【生きていた】福間健二 #k2fact220

福間健二 @acasaazul

餃子とタンメン。白菜漬けとジン・ロック。なんとか野菜もとって生きていた。近くまで来ると見えなくなる「死と冒険」。吸いすぎたタバコの味にいつのまにか逆転している「出発と帰還」。ひたいに手をやる。微熱と諸事情。人を見送り、四月の坂道、下のほうで歌声がした。（生きていた１）#k2fact219

福間健二 @acasaazul

ＡとＢ。ＣとＤ。「と」の便利さ。速度。地面の破れめからの、半乾きの錯乱へのロックンロール。だれと結婚したいと願ったか。きらいな夕暮れに舞わせる鳥の正体は。四月の捜索は。踊る男は言った。それはたとえば「守ってあげたい」に潜む雑草。霧のなかの乳房が好きだ。（生きていた２）#k2fact219

福間健二 @acasaazul

助けられなくても生きるもの。不自由な木を笑うもの。雑草と乳房。どこかに証拠は残るだろうが、元気と滴の、その「と」をもらって座っていた。いつか嵐は去り、ひとまわり小さくなった世界がジグザグに動けと言う。「ブリッジできた」きみ。幽霊船の飛ぶ空が懐かしい。（生きていた３）#k2fact219

福間健二 @acasaazul

新聞紙で包んだもの。札束でも食料品でもなかった。沈んでいくもの。何を舐めたい病気だったろう。石油の匂いがして、自分のことではなく、とくに機嫌がわるいわけじゃない線の上を動いていくとやがて「青い闇」。心の交換。きみ、走れば間に合う。笑わない小林さんも。（生きていた４）#k2fact219

福間健二 @acasaazul

家庭用の、牙と微笑み。使うのではなく、しまっておく。あるなら地下室。捨てられなかった道具類と「無関係の小人たち」に触って結び目の「と」をほどく。深夜、冷静になれない姉妹の、計算外の誘惑。どうするか。変えらないもの。でもこの小林さんはちょっと太った。（生きていた５）#k2fact219

福間健二 @acasaazul

人は星屑なのだ。下流。五十キロばかり離れた「明るい町」に苦労してたどりつき、歓迎されることもなく、一面の花のなかにばらまかれた。そのひとり。うちの花はもっと立派だよと豪語するおばさんもいたが、帰り道がわからないのは同じ。弾道、詩的にしか回想できない。（生きていた６）#k2fact219

福間健二 @acasaazul

小林さんでも赤木くんでもなくてだれだろう。眠りについた四月の野を、名前を思い出せない人の影がわたってくる。同情でも共感でもなくただそっと伸びるその手がしてくれること。期待するはずはないのに。黙らない「愚者の乗り物」。できない。死んだ人とは、夢のなかでも。（生きていた７）#k2fact219

福間健二 @acasaazul

ＡでもＢでもない。ＣでもＤでもない。だれも拍手しない路上のプログレッシヴ。破れ目をおおって生かしてくれるのに。行かなかった。体が行っても心が行ってない。言いそこなった「ありがとう」は鳥にも踊る男にもならない。おい、電話だ。いるって言ってしまったよ。（生きていた８）#k2fact219

福間健二 @acasaazul

「ぼくは生きている！」ときっぱり、何が言うのか。この時期に。気配だけじゃない。躊躇しながらも触ってくるもの。前進できないときはマイナスとマイナスを掛けて車輪に泣き声をあげさせる。「可愛い子羊」、なぜいなくなるのか。はい、赤木です。営業用の声で生きていた。（生きていた９）#k2fact219

福間健二 @acasaazul

寒いテーブルに。未読の、二十世紀の遺書。午前十一時。窓から見える晴れた空。「言いたくないこと」がおりてくる。言えということか。ミスター、電信柱よ、諭されるまえに。ピントの失敗からの、期待。死から生まれるものに裏切られた。要約すればそうなるが、元気ですよ。（生きていた10）#k2fact219