多様なメンバーで構成される集団が自明ではない「正解に達する」ための要因は何か?

東日本大震災に伴う原発事故以後に起きている問題の、解決に必要な要因について、福島大学の飛田操先生(@hidarin911)の考察をまとめました。 飛田先生が司会をお務めになったシンポジウム「被災地の明日を探る社会心理学」(6/6/2015開催)は、下記のウェブサイトで録画と発表資料を閲覧できます。 日本社会心理学会2015年度第59回公開シンポジウム (発表資料は各話題提供者の発表タイトルのリンクから、録画は「開催趣旨」の「当日動画」から) http://www.socialpsychology.jp/sympo/59.html 続きを読む
14
前へ 1 2 ・・ 33 次へ
ひだりん @hidarin911

集団サイズが大きければいいわけではないのですが,では,どのくらいのサイズが適正なのかというと,それは当然なのですが,集団が直面している課題の構造によるのです。単なる「がれき」の処理にあたるのなら10人より100名のほうが効率的でしょう。

2011-05-16 14:48:58
ひだりん @hidarin911

ただし,じっさいに直面しているのは,他人には「単なるガレキ」としての意味しかないものが,当事者にとっては貴重な「思い出の品」である場合があるということなのです。集団が直面している課題が,とても複雑な構造をしていると考えることができます。

2011-05-16 14:51:06
ひだりん @hidarin911

また,ぼくのような「ぎっくり腰」のおじさんがたとえ100名集まったとしても,屈強な青年20名のほうが,ずっと片付けがはかどるはずです。議論が,集団サイズから,課題の構造に移り,そして,課題と成員との適合性の話へと移行してきました。

2011-05-16 14:55:04
ひだりん @hidarin911

集団問題解決過程では,特に,集団のパフォーマンスを検討しようとすると,どうやらいろいろな変数が相互に影響しており,変数や要因を単独で検討することはぼくには難しいようです。でも,あきらめないで,次の論点を検討したいと思います。

2011-05-16 15:03:31
ひだりん @hidarin911

二番目の検討は,集団成員に焦点を当てます。特に,成員の能力が中心となります。もちろん,能力の高い成員が集まっている集団のほうが,低い能力の成員からなる集団よりもパフォーマンスが高くなります。集団問題解決は,成員の能力に強く規定されているのです。

2011-05-16 15:05:38
ひだりん @hidarin911

ただ,おもしろいことに,高い能力の成員と中程度の能力の成員との組み合わせや,中程度の能力の成員と低い能力の成員との組み合わせが,一定程度,高いパフォーマンスを示す場合もあるようです。集団による問題解決は,成員の能力によって強く規定されているとしても,他の要因も影響しているのです。

2011-05-16 15:08:39
ひだりん @hidarin911

さらに興味深いことに,リーダーシップトレーニングやグループ・コンセンサスのトレーニングを受けた成員のいる集団のほうが,すぐれたパフォーマンスを示すこともあるようです。成員に能力があるかどうかだけでなく,その能力を集団として「発見」し,「活かす」能力も必要であることが示唆されます。

2011-05-16 15:14:14
ひだりん @hidarin911

ずいぶん議論が大回りしている気がします。なかなか核心にたどりつかなく,もどかしくあります。ここで,舵を修正してみましょう。集団問題解決におよぼす集団成員の多様性の効果の検討です。

2011-05-16 15:25:26
ひだりん @hidarin911

「多様であるか均質であるか」というのはあくまでも相対的なものです。相対的に多様な成員からなる集団と相対的に均質な成員からなる集団との比較検討がここでのメイン・テーマとなります。さらに,多様性や均質性というのは,特定の次元に基づきます。民族的に多様だが性別は均質な集団は存在します。

2011-05-16 15:29:58
ひだりん @hidarin911

現在,検討しているのは集団のパフォーマンスですが,さらに寄り道します。成員の満足度についてです。大学生を対象とすると,相対的に多様な集団でのコンセンサスを経験した成員と相対的に均質な集団でのコンセンサスを経験した成員とでは,集団活動にたいする満足度が異ならない場合が多くあります。

2011-05-16 15:36:19
ひだりん @hidarin911

満足度の水準は同じくらいであっても,多様な集団では「自分と異なる考えが聞けて刺激になった」,均質な集団では「他の成員と話があって楽しく会話できた」と,満足をもたらす理由や根拠が異なっているようです。大学生にとっては集団活動は高い満足をもたらすようなのです。ただ,注意が必要です。

