【書き起こし】「依存症をめぐり注目される『ハームリダクション』とは何か」松本俊彦×古藤吾郎×みなみおさむ×荻上チキ▼2018年12月18日(火)放送分#ss954

依存症に対する、新たなアプローチ。基本的な考え方と、海外での実践例について。
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橋本 至 @kid75

先程チキさんもおっしゃった注射器の回し打ちなどで感染し拡大していく中で、注射器を配ったりするプログラムが始まっていたというところで、ハームリダクションという考え方がより確立していったという印象があります。

2019-03-19 21:39:26
橋本 至 @kid75

荻:このハームリダクション、現在ではどれぐらいの国で取り入れられているのでしょうか?

2019-03-19 21:39:26
橋本 至 @kid75

古:個々のブログラムというのもあるのですけれども、約80カ国強の国がハームリダクションをサポーティブ、有効なものとして政策の中に取り入れているというのが、最近出たハームリダクション団体の報告書の中で書かれています。

2019-03-19 21:39:27
橋本 至 @kid75

荻:ということは、国連加盟国の1/3は超えているのですね。 古:そういうことなのです。 荻:もうすぐ半分にいくという状況なのですね。 古:その通りです。 荻:そうした中で、松本さん、日本の薬物対策に関しては現状どういった方向性なのでしょうか?

2019-03-19 21:39:27
橋本 至 @kid75

松:厳罰主義ですよね。取り締まりを強化し、最初の1回はとにかく使わせない。脅しで最初の1回を防ぐということなのですね。それによって何が起きているかというと、やっぱり助けを求められない、捕まるんじゃないか、

2019-03-19 21:39:27
橋本 至 @kid75

それから恥の意識もあってなかなか治療や回復支援につながりにくいという現状がありますし、本来法律で禁じられているのは、本人の健康を守るためなのだけれども、薬物を使う最大のハームが実は刑罰になってしまっていて、社会での居場所がどんどんなくなってきて、

2019-03-19 21:39:28
橋本 至 @kid75

ますます薬が手放せなくなる状況になってしまっている。これが今の日本の中ですごく課題になっているのではないかなと思います。

2019-03-19 21:39:28
橋本 至 @kid75

荻:ということは、「ダメ。ゼッタイ。」という予防のような形、あるいは啓発や脅し、そうしたことによって使わせないようにしようというメッセージは強いのだけれども、使った人に対してはペナルティー一直線で、その中間の治療とか、あるいは中間という概念を無くしてもゴールは治療だ、

2019-03-19 21:45:29
橋本 至 @kid75

という発想にはなかなかいかない状況なのですね。 松:ならないですね。どちらかというと使ってしまった人は社会から排除する、という考え方になっているのかなと思います。

2019-03-19 21:45:29
橋本 至 @kid75

荻:また「ダメ。ゼッタイ。」という、使った人はダメというようなアプローチを取ることで、使用者に対する烙印が強く押されることで、ただ治療につながらないだけではなくて、より薬物を使用しなくてはいけないぐらい自分を追い込んでしまうような環境や心理を刺激してしまう、

2019-03-19 21:45:29
橋本 至 @kid75

そんなアプローチが今あるわけですよね。 松:そうです。 荻:どうして今言ったような薬物問題や依存症に対して、ハームリダクションという概念が有効だと言われるようになってきたのでしょうか?

2019-03-19 21:45:30
橋本 至 @kid75

松:まず一つは、例えば子育てに悩んでいるひとり親のお母さんで薬物がやめられない方、これまで犯罪化されたら支援につながれないのですよ。でもハームリダクションにすることによって、子育てについて相談できるようになって子どもの命が守られるのですね。

2019-03-19 21:45:30
橋本 至 @kid75

そしてお母さん自身も孤立から救われることによって、さまざまなサポートを受けて、その中で少しずつ自分の健康を大事にすることに考えが傾くことも少なからずあるのです。これはほんの一例なのですけれども、こんなふうにして孤立を防ぐことによって、

2019-03-19 21:45:30
橋本 至 @kid75

本人が自分のことを優先して大事に考えられるタイミングをつくれるのではないかなと思っています。

2019-03-19 21:45:31
橋本 至 @kid75

荻:百点ママとかパーフェクトペアレントなんて存在しないのですけれども、例えば今ある薬物の問題や子育ての問題、両方悩んでいる方が今よりベターになるために、まず相談できる、あるいはハームリダクションという形で薬物を少し減らすとか、少し使いながらも子育てできるとか、

2019-03-19 21:49:17
橋本 至 @kid75

一歩ずつ進んでいくためのオプションを増やしていこうということになるのですね。ハームリダクションに関しては、論文なども多く書かれていると聞いていますけれども、科学的な根拠というのはどう位置づけられているのでしょうか?

2019-03-19 21:49:17
橋本 至 @kid75

松:もう幾つかエビデンスが出ていて、例えばスイスとかオランダ、あるいはポルトガル、台湾でも出ていますが、ハームリダクションをすることによって、HIVの新規感染者が減少したり、治療につながる薬物乱用者が非常に増えているということが分かっていて、有効であるということが確認されています。

2019-03-19 21:49:18
橋本 至 @kid75

荻:ハームリダクションは薬物対策ということが割と注目されがちではありますが、僕は特に依存症対策として有効というふうに言い換えることがあるのですが、やはり他の依存症でもこうした考え方は重要になってくるのでしょうか?

2019-03-19 21:49:18
橋本 至 @kid75

松:と思います。例えばアルコールなどは非常にいい例だと思うのです。これまでアルコールの場合「断酒する気がない人はうちに来るな」という格好で治療を拒む場合があったのですが、実際にはその後非常に予後が悪いことが分かっているのですよ。

2019-03-19 21:49:19
橋本 至 @kid75

やはりアルコールの大事なことは何かというと、栄養障害が起きて内臓が障害されてしまう。だから食事を提供するというサービスで少し害を減らすということもあるでしょうし、それから飲酒運転や酩酊して転落してけがをしたり死んでしまったり、あるいは暴力があったりする。

2019-03-19 21:49:19
橋本 至 @kid75

だから外では飲まないようにするとか、飲んだときには車を運転させないように鍵を取り上げるとかということもあるかもしれない。いずれにしても、われわれは頭ごなしに叱責することによって人の行動を変えようとするのだけど、

2019-03-19 21:49:20
橋本 至 @kid75

多くの場合それは本人のイライラやモヤモヤを発散させることには役に立っているかもしれないけれど、行動変容には必ずしも役に立っていないのですよね。だからハームリダクションはある意味ですごくプラグマティックというか、実用的な考え方だと思うのですね。

2019-03-19 21:49:20
橋本 至 @kid75

本当に目指しているものは自分のモヤモヤの発散なのか、それとも本人の健康なのかということなのですね。

2019-03-19 21:49:20
橋本 至 @kid75

荻:大きな「べき」論を振りかざすわけではなく、また支援する人や周囲の心の満足を求めるものではなくて、今ある状態を確実により良きものにするという発想がハームリダクション。だから他の依存症にも考え方が応用できるということですか。 松:応用できます。 荻:こういうメールを頂いております。

2019-03-19 21:54:11
橋本 至 @kid75

南:ラジオネーム・胃カメラの男さんから。「ハームリダクションという言葉を初めて聞きました。これはネット依存、ゲーム依存などにも有効なものなのでしょうか?」という質問です。

2019-03-19 21:54:12
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