ベロ毒素には、1型(VT1)と2型(VT2)の二つのタイプがあって、EHECの菌株によって、VT1を作るもの、VT2を作るもの、両方を作るものがあります。確か、これまでの国内感染事例では、VT2型かVT1&2型で、HUSを発症する重症例が多かったかと。
2011-05-08 01:25:47VT1が、志賀赤痢菌の作る志賀毒素と同じものです。国際的には、ベロ毒素でなく、先に見つかった志賀毒素(Shiga Toxin)の名前の方が頻用される傾向があります。VT2はこれと類似で、志賀様毒素 (Shiga-like toxin)の一種として扱われる。
2011-05-08 01:28:27今はもう、VT1にあわせてVT2も「志賀毒素」というくくりにしてしまい、それぞれ、Stx1、Stx2と呼ぶケースも多いです(Stx=shiga toxin)。特に、毒素をコードしてるプラスミド由来の遺伝子が、Stx1、Stx2と命名されてる関係もあって。
2011-05-08 01:34:29基本的に作用は同じなので、「同じ程度にものすごく危険」というイメージがよろしいかと。ただしタンパク質のレベルでの相同性はVT1とVT2間でも、わりと低い。 @muimi 志賀毒素の方が危ないイメージがあったのですが、VT2の方が危険なのでしょうか?
2011-05-08 01:39:35VT2の方が本当にHUSを起こしやすいのかについては、論文出てるのかなぁ、ちょっとチェックしてないです…が、HUSを起こす場合は、ベロ毒素が血流に乗って腎上皮細胞に到達するのが最初の条件なので、直接の細胞への反応以外に、ひょっとしたら抗体の出来やすさ等も影響してるのかもしれない。
2011-05-08 01:42:562009年の腸管出血性大腸菌検出例の血清型別臨床症状,http://idsc.nih.go.jp/iasr/31/364/dj3641.html HUS/腎機能障害症例はVT2またはVT1&VT2で、脳症/意識障害例はVT2、いずれもVT1単独産生株にはなし。
2011-05-08 01:47:24VT2(Stx2)にはHUS患者由来の変異株がいくつかあるそうだが、ふむ、VT1はどうなのじゃろ。活性に必要なアミノ酸もわかってるのだなあ。いっそ弱毒化したGMを作って、ばらまいてそちらをメジャーにして…いや、無理か。さらにカオスになるだけか。
2011-05-08 01:47:50今見てるページはこれです「腸管出血性大腸菌O157と家畜衛生」http://www.sat.affrc.go.jp/joseki/O157/O157_REVIEW.htm
2011-05-08 01:48:29これは判りやすくまとまってますね。 @muimi 今見てるページはこれです「腸管出血性大腸菌O157と家畜衛生」http://www.sat.affrc.go.jp/joseki/O157/O157_REVIEW.htm
2011-05-08 01:50:43ドイツのO104アウトブレイクについて
@Slight_Bright いくつか海外のサイトを当たって解りました。件の症状はHUS(Hemolytic Uremic Syndrome)のようで、これはシガトキシンを産生する大腸菌(O157:H7など)による感染によるもののようです。(つづく)
2011-05-31 11:33:03O104は腸管出血性大腸菌では、かなりマイナーだと思うんだよなぁ…つーか日本で発生事例あるんだっけ? そういう意味ではO157はもちろん、O26やO111よりもマイナー。
2011-05-31 12:00:38EHECの中では、O157だけが、別の流れでVT獲得してきたと言われてるので、そういう意味ではO26なんかと同様、O157出現以前からいたタイプのEHECじゃないかと思うのだけど…なんせマイナーだから、原著チェックしてみんとはっきりしたことはわからないや。
2011-05-31 12:02:41@y_tambe @Slight_Bright これ確定情報なんでしょうか?O104:H21ってcephalosporins耐性なんですか?そこがなんか厳しいのかと。
2011-05-31 12:02:36@hshigema @Slight_Bright すみません、僕も一次情報(ドイツ・コッホ研)までは当たってないですが、ProMed経由で回ってるので、O104は確定かと。http://promed-g.blogspot.com/2011/05/2011526.html
2011-05-31 12:06:09しかもEAE-negativeってので、これまでのEHECとは異なりますね。「EAE」は、元々EPECが持ってた病原因子で、腸管上皮細胞に注入して微絨毛構造を変形させて表面に強固に付着するためのエフェクター分子。
2011-05-31 12:09:34しかし、O111といい、O104といい、非典型的なEHECによるアウトブレイクが増えてるのは、何とも気持ち悪いものがあるなぁ…。講義でも、これまで通りの説明がやりにくくなるし。
2011-05-31 12:29:44EHECが、他の下痢原性大腸菌より恐ろしい点は二つあって。一つはもちろんベロ毒素(志賀毒素)産生能で、もう一つは感染に要する菌数の少なさ。この感染菌数の少なさは、耐酸性の強さによると考えられてる。pHストレス誘導性のアミノ酸脱炭酸酵素でのアミン産生などで胃酸による殺菌から逃れる。
2011-05-31 12:32:48O157など代表的なEHECがEPECと同様のEAE(Effectors of Attaching and Effacing)を持っていることは、腸管への定着因子を持っていることなので、感染性の面で重要だけど、なくても(代替する機構があるかどうかは不明だけど)発症しうるってことか
2011-05-31 12:37:54ベロ毒素産生も、酸耐性機構も、Attaching and Effacingも、実は別々の機構なので、それぞれを「ばらばらに」持っている病原大腸菌、というのが出現していてもおかしくはないのだけど(AE onlyならEPECか)、不思議なことに相関がある…O抗原との相関と同様に。
2011-05-31 12:43:28これまで、EHEC O104がアウトブレイクしたケースとして知られてるのは、1994年、アメリカのモンタナ州ヘレナでのケース。このときはO104:H21、VT2+。原因食材は特定ブランドの牛乳か http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7596334
2011-05-31 15:56:35EHEC O104の報告として最も古いのは、1988年、イギリスで一人のHUS患者(小児)から分離されてるもので、これはO104:H2, VT2+。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3282072
2011-05-31 15:58:49