2011-05-16 15:40:43
ひだりん @hidarin911

それは,大学生たちに与えられている課題がシビアなものではないことです。たとえ集団が課題解決に失敗しても何の問題はないのです。しかし,私たちが今立ち向かわなければならないのは,課題を解決しても大きな報酬が与えられる訳ではなく課題を解決しないと大きな罰が与えられるという課題なのです。

2011-05-16 15:45:02
ひだりん @hidarin911

また,課題の構造の話に戻ってしまいました。あらかじめ筋道立てている訳ではなく,思いつくままにつぶやいてしまったことを反省します。少し休憩した方が良さそうです。

2011-05-16 15:47:28
おかっぱさん @Kyou_okappa

@hidarin911 先生、お疲れ様でした。大変興味深いお話でした。課題の構造の違いのお話は考えさせられました。

2011-05-16 15:52:25
ひだりん @hidarin911

さて休憩終わりです。遠回りしてきましたが,結論を急ぎましょう。多様な成員からなる集団と均質な成員からなる集団では,多様な成員からなる集団のほうがすぐれたパフォーマンスを示す可能性が高くあります。ただし条件があります。「集団内で生起する葛藤を効果的に解決できれば」という条件です。

2011-05-16 16:52:02
ひだりん @hidarin911

じつは,この条件があることが,大きな問題なのかもしれません。どうすれば,「集団内で生起する葛藤を効果的に解決」できるのか,という新たな問題も提起されてしまいます。

2011-05-16 16:54:21
ひだりん @hidarin911

私たちが直面しているのは,正解があるのかもしれないが,その正解は数年後から数十年後に明確になるものであること,しかし,早急な判断が必要なこと,そして,正解しても報酬は得られないばかりか,不正解の場合,多くの人々の健康に影響してしまうほどのシビアな課題であるのです。

2011-05-16 16:57:10
ひだりん @hidarin911

かなり強引に集団問題解決との関連から検討してしまいました。やはり結論づけるには,相当の無理があるようです。このシリーズはいったん終了することにしましょう。福島は新緑がとてもきれいです。放射線に汚染されているのが信じられないくらいに。

2011-05-16 17:03:58
matumura @matumura

多様な成員からなる集団でなおかつ集団内で生起する葛藤を効果的に解決できるときに集団のパフォーマンスは高まる、ということは、どんな集団に対しても、ディベートのように役割を与えたり、ファシリテーターによって葛藤を効果的に解決できるようにすれば、集団のパフォーマンスは高まるんかな。

2011-05-17 06:00:54
ひだりん @hidarin911

はじめまして。単に役割を与えるというよりは,メタレベルでの知識の再構築を計ることが有効になるようです。 @matumura どんな集団に対しても、ディベートのように役割を与えたり、ファシリテーターによって葛藤を効果的に解決できるようにすれば、集団のパフォーマンスは高まるんかな。

2011-05-17 09:00:22
matumura @matumura

ありがとうございます!「メタレベルでの知識の再構築を計る」のイメージが沸かないので何か例をご教示いただけないでしょうか。不勉強で申し訳ありません RT @hidarin911: はじめまして。単に役割を与えるというよりは,メタレベルでの知識の再構築を計ることが有効になるようです。

2011-05-17 10:26:06
ひだりん @hidarin911

@matumura たとえば「多数決をとらないこと」と教示するだけで,集団のパフォーマンスは上昇します。「他者の見解を理解し,その情報を考えのなかに取り入れるように」とパースペクティブテーキングさせても,集団のパフォーマンスが上昇することがわかっています。

2011-05-17 11:06:11
ひだりん @hidarin911

@matumura また,トレーニングにより評価懸念が減少したり,対人不安が減少することもあり,これらが集団のパフォーマンスに促進的に影響するようです。

2011-05-17 11:07:45
ひだりん @hidarin911

@matumura さらに,「誰が何を知っているか」,「それらの知識をどのように収集し活用するか」というメタレベルでの知識の有無が,集団のパフォーマンスに大きく影響しているようです。

2011-05-17 11:09:26
ひだりん @hidarin911

@matumura ただし,トレーニングについては,どちらかといえば,個人的な成長や感受性訓練の一環として行われてきた感じがあり,トレーニングがグループパフォーマンスへの効果を実験的に検討した研究はあまりないようなのです。

2011-05-17 11:11:13
前へ 1 2 ・・ 33 次へ