【シャンブル〜UC100V】山口順平氏(@hanamogera20)によるユニコーンほぼ全曲レヴュー・後編【#全UC】

祝ユニコーン100周年! 80年代音楽エンタメコミュニティ「Re:minder - リマインダー」のカタリベ 山口順平氏(@hanamogera20)によるユニコーンほぼ全曲レヴュー「#全UC」をまとめました。※まとめご快諾ありがとうございます
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山口順平 @hanamogera20

【2、夢見た男】EBI作品。「人生は上々だ」から始まった50sロック/Elvis Presleyへのオマージュを遂にEBIも継承。「Blue Suede Shoes」を彷彿とさせながら夜の六本木を軽薄に歌う。前曲にも増してモコモコな音像。この時期“やっぱ俺らに米国仕込みの臨場感は要らない”という答えが出たのかも知れない。 pic.twitter.com/yT5x2VpqYX

2019-05-19 20:34:43
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山口順平 @hanamogera20

【3、Boys & Girls】阿部作品。「WAO!」の段階から見え隠れしていた彼のメロコア路線は「SAMURAI5」で明確になり、本曲でより洗練された印象。「American Idiot」を彷彿とさせ前曲までのヴィンテージな空気感を変える。ハモる民生との相性が毎度ながら抜群。こうでもしないと民生は高音域に現れない。 pic.twitter.com/gsTAKq0ktZ

2019-05-20 08:39:19
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山口順平 @hanamogera20

【4、あなたが太陽】民生と川西の共作曲で、ボーカルも2人。やっとメインボーカリストが登場したかと思いきや、ヴァースは川西が歌うという変化球。「裸の太陽」に続くデモ2曲分抱き合わせ作品だ。コーラス含めて中期Beatles風のサイケポップだが、阿部のピアノを追ってみると「Lady Madonna」である。 pic.twitter.com/ScEPiB5Jo0

2019-05-20 08:52:10
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山口順平 @hanamogera20

【5、早口カレー】民生作品。辛口・甘口にひっかけた曲名ありきと思しき、半ば強引な哲学ソング。“いいこと言ってる感じ”なのはBob Dylan~吉田拓郎仕立てのフォークロックが血肉化されているからである。派手に起伏しなくともキャッチーに聴かせられる職人芸。デモ試聴会では阿部が羨ましがっていた。 pic.twitter.com/FFFz12j3pA

2019-05-20 12:10:27
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山口順平 @hanamogera20

【6、We are All Right】阿部作品。音楽の価値が揺らぐ世を憂うバラッド。今や20年以上遡る90sに流行した音楽は市場ではオールディーズの範疇に入りつつあるが、ユニコーンの場合は5人中4人が80s以前の“財産”で作曲しているため、再結成以降の阿部の作風が殊に新しく感じる。コレもブリットポップ調。 pic.twitter.com/L5VFfp6j4C

2019-05-20 12:29:40
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【7、KEEP ON ROCK'N ROLL】阿部作品で、ボーカルは民生。阿部は本当にOasis/Noel Gallagherが好きなんだなと感じる曲。民生に歌ってもらうポジションも含めてNoelの流儀を踏襲。ストリングスの導入は国内布陣では再結成後初である。L.A.録音時にDavid Campbellの仕事ぶりをみた経験が活かされている。 pic.twitter.com/MvGWta7jld

2019-05-20 12:41:43
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山口順平 @hanamogera20

【8、俺のタクシー】民生と川西の共作曲で、ボーカルは2人を中心に全員担当。カバンを忘れた客と運転手の台詞で構成されたロードソング。「あなたが太陽」ではデモ2曲分の接点を模索しての抱き合わせだったが、本曲のデモ2曲分は元々似ていた。この時期“広島勢”は何故か50sUSムードだったようである。 pic.twitter.com/bWWwjtxp0t

2019-05-20 18:21:05
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【9、ユトリDEATH】民生作品。“ゆとり殺し”すなわち、ゆとり世代が横溢する社会の危うさが題材だが。民生なので直接的な風刺も意見も込めることなく、メタル調のアンサンブルと“デス声”にしっくりくる語感を終始楽しんでいる。曲名も元々はダジャレからだろう。重いような軽いようなという“らしい”曲。 pic.twitter.com/dDvOHEK10H

