【シャンブル〜UC100V】山口順平氏(@hanamogera20)によるユニコーンほぼ全曲レヴュー・後編【#全UC】

祝ユニコーン100周年! 80年代音楽エンタメコミュニティ「Re:minder - リマインダー」のカタリベ 山口順平氏(@hanamogera20)によるユニコーンほぼ全曲レヴュー「#全UC」をまとめました。※まとめご快諾ありがとうございます
11
前へ 1 2 ・・ 5 次へ
山口順平 @hanamogera20

Z (2011) いわば20年越しの『ハヴァナイスデー』続編である。電大メンバーの作品採用数やボーカル数(遊びの部分)が前作に比べだいぶ減った分、隠されがちなバカうまの演奏力がL.A.ならではの高い臨場感の音像に終始表出している。史上最もロックバンドらしく、UCらしからぬともいえるアルバム。#全UC pic.twitter.com/ZRRNvg52An

2019-05-08 20:01:46
拡大
山口順平 @hanamogera20

【1、頼みたいぜ】民生作品。Chuck BerryやEddie Cochranの時代のギターロックを米国マニアの英国バンドが昇華したグルーヴ…そこへ更に選び抜いた日本語をのせるという実験も加わったのが本曲である。跳ねるビートと突き進むビートが混ざり合う快感。どだいロックンロールはこうでなくてはならない。 pic.twitter.com/ApVQ9SWnmz

2019-05-09 19:20:54
拡大
山口順平 @hanamogera20

【2、Z LIFE】阿部作品。若さに固執せず今を楽しもうという心情を“イェーイ”だとか“シャララ”だとか極力軽薄な言葉使いで同世代へ発信している。捉えようによっては「服部」から始まったオッサンソングの類といえよう。編曲はサザンソウル風味。UCにとっては珍しく外注のホーンセクションが参加した。 pic.twitter.com/aLD3rO3vKE

2019-05-09 19:42:44
拡大
山口順平 @hanamogera20

【3、デジタルスープ】阿部作品で、ボーカルは民生。「すばらしい日々」における心のすれ違いは言葉を交わせない時間の先に生じたものだったが。今日のそれは、デジタルの渦に幾らでも投げられる言葉がかえって疑わしいものになったから。この題材を敢えて骨太なギターロックで表す反抗心が清々しい。 pic.twitter.com/jB4IZT8V4o

2019-05-10 20:16:19
拡大
山口順平 @hanamogera20

【4、手島いさむ物語】テッシー作品。曲名だけでも分かるのは、流行歌として羽ばたく可能性を端から断っていること。それだけ演奏/録音に頓着した曲だということである。実際L.A.特有の臨場感を殊に活かしたHR。優劣はないが、国内録音(デッドな音像)のUCは“ロックの牙”を見せ過ぎないようにしている。 pic.twitter.com/4KAmptwVkW

2019-05-11 20:27:05
拡大
山口順平 @hanamogera20

【5、AGONY】EBI作品。ダークでブルージーな曲調や度々ある演奏のブレイクからElvis Presley「Heartbreak Hotel」を連想させる“スルメ曲”。かつて最も早くにUK志向を示していたEBIが、90sUK主軸のバンドに変わった途端に本曲を書いてくるという逆転現象も含めて面白い。彼こそが真の天邪鬼なのだろう。 pic.twitter.com/JWnjO5PjIr

2019-05-11 21:08:28
拡大
山口順平 @hanamogera20

【6、SAMURAI 5】阿部作品。直球のメロコアで、再結成以前の彼ならば絶対に扱わなかったであろう“輝く未来”云々を歌う。曲名も含めて海外遠征がもたらした気分なのかも知れない。ただし“ちょっと待て あなたのスピード やばくない”は交通標語からの引用であり、そのユーモアが“ブレーキ”になっている。 pic.twitter.com/RzG3evfFtr

2019-05-12 19:57:17
拡大
山口順平 @hanamogera20

【7、明日】民生作品。ストーンズマナーのルーズなロックンロール。『ハヴァナイスデー』収録の「魚の脳を持つ男」と同系であり、これにより海外遠征→王道のバンドグルーヴを欲求→ストーンズという図式がみえてくる。20年前の彼らと何がどう変わったのか、この2曲を続けて聴いてみるのも一興だろう。 pic.twitter.com/0ERIZ3q5rt

