尾上先生の勉強風景 (20) Durham, William H. (1991) Coevolution: Gene, Culture, and Human Diversity など

ダーウィンのフォースが
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尾上正人 @9w9w9w92

「私には、婚姻システムのローカルに認識された利得ーー財産保全と労働最適化を含むーーが、ソングパの親たちの繁殖成功と、婚姻信念そのものの『複製成功』と我々なら呼ぶであろうものを促進したように思われる」p.78.

2019-04-09 18:45:07
尾上正人 @9w9w9w92

チベット一妻多夫の仮説4「選好による保全…イーミックな分析…男の継承者たちの間で家族の資源が分割されることを妨げる手段として<一妻多夫は認知され、意識的に選択される>」(ゴールドステイン)p79-80 イーミック/エティックって、この頃(1990年代)の人類学の流行りよな…今はあまり聞かんが

2019-04-09 19:13:52
尾上正人 @9w9w9w92

分割相続忌避(→一妻多夫)の現地の言い回し…「繁栄は1つの家に、貧窮は2つの家に」p.80.

2019-04-09 19:14:15
尾上正人 @9w9w9w92

プリンス・ピーターが聴取した、ラダックのインフォーマントの発言…西欧社会が一夫一妻・分割相続を続けつつ豊かさを維持できているのは信じられない。西欧の帝国主義的な植民地拡大は、一妻多夫でないため十分な財産がなくなったからでは?p81 当たらずとも遠からず…ポルトガル貴族の大航海の要因

2019-04-09 19:21:04
尾上正人 @9w9w9w92

チベット一妻多夫の仮説5「価値づけられた結果が繁殖成功を強化する…『一妻多夫が選択されるのは主としてパンとバターの動機ーー困難な環境での飢餓の恐れーーからではなく、むしろ主として、オイスターやシャンペンや社会的威信のチベット人にとっての等価物のためである』」(ゴールドステイン)82

2019-04-09 19:38:10
尾上正人 @9w9w9w92

チベット一妻多夫の要因である一家あたり「単一婚姻原則」(M=1)を変化させたコンピュータ・シミュレーション…Mが増えるほど短期的には子孫が増えるが、その後の絶滅スピードも速くなる。p.85. pic.twitter.com/8mVjCWdPBs

2019-04-10 05:04:02
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尾上正人 @9w9w9w92

最初の資産(耕作地)の面積と生存子孫数のコンピュータ・シミュレーション…2.2エーカー以下では全く分割しない(Mo=1)場合に最も子孫が多くなり、2.2〜3.7エーカーでは2分割、3.7エーカー以上では3分割が最も子孫が増える。チベットの状態を再現。p.87. pic.twitter.com/BBO479xBoB

2019-04-10 05:28:25
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尾上正人 @9w9w9w92

チベット一妻多夫の仮説6「諸個人の繁殖上の利害」…多くの文献では「社会的父親性」の共有が強調され、子どもは土地と同様に家の無差別の集合財産とされるが、実際には妻を共にする夫(co-husband)の間で誰が本当の父親かははっきり認識されていて、子がいない男には若い女が来て多夫多妻に。p.91.

2019-04-10 05:58:39
尾上正人 @9w9w9w92

「きょうだいの連帯」の原則…父または、母を共有しない兄弟どうし(表の右列)は妻を共有したがらず、多夫多妻になりやすい。p.93. pic.twitter.com/s0GR2zgBLs

2019-04-10 06:24:34
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尾上正人 @9w9w9w92

「結合(conjoint)結婚」…チベットの多夫多妻は実際には、[デフォルトとしての]一妻多夫に別の婚姻単位が結合した状態。最初の妻が不妊であると多夫多妻が受容されやすく、妊孕力が高いと拒絶されやすい。結合結婚の繁殖力は一妻多夫や一夫一妻より低く、不和を避けるため自発的抑制の可能性。93-4

2019-04-10 08:43:41
尾上正人 @9w9w9w92

「[チベット多夫多妻の]諸個人は、より大きな家族の繁殖関心に従属することなどなく、ある程度むしろ、自分自身のうまく調整された繁殖利害を表明する」p.95. うむ、これがネオ・ダーウィニズムの正しい立場だ(笑)

2019-04-10 08:47:29
尾上正人 @9w9w9w92

チベットの一妻多夫の下では、夫の数が増えるほど分割や土地の劣化により相対的繁殖成功は下がるが(曲線L)、家計全体の経済活動は上がり繁殖成功につながる(生産的な地域の曲線Pbと非生産的な地域の曲線Pw)。最適の夫数[苦笑]は両者の効果の妥協点となる(Pbでは2人、Pwでは4人)。p.100. pic.twitter.com/ipL66dKkh6

2019-04-10 11:21:57
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尾上正人 @9w9w9w92

「チベットの婚姻多様性は、遺伝的システムの情報に言及することなく、ただ文化システムの情報の観点からのみ説明される必要がある。しかしながら…遺伝子の情報—―とりわけ、それらのヒトの脳・感覚・結合神経システムへの影響――は重要な貢献の役割を果たしてきたようだ」pp.101-2 かなりの文化主義者

2019-04-10 11:29:53
尾上正人 @9w9w9w92

1910年、西洋で最初に鎌形赤血球貧血についての医学的叙述をしたシカゴの外科医ジェームズ・ヘンリックの患者には、西アフリカ出身の20歳の黒人男性がいた。p.105.

