アニメ『さらざんまい』1話考察 ～これは愛と欲望の物語～

しろうと @sirouto

アニメ『さらざんまい』考察続き。前回は1話冒頭三分に集中して考察したけれど、残りをやります。それも全部は無理だから、特に気になるポイントに集中して考えます。

しろうと @sirouto

まず、私は当てることにこだわっておらず、外す可能性も大きいことは、お断りしておきます。

しろうと @sirouto

先の展開を当てるとか、作者（監督）の考えを当てる、というよりも、どう読むのが視聴者にとって意味があるメッセージになるか、ということを一番重視したいです。

しろうと @sirouto

それは後で言うとして、『さらざんまい』がどういう世界観なのか、大まかなポイントを先に言います。

しろうと @sirouto

『さらざんまい』の基本構図として、「愛と欲望」という対立がまずある。これは1話最後に警官が言っていたはずなので、重要なキーワードだろう。

しろうと @sirouto

関連して、やはり「ア」の解釈は「愛」が最有力候補だと思う。たとえば、サラのテレビ番組で、「世界」「叫ぶ」と書かれた板が見えていた。「世界の中心で愛を叫ぶけもの」のパロディから「愛」を連想するのは自然。

しろうと @sirouto

さらに「愛と欲望」の対は、「皿と箱」で表現される。皿は見えるが、箱は（中が）見えないから、抽象化すると、「公と私」の対立でもある。

しろうと @sirouto

また「皿→カッパ」の連想は自然だが、カッパと対立するのはカワウソ。交番の名前にカワウソが付いていたので、警官コンビと対立する展開になるのかもしれない。

しろうと @sirouto

それからアイドルの吾妻さらの番組の下部に細かい字で、「王子様（プリンス）を探している」という意味のことが書かれていた。さらはカッパ側の仲間に合流しそうだ。

しろうと @sirouto

『さらざんまい』では、カッパ関連のエピソードの意味が分かりにくいだろうが、ネットで置きかえると分かりやすい。どういうことか？

しろうと @sirouto

たとえば、箱ゾンビの尻子玉を抜いたあと、それをカッパ王子に転送（漏洩）する。これが「さらざんまい」なのだというが、普通に考えると全然意味が分からない。そこでネットの例で考えてみよう。

しろうと @sirouto

例だから深く説明しないが、たとえばネットの「炎上」をイメージすると、「尻子玉を抜く」という表現がよく分かる。秘密を暴くというのは、汚かったり恥ずかしい感覚がある。だから感情に訴え炎上するわけだが。

しろうと @sirouto

箱ゾンビが悪役だからやられる（死に損）のは普通だが、主人公の秘密まで漏洩してしまう。これはどういうことかといえば、たとえば秘密を暴く側も暴かれる危険性がある、ということだろう。

しろうと @sirouto

たとえば、ネットの某炎上事件で、ネット民が弁護士に懲戒請求をしたが、その際に住所氏名を知らせるために、逆に損害賠償を請求された、というような返り討ちの例もある。つまり諸刃の剣だ。

しろうと @sirouto

あるいは、ハッカー（クラッカー）がサーバをハッキングしようとして、逆に経路を追跡されて、正体を暴かれてしまうような例もあるだろう。さらにたとえば、二重スパイのような例もある。

しろうと @sirouto

『さらざんまい』の特徴として、人間同士の「つながり」がリスキーなところがある。この点でたとえば、友情が必ず良い方向に転がる『けものフレンズ』とは大きく違う。

しろうと @sirouto

今のアニメにネット環境が影響を与えていて、『けものフレンズ』の「フレンズ」は、SNSやソシャゲのフレンドのような、「緩やかなつながり」の一表現だと私は捉えている。

しろうと @sirouto

しかし、『さらざんまい』は『けもフレ』とは異なり、欲望と深いつながりを肯定する。「つながりはひとつでいい」という、主人公のセリフが個人的には印象的だった。

しろうと @sirouto

（初代）『けもフレ』が人気だったのは、「緩いつながり」を肯定的に描いていて、それが今のネット環境（SNSやソシャゲ）と相性が良かったから、ウケたんだろう。

しろうと @sirouto

しかし、『さらざんまい』は違う。人に言えないような秘密があるからここそ、深いつながりである、というようなリスキーな部分に注目している。だから、女装や犯罪（車上荒らし）も出してくる。

しろうと @sirouto

今どきのアニメでは、自転車の二人乗りですら自主規制するような状態（ただ前期のかぐやでは見かけたが）なので、車上荒らしはひんしゅくを買うのではないか、という恐れはある。

しろうと @sirouto

また、登場人物が男メインなので、女性向けアニメになるだろうが、尻子玉を抜くシーンが、どうしても汚い連想につながるので、円盤の売上げ的にどうか、という疑問はあるだろう。

しろうと @sirouto

そこら辺は私も見ててかなり引っかかったが、「汚い」「恥ずかしい」と感じる部分をぜんぜん描かないのであれば、表現として骨抜きになってしまうと幾原監督たち制作側が判断したのだろう。

しろうと @sirouto

さて、『さらざんまい』で素直に褒められる良い所も挙げよう。私が見てて一番面白かったのは、転送（漏洩）のシーンだ。全裸でスケートのような動きをするのだが、見てて気持ちよい。

しろうと @sirouto

『さらざんまい』の全裸スケートが見てて心地よいのには、もちろんまずアニメーションとして作画の質が良いし、歌舞伎にあるたたらを踏むような動作とか、いろいろ演出の工夫がしてある。