大腸菌関連のつぶやきまとめ

個人用まとめ
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Y Tambe @y_tambe

なお、一連の話の参考論文はこれ。 http://www.springerlink.com/content/vpq45307u7j81483/ 要旨しか読めないと思うけど…

2011-05-07 01:02:05
Y Tambe @y_tambe

こっちの論文のFig1にも、O157:H7の進化が示されてる。 http://jid.oxfordjournals.org/content/184/7/918.full

2011-05-07 01:02:45
Y Tambe @y_tambe

あと、この書籍、Googleブックスでpreview見れるけど、p199のあたり。 http://books.google.co.jp/books?id=jwiarLy3auUC

2011-05-07 01:05:52
切り取り線 @kiri_tori

✄------------ AM 11:00 -----------✄

2011-05-07 11:00:01
Y Tambe @y_tambe

大腸菌群 (coliform bacteria)と大腸菌(E. coli)の違いに関連して。大腸菌群は「腸内細菌科に属する細菌のうち、乳糖分解性のもの」を指すのだが、この「乳糖分解性」という辺りから、細菌の分類法を大雑把に理解していくことが可能。

2011-05-07 11:37:43
Y Tambe @y_tambe

そもそも、「乳糖分解性があるかどうか」というのは、突き詰めれば「乳糖分解酵素を持っているかどうか」ということに帰結できる。腸内細菌科はグルコース発酵性なので、乳糖→ガラクトース+グルコース に分解する酵素を持っているかどうか。

2011-05-07 11:39:45
Y Tambe @y_tambe

実際、乳糖分解菌の代表でもある大腸菌(E. coli)は、乳糖分解酵素であるLacZ(βガラクトシダーゼ)を持ってる。バイオ系研究者にはおなじみの酵素。LacZ遺伝子が、乳糖取り込みに関わるLacYやLacAと近接する場所にあって、ラクトースオペロンで転写調節受けるのも有名。

2011-05-07 11:43:12
Y Tambe @y_tambe

一方、サルモネラや赤痢菌などの乳糖非発酵菌は、これらの乳糖分解酵素を持っていない。だから乳糖を利用できない。……ここで、ついでに一つ考えてみてほしい。もし、LacZだけに変異を生じて、酵素活性を失った大腸菌が生まれたらどうなるだろう?

2011-05-07 11:52:27
Y Tambe @y_tambe

(承前)その大腸菌のLacZ変異体は、当然乳糖分解能を持たないだろう。しかし、それ以外は他の大腸菌と同じだ。しかし、もし「乳糖分解能」という一つの生化学性状を、分類の根拠にしてしまうと、それは大腸菌とは別種にされてしまう。もしかしたらサルモネラや赤痢菌に近いものと分類されるかも。

2011-05-07 11:55:14
Y Tambe @y_tambe

元々、「細菌の分類」というのはややこしい…他の生物とは違って、形態上の差異もそれほど大きくないし、基本的に分裂だけで増殖可能なので、生殖可能性もへったくれもない。なので(特に古典的には)生化学性状が分類の手がかりとして重視される。

2011-05-07 11:57:52
Y Tambe @y_tambe

近年ではもちろん、ゲノムの相同性等による分類が導入され、他の生物よりもその情報が重視されてる。一方、ゲノム中の各遺伝子からタンパク質が作られ、それがまた酵素としても機能するし、「たった一酵素で、一つの生化学性状が決まる」ケースも、細菌では比較的多いと言っていいだろう。

2011-05-07 12:03:13
Y Tambe @y_tambe

サルモネラも大腸菌も赤痢菌も、元を辿れば、同じ「腸内細菌科の共通祖先」にたどり着くはずで、そこから*進化*する道筋の途中で分岐し、徐々にその違いが大きくなっていった、と考えることができる。その結果として、遺伝子レベルの差異も大きくなり、それが担う様々な生化学性状にも違いが増えた。

2011-05-07 12:07:06
Y Tambe @y_tambe

同じ「乳糖非分解性」でも、サルモネラと、LacZ変異大腸菌は大きく異なるし、後者はやっぱり「E. coli」に分類するのが妥当なのだ…などと考えていくと、(特に単一の酵素に帰結できるような)生化学性状を比較しただけでは不十分だと判る。「20種類以上調べる必要」がある理由はこれ。

2011-05-07 12:12:12
Y Tambe @y_tambe

ただし、ぱっと見では「一つの生化学性状」に見えても、非常に根幹的な性質とか、多くの酵素群が関与している性状もある。例えば「グルコース発酵性」は、「グルコースを嫌気的に利用して(=解糖系を持ってて)、酸とガスを産生する(=混合有機酸発酵系等を持つ)」ということの顕れ。

2011-05-07 12:20:31
Y Tambe @y_tambe

堺市のO157の原因は、かいわれ大根ですよ?「政治的に」そうでないことにされちゃってるけど、その後、疫学的に検証された。http://1.usa.gov/lQAJVU http://1.usa.gov/lVFRvG @ohira_y 生肉食について - rabbitbeatの日記

2011-05-08 00:00:28
Y Tambe @y_tambe

今回のO111、重症率高いよなぁ…やっぱ菌数多かったんだろうなぁ。

2011-05-08 00:48:11
Y Tambe @y_tambe

多分そうでしょうね…で、調理/管理の問題も複合して、現場でも増えたんじゃないかなぁ。従業員から分離されたO111はVT陰性だったみたいだけど、それも要再検査かなぁ。同一株の可能性は高そう。 RT @ohira_y でしょうね、同じ牛由来ですかね?

2011-05-08 00:53:23
むいみ @muimi

VT陰性、ってベロトキシン陰性って意味か。そもそも、食肉が提供された時点でかなり毒素が作られてたんじゃないの?って思ったりするんだけど。店側の衛生管理も最低最悪だけど、卸した時点でまともで、一晩で死ぬほど増えるんかしら。

2011-05-08 01:03:16
Y Tambe @y_tambe

@muimi 「VT陰性」だったってのは、「ベロトキシンを産生しないO111だった(=EHECではないO111だった)」という意味です。それにベロトキシンそのものを食べたところで、食中毒にはなりません。腸内で増えた菌がそこで毒素を作るのがポイント。

2011-05-08 01:07:38
むいみ @muimi

@y_tambe そうなのですか。勉強になりました。じゃあやっぱり純粋に菌数の問題ですか?

2011-05-08 01:10:07
Y Tambe @y_tambe

@muimi いや、検査結果が不一致なのです。可能性としては「集団食中毒を起こしてる、腸管出血性のO111以外に、EPECかEAECのO111も同時に混じってて、職員にはそっちが感染してた」というのもゼロわけじゃないけど、普通は考えがたいので、再検査した結果が出ないと…何とも。

2011-05-08 01:13:52
Y Tambe @y_tambe

s/ゼロわけ/ゼロなわけ/

2011-05-08 01:14:28
むいみ @muimi

@y_tambe つまり、本来飲食店では出てはいけないような菌が2種類存在している、という解釈で良いですか?同じ食肉から綺麗に二手に分かれる可能性はかなり低いので、検査結果おかしくない?と。

2011-05-08 01:17:02
Y Tambe @y_tambe

@muimi 「2種類以上」ですね。富山では、O111(VT2)とO157(VT1, VT2)の二株が同一患者から出てるという報告もあるので、複数の菌株が関与してる「可能性」もあるのですが、*普通は*集団感染事例では、とりあえず「単一株による」ことを、まず想定しますので。

2011-05-08 01:22:23