2019-05-20 18:41:52
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【10、トキメキーノ】川西作品で、ボーカルは民生・阿部・EBIを中心に全員担当。Beatles「Taxman」風のベースラインとThe Who「I Can’t Explain」風のコーラスが余韻を残すエレクトロポップ。ツアーではテッシーがギター2本を平然と担いで弾き分ける等、全員の千両役者ぶりが際立つハイライトなった。 pic.twitter.com/gzMsOfDrhq

2019-05-20 19:19:06
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山口順平 @hanamogera20

【11、お前BABY】作詞は電大の3人、作曲はテッシー、ボーカルはEBI。USエレキインスト~サーフロック、転じてGSを彷彿とさせる曲調で、EBIが執拗に“ベイベ”を云い放つ(Elvisのつもりなのだろう)。その気になれば何でも面白くできることが判明した本盤を境にボーカリストEBIの役割は更に拡張している。 pic.twitter.com/cThaxWfiBA

2019-05-20 19:56:09
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山口順平 @hanamogera20

【12、それだけのこと】テッシー作品。アルバム制作の手始めになる頻度が高いという彼の曲だが、ここでは通例のバンド編成を避け、阿部のピアノ伴奏のみで歌うスローバラッドに挑戦。倦怠感漂う野太い歌声が「自転車泥棒」や「オールウェイズ」の主人公が世間に揉まれる年齢になった様子を連想させる。 pic.twitter.com/7oHhOT0kvr

2019-05-21 08:26:58
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山口順平 @hanamogera20

【13、鳥の特急便】民生作品。ギターの重ね方、潰し方に初期のスマパン等のオルタナ色が表れた、彼の中では比較的新しい時代性の作風。夜空を飛ぶ鳥に市井の人々の想いを託す一方で、“俺たち”自身の生き様を鳥に重ねてもいる。曲名ではぐらかしているが、いわば民生流「KEEP ON ROCK'N ROLL」だろう。 pic.twitter.com/x4PHzoZdr1

2019-05-21 08:36:05
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【14、Feel So Moon】作曲は阿部、作詞とボーカルは民生。「ヒゲとボイン」は、或る会社員の滑稽な苦悩を仰々しくみせる狙いに基づくスペースロックだが。本曲は逆に“読む空気がない”等々、雄大であるはずの宇宙を軽く嘲笑う詞が特徴。第一声の“わぁ”にメインボーカリスト民生の説得力が詰まっている。 pic.twitter.com/Hf7T6sLkv0

2019-05-21 08:57:06
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山口順平 @hanamogera20

ゅ13-14 (2016) 民生4曲、阿部4曲、EBI2曲、テッシー2曲、川西2曲で共作曲なし。冒頭5曲で5人の各ボーカルが連なる。誰に寄せるでもなく全員の個性を集約したらどうなるか?という危険でもある試みが到達したロックバンドの理想郷。理想とは程遠い時代の中で音楽という“一時逃避”を肯定している。#全UC pic.twitter.com/9JiddeNwyo

2019-05-21 11:13:41
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山口順平 @hanamogera20

【1、すばやくなりたい】民生作品。川西のドラミングが際立つ“引き算”のロックンロール。ソロの「マシマロ」更に遡れば「素浪人ファーストアウト」に通底している。演奏に対してボーカルがやや埋もれ気味のミックスであるのは、それだけこのグルーヴに達成感があり前面に押し出したかったからだろう。 pic.twitter.com/MUTM2RHYc2

2019-05-21 11:22:58
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山口順平 @hanamogera20

【2、オーレオーレパラダイス】テッシー作品。大野克夫が沢田研二に書き下ろしたような歌謡ロック。諧謔と哀愁が入り混じる中年賛歌であり、ボーカルは再結成当初の「オッサンマーチ」よりも余裕が感じられる。ピュンピュンと安っぽいビーム音を盛っているのは、70s後期歌謡界へのオマージュだろうか。 pic.twitter.com/PAa8KTMzit

