作家・木下昌輝さんの発行部数・実売部数など出版業界の基礎知識にツイートが大変勉強になる

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木下昌輝@愚道一休 6/5発売 @musketeers10

X収益化に魂を売った、アラヒフの歴史小説家。 歴史に翻弄されながら歴史小説を執筆中。作風ダークになりがち。長編は苦手、短編の方が得意。趣味は無。焼肉とラーメンが好き。フレブルと同棲中。「剣、花に殉ず」23年9月発売 9/4 3241 創作の質問受付中 https://t.co/NYKPbMnhHV

木下昌輝 @musketeers10

一般の人には馴染みがないかもと思い、出版の超超基本を説明。 発行部数→出版社が刷った冊数 実売部数→本屋で売れた冊数 印税は、発行部数×10%が標準 印税は、発行部数で支払われるので、実売部数が少ないと著者に印税を払いすぎたことになる。 だから実売部数が少ないと、文庫化されないことも。

2019-05-17 11:26:52
木下昌輝 @musketeers10

たまに「1000円の木下の本一冊買ったから、木下の口座に印税の100円が入っただろ」とドヤ顔の人がいるけど発行部数分すでに入ってるのだ。 別にあなたが買ってくれたから、新たに口座に100円入るわけでない。 けど買ってくれたことには、素直に感謝してるぜ^_^

2019-05-17 11:26:52
木下昌輝 @musketeers10

ちなみに実売部数がどのくらいかは、基本、作家は教えてもらえない。 増刷されたらかなり実売がよい、 初版止まりだけど次作の依頼が来たらそこそこよい、 次作の依頼がなければかなり実売が悪い、 次作依頼無し文庫化無しなら絶望的に悪い、 と作家が勝手に分析するしかない。

2019-05-17 11:26:53
木下昌輝 @musketeers10

あと、次作依頼が雑誌連載なら初版止まりでもかなり実売よし。 次作依頼が書き下ろしならそれほど実売はよくない。 ある作家さんの本で書き下ろしだと印税が10%→11%になると書いてたが、本当かな? 私は完全書き下ろしは経験なしです。 あと、印税はちゃんと消費税のせて振込んでくれます(嬉)

2019-05-17 11:26:53
木下昌輝 @musketeers10

ちなみに木下はほぼ全作、 【初版止まり次作依頼連載付きであり】 の状態の作家です。 ほぼ全作初版止まりです(血涙)。 慣例なのか直木賞候補になったら増刷してくれますが、直木候補でも増刷されないケースもチラホラ出てきたそうです(恐怖)。 一言で言えば出版不況です。

2019-05-17 11:26:54
木下昌輝 @musketeers10

実売数ではなく、実売率の方が大切です。 1万刷って5000部実売 7000刷って5000部実売 同じ実売部数でも後者の方が評価は高いです。 実売数は悪くないけど、刷り過ぎたが故に赤字なので文庫化なし、というケースも。 あと同じ 7000刷って5000部実売 でも連載有と連載無では後者の方が評価が高いです。

2019-05-17 11:26:54
木下昌輝 @musketeers10

前者は連載料分の費用が余計にかかっているので。 著者が出版社より圧倒的に強いのは、著作権を持ってることです。出版社に不満があれば、著作を引き上げて他社から出版することが可能です。 たまに単行本と文庫本で出版社がちがうのは著者が著作権を行使した可能性が高いです。

2019-05-17 11:26:55
木下昌輝 @musketeers10

この時、前の出版社にも利益が半分行くなどのケースで作品を移籍させることがあります。戦略的移籍です。 書店の文庫の棚を見ればわかりますが出版社別に棚があり、そこから著者別に分かれています。 つまり東野圭吾さんの容疑者Xの献身を文庫本で買おうと思うとまず出版社を調べなければなりません。

2019-05-17 11:26:55
木下昌輝 @musketeers10

単行本はそんなことなくて、作家別に分かれてます。 文庫を色んな出版社から出すと、読者には不親切なので、文庫化の際に著作権を行使して出版社を整理することがあります。こうすると読者は作品を探しやすくなるし、ひとつの出版社の棚にほととんどの文庫作品があれば、これも買おうかなとなります。