2019-04-10 11:49:22
尾上正人 @9w9w9w92

北アフリカのほか、シチリア島で鎌形赤血球の遺伝子頻度が高い時期もあったらしい(フランク・リヴィングストン、1958年)。p.109. 今のシチリアじゃ皆無じゃないかねえ?

2019-04-10 16:03:28
尾上正人 @9w9w9w92

ハーディ=ワインベルグの法則から乖離したS(鎌形赤血球)アレルの頻度の増加は、突然変異・遺伝子流動・遺伝的浮動では十分に説明できず、自然淘汰が有力な役割を果たしている。pp.117-9.

2019-04-12 06:59:31
尾上正人 @9w9w9w92

S(鎌形赤血球)アレルの頻度の低位安定は、ハーディ=ワインベルグ均衡と区別された「淘汰均衡(selectional equilibrium)」。p.123.

2019-04-12 10:28:21
尾上正人 @9w9w9w92

「超優性(overdominance)」(ヘテロ接合体優位)…ヘテロ接合体(AS)がダーウィン的適応度の最も高い遺伝子型となる現象。「どちらのアレルも他方を遺伝子プールから完全には排除できない」 E.B.フォードはこれを「多型」と呼んだ→「均衡多型」p.123. 今の「多型」の用法(頻度の高い変異)と違う

2019-04-12 10:48:27
尾上正人 @9w9w9w92

ホールデンが最初に(1948年)、鎌形赤血球のマラリア対抗仮説を唱えた…その頃には、イタリア・シチリア島・ギリシアでもマラリアが蔓延していた。pp.123-4. 今みたいに熱帯地域の一部にしかマラリアがなかったら、関連性に気づくの遅れたかも

2019-04-12 10:56:09
尾上正人 @9w9w9w92

ホールデンは知らなかったが1946年に、英国植民地医療サービスの職員E. A. ビートが南アフリカのルンダとロヴェイルで鎌形赤血球形質の頻度を調べていたが、彼は自分の発見の進化的示唆を追究するには至らなかった。p.124.

2019-04-12 11:05:05
尾上正人 @9w9w9w92

次にF.B. リヴィングストンが1958年、マラリア原虫を媒介する蚊(Anopheles gambiae)に着目…この蚊は熱帯雨林の樹冠地帯には稀で、ヒトが焼畑農業のため森林を伐採し沼沢地にしたことが大繁殖を招いたと指摘。リヴィングストン仮説…農業の変化(特にヤムイモ・米)が遺伝子頻度の変化の原因。p.125.

2019-04-12 11:20:22
尾上正人 @9w9w9w92

1970年代には生化学者たちが、AS[ヘテロ]赤血球はマラリア原虫に感染した時に劇的に鎌形に変形し、細胞内の栄養物とりわけカリウムを失わせて原虫を殺すことを発見。p.126. 今ではよく知られた現象も、こうやって発見・仮説の科学史として再現されると面白いな

2019-04-12 15:09:38
尾上正人 @9w9w9w92

リヴィングストンは(鎌形赤血球を発現させる)S多型が、2000~3000年前(100~200世代前)の農耕民バントゥー族の移住の開始とともに広がったと主張。西・南アフリカのSアレルが西アフリカ起源ではなく、Aアレルの独立した『バントゥー変異』であるという分子生物学の知見はこれを裏書き。p.133.

2019-04-12 16:23:06
Masato ONOUE @9w9w9w9

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか マット・ウィルキンソン著:日本経済新聞 nikkei.com/article/DGKKZO… 収斂進化は(表現型)進化を主として偶然・偶発性によって説明しようとする理論への最も大きな打撃になるはずの現象だが、偶然説を唱えるこの評者は気づいているのかな(笑 twitter.com/9w9w9w92/statu…

2019-04-13 04:24:28
尾上正人 @9w9w9w92

「グールドは収斂[進化]を否定しない(どうしてできようか)。しかし、彼はそれを無視する傾向にある。なぜか。それは、おそらく、コンウェイ・モリスが言うように、それが、彼の場合、偶発性に対する致命的な弱点となるからであろう」405頁

2016-08-22 10:34:38
尾上正人 @9w9w9w92

90年代初頭のアカデミズムの状況を反映してか、グールド一派や「ホロン革命」(爆)への無用の譲歩がつらつらと。pp.146-51.

2019-04-13 06:03:16
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