【書き起こし】「依存症をめぐり注目される『ハームリダクション』とは何か」松本俊彦×古藤吾郎×みなみおさむ×荻上チキ▼2018年12月18日(火)放送分#ss954
そこで「健康な私たちと病気のあなた方」という距離感が思ったより近いということが社会で認識されてきた。その範囲にいる方々を孤立させずにサポートしていき、エンゲージメント、つまり関わっていくことの重要性ですね、
2019-03-19 22:41:28み:あるということですね。うちの病院がメサドン、オピオイド代替療法ですね、その歴史が一番古いらしいのです。うちが最初に始めたらしいのです。それで、最初のうちは完全断薬が進められて、それが困難な人にハームリダクション、オピオイドを、何と言うのですかね。 荻:別の物に。
2019-03-19 22:41:29身:そうそう、それを進めていたのですけれども、今は逆になっています。オピオイドクライシスというのが蔓延しておりまして、本当に強いオピオイドがどこに入っているのかわからないという状況なのですね。例えば事故で過剰摂取で亡くなる人が多いので、
2019-03-19 22:41:29今は逆にオピオイド代替療法が最初に進められる。それが一番命を救う手段としてハームリダクションの中では活発に取り入れられているという状況ですね。
2019-03-19 22:41:30荻:実際にクライアントの方とアディクション対策を進めていく際に、ハームリダクションを含めて、どのようにこの先のスケジュールをともに設計していくのでしょうか?
2019-03-19 22:41:30み:クライアントが薬物を使用するのにも理由があって、その中でサポートを求めて受診してくるのにも理由がある。だから結局どうしたいのか、どういう二次災害を減らしていきたいのか、
2019-03-19 22:50:26それと同時にアディクション病院なので、アディクションがクライアントの抱えている二次災害に関わっているというのは明らかなので、二次災害を減らす中でどういうふうに関わらせていきたいのかとか、そういうところですよね。
2019-03-19 22:50:27荻:そうした対策を進めていくのに、ハームリダクションは一つのオプションになり、そして根幹になる考え方だと思うのですが、カナダでは実際今年大麻が合法化されていますけれども、こうした動きとの関係についてはいかがでしょうか?
2019-03-19 22:50:27み:背景となったのは、大麻は合法であれ非合法であれ皆さん使ってきたということがあるのですよね。それで今までのことから学んだことは、それが非合法であっても薬物の入手・使用は止まらなかった、ということなのですね。
2019-03-19 22:50:28止まらないというのはどういうことかと言うと、非合法であれば暴力性のない使用者に前科をつけて刑務所に送るということがあったということと、非合法なので規制がない、つまりお酒のように合法であれば子どもが手に入れるのは難しいけれども、たばこなんかもそうなんです。
2019-03-19 22:50:28こちらはたばこもお酒も未成年が買うのはとても難しい。成人が子どもに買って与えると罰則があるような国なので、お酒の自動販売機なんかもありませんし、そういうところなのですね。規制がある。
2019-03-19 22:50:28大麻の場合は非合法薬物の一つで規制がないので、ある意味逆に売人がいればどんな年齢の人でも手に入れられるという現状があったのですね。だからアルコールのように合法化してしまって規制をしようということがあった。
2019-03-19 22:50:29だから非合法であるが故の二次災害を社会的に減らしていくというものもあったし、使用者に関して言えばある程度のコントロールがつくので、混ざり物の心配がないなどクオリティコントロールのようなものもあるというようなところですね。
2019-03-19 22:50:29荻:またアンダーグラウンドビジネスなども規制できるという。 み:その通りです。それで、この間ハイウェイを走っていたのですけれども、例えば電光掲示板で「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」というようなものがあるじゃないですか。それと似たような警告が大麻でも出てきていて、
2019-03-19 22:55:37「ハイになっていたら走らないでくれ」。だから「吸ったら乗るな、乗るなら吸うな」のようなね。そういうのが出てきていて、やはり時代が変わってきているのだなと思いましたね。そういうことです。
2019-03-19 22:55:38荻:いろいろな取り組みの中でハームリダクションが位置付けられている。印象的なのですけれども、この効果についてはどうお感じになっていますか?
2019-03-19 22:55:38み:私としては、使ってはいるけれどもクリニックには定期的に来てつながり続けている。その中でより安全な使い方の教育などをすると申しましたけれども、私の所に来て「ちょっと注射器欲しいんだけれども」とか「クラックのパイプが欲しいんだけれども」とか言いますよね。
2019-03-19 22:55:38私はそういうふうに来てくれることは非常に効果があると思うのですね。どういうことかと言うと、注射器を交換したりクラックパイプをもらいに来たりということは、そこで回し打ちの可能性が減るとか、回し吸いの可能性が減る。
2019-03-19 22:55:39み:そうですね。やはり理念としては、やめるやめないというようなゴール設定は後でいくらでもどうにもなるのですけれども、命は失ったら取り返しがつかない。だから命を助けようという、そういうところですね。
2019-03-19 22:55:40み:トロント市のウェブサイトにいっても、注射器交換の場所が公開されています。とても質の悪いヘロインが出回った、あるいは質の悪いコカインが出回ったということだと、市から警告が出るのですね。今出ている薬物は、使うとこういう症状が出る。ひどい混ざり物があるので、
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