2019-05-21 11:38:23
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【3、サンバ de トゥナイト】阿部作品。唐突にサンバ調のコーラスパートを挟み込む異型のHR。本盤で特筆すべき1つには阿部の“ナンセンス回帰”がある。正攻法を書く役割の彼が時々2.5枚目路線で奔放に演っているのは旧いファンには嬉しいこと。前作の時点で90sUKロック探求が一段落したのかも知れない。 pic.twitter.com/bMzjRPPm9p

2019-05-21 11:51:53
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【4、僕等の旅路】テッシー作品で、ボーカルは川西。川西は“チョットオンチー”などと常々イジられてきたが。その声質は実のところ無垢なロックと相性が良い。テッシーが久々にフォーキーなメロディセンスを発揮した本曲において、メンバーは“賭け”てみたようだ。美しく破けるサビの歌声にグッとくる。 pic.twitter.com/G8LoZGL6NR

2019-05-21 15:33:38
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【5、道】EBI作品。Beck『Morning Phase』等に通じる深遠な音響のオルタナフォーク。メンバーの感性を刺激し予想外の変貌を遂げるのは「ペーター」の頃からのEBI作品の傾向。前作ではコメディリリーフに徹した彼にとって揺り戻しの1曲にあたる。人生を謳う抽象的な詞に大鐘が東洋の神秘を加えている。 pic.twitter.com/HuMpkP8dZ0

2019-05-21 16:05:15
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【6、ハイになってハイハイ】民生作品。アルペジオだけで歌う静、バンドがグシャッと合流する動を往き来する、昔から民生が好む構成のサイケロック。“ハイになっておいで”と呪文のように囁く様子は静であっても不穏であり、60sロックシーンへの連想から“ハイ”がアレのようにもとれる。偽悪はUCの伝統。 pic.twitter.com/SYocMdrBLt

2019-05-21 16:15:36
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山口順平 @hanamogera20

【7、マッシュルームキッシュ】川西作品で、ボーカルはEBI。川西は『イーガジャケジョロ』の延長で50sモード。リズム隊2人の他、阿部がピアノ、民生がアコギ、テッシーがスライドを務め、古き良きロックンロールが愉快に弾んでゆく。川西行きつけのイタリア料理店AMENOが題材。美味しいという話だけ。 pic.twitter.com/Do4GBbhpYw

2019-05-21 16:22:58
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山口順平 @hanamogera20

【8、TEPPAN KING】阿部作品。表面上はLed Zeppelin等を彷彿とさせるHR。中身は“毎日毎日オレら鉄板の上で”という何処かで聴いたことあるような節が度々出てくる鯛焼き職人の歌だ。一聴してシリアスに感じられるよう日本語を崩しているが、EBIの金切り声のコーラスから“ふざけてる予感”は漂い始める。 pic.twitter.com/IbR32hLpcM

2019-05-21 16:33:37
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山口順平 @hanamogera20

【9、マイホーム】民生作品。更地を買い家を建て家庭が満たされてゆく様子が具体的に綴られているが、“つー夢を見た”の一節により深い陰に覆われるサラリーマンロック。民生がこれほど所帯染みた詞を書くのは、UCでは再結成後初といっていいだろう。曲調はボーカルの音響も含めて70sのJohn Lennon風。 pic.twitter.com/aGFGTokhIA

2019-05-21 16:40:34
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山口順平 @hanamogera20

【10、CRY】EBI作品。彼のルーツにあったとすれば意外な、Neil Youngを彷彿とさせる曲。アコギの陰鬱なストロークで始まり、ノイジーなエレキが合流するとグルーヴがみるみる熱を帯びてゆく。詞は終始絶望的で、希望を胸に抱いて歩む「道」とは表裏一体だ。ツアーを通じて最も“化けた”のが本曲である。 pic.twitter.com/z0uFT9SNAy

2019-05-21 16:48:56
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山口順平 @hanamogera20

【11、エコー】民生作品。「早口カレー」に続くBob Dylan~吉田拓郎風フォークロック。彼の作風では定番だが、正確には解散してから確立したものであり、弾き語りでも成立するところUCで演ればどうなるかという実験性を陰ながら有している。オルガン、ピアニカ、ハーモニカを兼任した阿部がMVPだろう。 pic.twitter.com/OjdvUkbP8S

2019-05-21 17:05:19
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