2019-05-17 11:26:56
木下昌輝 @musketeers10

そういう戦略的な移籍の場合は、前の出版社に半分利益がいくようにすることがあるそうです。まあ、前の出版社に非がなければ当然の心配りかなと。 それとは別に出版社といざこざがあり、別の出版社から出す時は一切利益がいかないこともあるそうです。

2019-05-17 11:26:57
木下昌輝 @musketeers10

文庫化されなかったけど他社の編集が気に入ってくれて、他社から出版という形もあります。他にも編集が他出版社に転職したので、そこから文庫本を出版というパターンもあります。 ちなみに、編集者の出版社→出版社という転職形態は非常に多いです。ある作家の担当を10年ずっとしてくれてるけど、

2019-05-17 11:26:57
木下昌輝 @musketeers10

その編集者自体はその間に何度も転職してるとかもあります。 余談ですが、たまにチーム木下とかいう表現をします。私は約10社の出版社とお付き合いがあり、当然10人以上の担当がいますが、その担当さんをざっくりとチーム木下と表現します。 賞候補になった時の待会などはチーム木下感が全開です。

2019-05-17 11:26:58
木下昌輝 @musketeers10

とはいっても私程度の作家だと、チーム木下と表現することは年に一回もありません。。。 作家が問題を抱えた時などチームで問題を共有して、どこの出版社が弁護士費用を負担するか、などスクラムを組んで対処してくれることもあるようです。 私はまだそれが必要になったケースは、、、、

2019-05-17 11:26:59
木下昌輝 @musketeers10

横道にそれました。 著作権を行使して文庫を移籍させるのは可能ですが、たとえ利益が半分渡る形でもいい顔をされません。 担当編集をチームと表現するように、作家は編集との人間的付き合いが大きいからです。 編集が著作を読み気に入ったからオファーをしてくれます。

2019-05-17 11:27:00
木下昌輝 @musketeers10

一番距離の近い読者なので、やはり顔を潰すようなことはしたくないというのが人の心ですね。まあ、私に人の心があるかどうかは、、、 逆に編集が他社に移籍したので著作も移籍だと心理的ハードルは低いような気がします。

2019-05-17 11:27:01
木下昌輝 @musketeers10

最後はまとまりがなくなってしまいましたが、これが出版の超基本です。 けど、作家になるまではあまり教えてもらえない内容かなとも。 まとめ的には、 私はライターをしていましたが、 小説家はライターに比べれば著作権の面でかなり優遇されています。これを武器に出版社と戦うことができます。

2019-05-17 11:27:01
木下昌輝 @musketeers10

出版社が小説家をチヤホヤするのは、畢竟、著作権があるからです。それをいいことに横暴な振る舞いをする作家もいるそうです。 けど、著作権は核兵器みたいなもんで最後の武器です。使う限りは、全面戦争も覚悟しなければなりません。 この辺は自戒をこめて。

2019-05-17 11:27:02
木下昌輝 @musketeers10

あと、究極、小説家は水商売です。キャバクラの姉ちゃんと変わりません。著作を読んで面白いと思ったら編集から指名をいただきます。システムは同じ。 ただ実売部数の伴う売れっ子になったら、水商売感は薄くなるような気がします。 売れっ子でないので、よーわかりませんが。

2019-05-17 11:27:02
木下昌輝 @musketeers10

そして、最大のまとめは、だから、私の本を買ってということです!! 1400年続く実在の宮大工金剛組を取材した歴史小説、 『金剛の塔』、 本日より発売開始です!!!!!!!!!!!! pic.twitter.com/YZz3BN2XWi

2019-05-17 11:27:06
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金剛の塔

木下昌輝

こいずみりく@9月中は秋休みを頂きます🐢 @koizumiriku5133

@musketeers10 質問です!よく帯に「◯万部のベストセラー!」などとあるのを見かけますが、あれは発行部数と実売部数の、どちらなのでしょうか。ご存知でしたら、ご教示願います。

2019-05-17 19:06:44
木下昌輝 @musketeers10

この大騒動でも、売上部数と実売部数を淡々とツィートして地味にフォロワーを増やす俺。 きっと関ヶ原合戦にタイムスリップしても、東軍にも西軍にも属さず、両軍に弁当とか売って地味に儲けているはずである。

2019-05-18 11:10:32