2019-05-12 20:27:20
拡大
山口順平 @hanamogera20

【8、ゆめみら】阿部作品。新たな王道となったブリットポップ調。『シャンブル』では導入できなかった荘厳なストリングスにより更に“らしく”なっている。再結成の言い出しっぺである彼がその気になった理由はさほど明かされていないが、作風の変遷から察すれば、Oasisの存在は潜在的に大きいと思える。 pic.twitter.com/5UiMqB37WI

2019-05-13 20:49:42
拡大
山口順平 @hanamogera20

【9、ウルトラヘブン スーパーマイルド】民生作品。ただし作詞はテッシーとの共作。Doobie Brothers風のカッティングギターで瑞々しく始まる16ビートナンバーで、グルーヴ本位の言葉遊びが顕著な『Z』の中でも極北の出来。発見したコレという語感を屈託なく使い倒す様子から70sの大瀧詠一にも重なる。 pic.twitter.com/f0a0Zbg8xT

2019-05-13 21:14:02
拡大
山口順平 @hanamogera20

【10、オレンジジュース】阿部作品。Radioheadに倣ったと思しきUC流デジタルロック。基本的にサポートミュージシャンもイヤモニも使わない彼らのライブでは珍しく同期演奏を要する(後の)定番曲だが、それで有機性が半減するどころか、コンピュータをやっつける勢いのバンドアンサンブルが堪能できる。 pic.twitter.com/hRFk9J872X

2019-05-15 21:10:03
拡大
山口順平 @hanamogera20

【11、いい雨】民生作品。残響豊富なエレキが要になったUC流ウォールオブサウンド。詞は、“君”に敢えて会わずして想いを巡らせる独りきりの時間がつくれたとして雨天を肯定しているもの。かつて“忙しくて君と一緒に居られない歌”を幾つも書いていたことと対比すると、そこに達観の一言が浮かび上がる。 pic.twitter.com/AXWsOzUtTg

2019-05-18 08:27:54
拡大
山口順平 @hanamogera20

【12、ライジングボール】作曲は阿部、作詞とボーカルは民生。作詞川西+作曲民生に代わる新定番コンビによる重厚なギターロック。おそらく阿部にとっての裏テーマは“1曲くらいは民生に高音域で歌わせる”だろう。出し惜しみ以前に自負心を持ってなさそうな彼の、爆発的な声量がここで発揮されている。 pic.twitter.com/PfeNAAKC4F

2019-05-18 08:51:23
拡大
山口順平 @hanamogera20

【13、さらばビッチ】作詞は川西、作曲は阿部。川西とEBIがラップ、阿部がボーカルを務めるミクスチャーロック。テッシーのリフと民生のハーモニーも効果的で、メインボーカリストが歌わないという選択肢における全員攻撃の究極だ。ライブでは、川西とEBIがハンドマイクから演奏に戻る“離れ業”を披露。 pic.twitter.com/bqUXgpXJZV

2019-05-18 12:37:04
拡大
山口順平 @hanamogera20

【14、裸の太陽】作詞とボーカルは民生、作曲は民生とテッシー。Byrdsの現代的解釈といった趣で、阿部がギターソロを務める間奏がテッシーの作曲部分。デモ段階では別々だった曲の抱き合わせは以後民生の特技に加わった。川西のドラミングが勇ましい足取りを、EBIのコーラスが青空の高さを感じさせる。 pic.twitter.com/GESChK8MAA

2019-05-18 19:49:37
拡大
山口順平 @hanamogera20

ZII (2011) 手塚治虫がシリアスな展開に耐えられない時に描くヒョウタンツギのような続編。民生はテッシーを素材に編集ごっこ、阿部は“亀ヤプシ的”な童謡、EBIは流行無視の叙情派フォーク、川西は唱歌のフリした風刺歌。見事にバラバラだが、5人同等の遊び心が一貫した空気感をもたらしている。#全UC pic.twitter.com/OvlNajgleV

