金木犀さんによる「元号」ならびに新元号「令和」の解説

日中比較文学者である金木犀さんによる「元号って何?」「新元号『令和』の元ネタって?」の解説
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元号ってなに?

金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

新元号発表にあたって、「元号」とは何かを確認しておきます。元号とは、「皇帝の支配する特定の期間」を表す、中華文明圏特有の紀年方法です。 #新元号

2019-04-01 11:19:48
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

す、中華文明圏特有の紀年方法です。 #新元号 「年号」ともいい、これは同一の意味です。現在の日本の元号の根拠は「元号法」ですから、法律・行政用語としては「元号」が用いられます。口頭ではどちらかというと「年号」が優勢です。 #新元号

2019-04-01 11:20:15
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

史上最初の年号は、「建元」です。前漢の武帝の治世・紀元前115年頃に定められ、統治の初年に遡って適用するという勅令が出されました。これ以降、清が終わるまで用いられました。 #新元号

2019-04-01 11:20:34
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

日本における最初の元号は「大化」です。飛鳥時代の孝徳天皇2年(大化2年)春正月甲子朔(西暦646年)、大化の改新の際に制定されました。初期は途切れることもありましたが、文武天皇5年3月21日(701年5月3日)の「大宝」以来途切れることなく続いています。 #新元号 は248番目の元号です。

2019-04-01 11:21:07
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

元号は皇帝統治と密接に結びついています。かつて中華皇帝は、この世の全てを支配する存在とされていましたが、それには時間も含まれます。元号はその象徴でした。独自の元号を立てることは、中国の冊封体制からの独立という意味合いもあります。 #新元号

2019-04-01 11:21:24
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

かつては皇帝即位、嘉事、凶事、天変地異や戦災などを機に改元されることもありましたが、中国では明最初の「洪武」(1368年)、日本では「明治」(1868年)以降、一人の皇帝、天皇に対し元号は一つという「一世一元の制」が定められました。 #新元号

2019-04-01 11:21:48
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

日本における初期の元号は、佳字をもって定めたようですが、やがて漢籍(中国の古典)をもって出典とする慣例となりました。漢籍であれば何でもいいというわけではなく、儒教の四書五経、史記、文選など、中国文化の中核をなす権威ある書が用いられます。 #新元号

2019-04-01 11:22:26
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

中国・日本以外に独自年号を建てた国は柔然、高昌、南詔、大理、渤海があります。これらは皆、中国周辺に存在した漢民族以外の王朝です。中国からの独立、同格であるという意識、そういったものがあったのでしょう。 #新元号

2019-04-01 11:23:31
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

今回の元号制定について興味深いのは、天皇即位と同時ではなく、事前に発表されるという点です。これはコンピュータシステム改修など、現在の社会に適応すべく考慮された結果だと思いますが、新しい流れです。 #新元号

2019-04-01 11:26:05
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

「平成」制定以降、日本の元号は、制度上天皇に属すものではなくなりました。あくまで法律を根拠に、政府が選定し決定し、天皇の裁可を経て公布されるのです。もちろん天皇や皇太子に意見は聞くでしょうが、その気になれば政府の一存で決定できるのです。(やらないでしょうが) #新元号

2019-04-01 11:28:53

新元号「令和」出典について

金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

新元号発表されました。「令和」(れいわ)となりました。 #新元号

2019-04-01 11:43:09
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

出典は『万葉集』! 漢籍から国書へ、新しい流れです。 #新元号

2019-04-01 11:46:24
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

出典は『万葉集』815番歌です。この後解説をぶら下げていきます。 #新元号

2019-04-01 11:52:03
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

『万葉集』815番 梅花歌卅二首并序(梅の花の歌三十二首、併せたり序)梅の花の歌32首、序文を併せる #新元号 #令和

2019-04-01 12:24:40
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

天平二年正月十三日、萃于帥老之宅、申宴會也。(天平二年正月十三日に、師(そち)の老(おきな)の宅(いへ)に萃(あつ)まりて、宴会を申(ひら)く。)天平2年正月13日に、大宰師(だざいのそち)の大伴旅人の邸宅に集まって宴会を開く。 #新元号 #令和 1/13

2019-04-01 12:40:03
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

于時初春"令"月、氣淑風"和"、(時に、初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、)時に初春の良き月、風は爽やか、……ここが新元号の出典です。 #新元号 #令和 2/13

2019-04-01 12:40:04
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。(梅は鏡前(きやうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かおら)す。)梅は鏡の前の美女がはたく白粉のように咲き、蘭はその美女が纏う香のように薫っている。 #新元号 #令和 3/13

2019-04-01 12:40:04
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

加以、曙嶺移雲、松掛羅而傾盖、(加之(しかのみならず)、曙(あけぼの)の嶺に雲移り、松は羅(うすもの)を掛けて蓋(きぬがさ)を傾け、)それだけではなく、明け方の嶺には雲が移ろい、松が薄絹のような雲を掛けてきぬがさを傾けるかのようで、 #新元号 #令和 4/13

2019-04-01 12:40:04
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

夕岫結霧鳥封、縠而迷林。(夕(ゆうべ)の岫(くき)に霧結び、鳥は縠(こめおり)に封(こ)めらえて林に迷(まど)う。) 夕方には山のくぼみには霧がわだかまり、鳥は薄い縮緬のような薄霧に封じ込められて林に迷っている。 #新元号 #令和 5/13

2019-04-01 12:40:04
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

庭舞新蝶、空歸故鴈。(庭には新蝶(しんちょう)舞ひ、空には故雁(こがん)帰る。)庭には今年羽化した蝶が舞い、空には年を越した雁が渡っていく。 #新元号 #令和 6/13

2019-04-01 12:40:04
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

於是盖天坐地、促膝飛觴。(ここに天を蓋(きぬがさ)とし、地を座(しきい)とし、膝を促(ちかづ)け觴(さかづき)を飛ばす。)ここに天を天蓋とし地を敷物として、膝を近づけて杯を交わす。 #新元号 #令和 7/13

2019-04-01 12:40:04
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

忘言一室之裏、開衿煙霞之外。(言(こと)を一室の裏(うら)に忘れ、衿(えり)を煙霞の外に開く。)ここに集う人々は言葉を部屋の中に忘れ、胸襟を煙霞の外に開きあっている。 #新元号 #令和 8/13

2019-04-01 12:40:05
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

淡然自放、快然自足。(淡然(たんぜん)と自(みづか)ら放(ひしきまま)にし、快然と自(みずか)ら足る。)淡然と自らの心のままに振る舞い、快くそれぞれがら満ち足りている。 #新元号 #令和 9/13

2019-04-01 12:40:05