03-12 21:19:56
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筑摩は苦し紛れに飛甲剣を構える。辛うじて防御態勢を整え、砲撃を防ぎきる!粘るが! 「…!」 彼女の死角から、伊勢の砲撃が迫っていた!砲撃を放った伊勢は、ニヤリと笑みを浮かべる。 (取り敢えず見られるかな…研究の成果!) 筑摩に、弾丸が迫る!

2019-03-12 21:21:14
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しかしそれは、防がれる! 「波紋障壁、展開ッ!」 大きな声と共に、赤い光弾が弾丸と筑摩の間に割って入り、爆ぜた!爆ぜた光弾は赤く淡い光を放ち、弾丸を包み込む! 「何だとッ!?」 そして包まれた弾丸はその場で爆発、筑摩に命中する事なく墜とされた!

2019-03-12 21:22:46
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その場には赤い靄が残る。そこへ、颯爽と利根が滑り込んだ。 「筑摩、怪我はないか!?」 彼女は身構えながら、振り向かず筑摩に訊ねる。筑摩は肩で息をしながらそこへ答えた。 「あ、ありがとう、姉さん…」 「もう安心じゃ、無理はするな。」 利根はそう言って、伊勢と日向を見つめる。

2019-03-12 21:24:44
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「クッ…間に合わなかったか…」 割り込んで来た利根を見て、日向は唇を噛む。利根の横槍が入る前に筑摩を退けたかったが、それが叶わなかった今、戦況は五分、或いはそれより不利である。 しかし、そんな状況に日向が歯噛みする一方、伊勢の表情は笑っていた。

2019-03-12 21:25:59
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(やっぱり、あっちの方が"本命"…。あの娘に比べると力は劣っているようだけど、多分、実用的なのはあのレベル…?) 伊勢は牽制射撃もせず、ジッと利根姉妹を見つめる。 (もう少し見せてもらわないと、分からないね…さて、どうしようかな。) 彼女は思考しつつ、ちらりと日向を見る。

2019-03-12 21:27:36
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「伊勢、何をしてるッ!」 視線の先で、日向は利根姉妹に対して攻撃を仕掛けていた。しかし状況は二対一、利根の介入によって攻め切る事は難しくなっている。 (確かめたい事は一つじゃないけど…さて、上手く出来るかな〜?) 伊勢はクスッと笑い、刀を二本抜いて言った。

2019-03-12 21:29:03
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「日向、私が利根を足止めするよ…筑摩の方を頼めるかな。」 伊勢は敢えて真剣に、いつもとは違う淡々とした調子で告げた。その提案に、日向は目を細める。 「何…?」 伊勢は、そんな彼女が何か言う前に、素早く行動を起こした。 「頼んだよ。」 それだけ言って、伊勢は加速する!

2019-03-12 21:30:04
三隈グループ @Mikuma_company

彼女はぐんぐんと速度を上げ、利根へと突っ込む! 「伊勢の奴、一人でやる気か、無茶な!」 日向はその行動を見て、自身も利根へと攻撃を行う。だがそれを、側にいた筑摩が許すはずがない! 「チッ…!」 「二対一ばかり、貴女の相手は私よ!」 態勢を立て直し、再起した筑摩は啖呵を切る。

2019-03-12 21:31:02