2019-05-18 20:31:21
拡大
山口順平 @hanamogera20

【1、手島いさむ大百科】作曲は民生。お喋りなテッシーによる思い出語りをリズムに合わせて継ぎ接ぎした珍曲。若干DTBWBっぽい曲調はおそらく語りからの連想によるもので、藤子不二雄っぽい曲名は暗に最終曲「晴天ナリ」と対になるように付けられた。ユーモアを支えるバウンシーなグルーヴは一級品だ。 pic.twitter.com/dNM4Kx62Vn

2019-05-18 20:58:44
拡大
山口順平 @hanamogera20

【2、レディオ体操】民生作品。一部テッシーも歌う。「G.I.Blues」のリズムで「Jailhouse Rock」を演っているような50s路線。詞中の“体操”は肉体関係の隠喩だ(PVは「Physical」のパロディだった)。曲名は脱力的なギャグである一方、日本人が欧米人のフリをしても様にならないという本質を突いている。 pic.twitter.com/fEkT3waQ6c

2019-05-18 21:31:58
拡大
山口順平 @hanamogera20

【3、ぶたぶた】阿部作品。一部民生も歌う。赤塚不二夫の伝記的映画の主題歌。冒頭から繰り返されるメロディはBob Marley「Redemption Song」からの引用で、深読みすれば日本人のユーモアを解放した赤塚の功績と重なる。再結成以降の阿部作品では異色だが、どことなくサイケな編曲にはBeatlesの影も。 pic.twitter.com/KuB584w06F

2019-05-19 09:31:15
拡大
山口順平 @hanamogera20

【4、いちじく】EBI作品。井上陽水の最初期アルバムに収録されてそうなフォーク調で、日本の湿気に満ちた夏の恋を歌う。完成を阻止すべく民生・阿部・川西が“エンヤチュチュ”などというコーラスを付け、パンチバッグを叩いたりしているが、音響上それらも功を奏している。EBIの作家像は益々読めない。 pic.twitter.com/TSt47DcLiZ

2019-05-19 09:54:56
拡大
山口順平 @hanamogera20

【5、メダカの格好】川西作品で、ボーカルは電大の3人。詞中に“そっと覗いて見てごらん”が出てくる「めだかの学校」が着想の唱歌風パンク。体制へ刃向かう群衆を喩えているが、それを促す意味合いではなく、争いが避けられない社会の哀れを俯瞰した風刺だ。シリアスな題材を電大の“学生感”が中和する。 pic.twitter.com/BDNZRpzvUh

2019-05-19 17:37:30
拡大
山口順平 @hanamogera20

【6、晴天ナリ】阿部作品で、ボーカルは民生。Percy Sledgeの「When a Man Loves a Woman」がProcol Harumの「Whiter Shade of Pale」を生み、それがOasisの「Don't Look Back In Anger」を生み、更にそれが本曲を生んだ。きっとPercyのそれにも生みの親がいる。名曲であればポップスの連鎖と呼ぼう。 pic.twitter.com/PbyisD1egs

2019-05-19 18:38:11
拡大
山口順平 @hanamogera20

イーガジャケジョロ (2014) ノベルティソング一筋の川西を起点に役割が決まったと思しき“陽”の1枚。EBIはいつになくハジけ、テッシーはバラッドに挑み、民生は共作を嗜み、阿部は免罪符のメロディを書いた。L.A.録音盤『Z』を経てリズムが再びデッド指向へ。また50s路線の作風が著しい点も特長#全UC pic.twitter.com/NztSaFAppV

2019-05-19 19:47:34
拡大
山口順平 @hanamogera20

【1、イーガジャケジョロ】川西作品で、ボーカルは電大。2012年から“課外活動”も始めた3人の勢いが逆輸入されたアルバムであることを象徴する表題曲だ。絶妙にモタるリズム隊に民生のスライドギター、阿部のハーモニカがのっかるシカゴブルース調のブギで、ナンセンスな歌ながらも何故か説得力がある。 pic.twitter.com/fVBE5F2uuX

2019-05-19 20:10:33
拡大
前へ 1 2 ・・ 5 次へ