多様なメンバーで構成される集団が自明ではない「正解に達する」ための要因は何か?

東日本大震災に伴う原発事故以後に起きている問題の、解決に必要な要因について、福島大学の飛田操先生(@hidarin911)の考察をまとめました。 飛田先生が司会をお務めになったシンポジウム「被災地の明日を探る社会心理学」(6/6/2015開催)は、下記のウェブサイトで録画と発表資料を閲覧できます。 日本社会心理学会2015年度第59回公開シンポジウム (発表資料は各話題提供者の発表タイトルのリンクから、録画は「開催趣旨」の「当日動画」から) http://www.socialpsychology.jp/sympo/59.html 続きを読む
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matumura @matumura

@hidarin911 ありがとうございます。結局のところ集団のパフォーマンスの良し悪しはどれだけ解の候補をたくさん生成したかに依るので、そうなるように集団を誘導する、という感じでしょうか。

2011-05-17 12:04:07
ひだりん @hidarin911

@matumura 解の候補をたくさん生成するのも,ひとつの方略だと思います。ブレーンストーミングは,その典型ですよね。ただ,それだけが唯一でもなさそうなのです。

2011-05-17 12:08:59
ひだりん @hidarin911

逃げてはいられません。まずは前提からはじめます。安全・危険両陣営のかたは,ぼくにからまないでください。「現時点では新たな放射線の放出の影響は認められていない」,「ただし原子炉の状態は不安定であり,予断を許さない状況にある」。「政府や県が公表している放射線測定値はほぼ正確である」。

2011-05-17 14:28:09
ひだりん @hidarin911

論点1:「年間100ミリシーベルトを超える被曝は確率的な健康被害をもたらす」。たとえその確率が小さくても,健康に被害を及ぼすでしょう。ただ福島や郡山など多くの場所では年間の被曝量,100ミリシーベルトには達しないと予想されていますので,100ミリシーベルトの基準は考慮外とします。

2011-05-17 16:04:37
ひだりん @hidarin911

論点2:「年間積算量100ミリシーベルトが閾値となる」。したがって,ここで検討しなければならないのは,100ミリシーベルトに達しない場合の健康被害についてです。「閾値」があるかどうか不明である以上,積算量が100ミリシーベルトに達しなくても,健康に一定影響するとしておきましょう。

2011-05-17 16:08:23
ひだりん @hidarin911

論点3:「放射線管理区域の基準は年間5ミリシーベルトである」。ここで検討すべき問題は,「管理区域として指定されるかどうか」ではなく,あくまでも「健康に影響するかどうか」とします。「管理区域」を根拠にし「避難すべき」との主張は,ここでの議論になじまないものとします。

2011-05-17 16:13:53
ひだりん @hidarin911

論点4:ただし,放射線管理区域に指定されるのは,それが健康に被害をもたらす可能性があるからであるとの根拠であれば,これは検討の対象とします。

2011-05-17 16:17:16
ひだりん @hidarin911

論点5:「子どもは被曝が健康被害に及ぼす感度が高い」。これも,どのくらい高いのかとか,18歳未満とするとかは考慮せず,これを受け入れて議論したいと思います。

2011-05-17 16:19:08
ひだりん @hidarin911

論点6:「外部被曝も内部被曝も,個人の生活スタイル等によって,ある程度は防ぐことができる」。じっさいに,建物の内部では,放射線量が低下しています。「ある程度」なのかもしれませんが,個人の行動は重要なパラメーターとなるでしょう。

2011-05-17 16:22:43
ひだりん @hidarin911

論点7:「福島市における年間被曝量の積算量の推定値は18ミリシーベルト前後である」。この推定方法に異議を唱えるかどうかが大きなポイントになりそうです。大部分の人たちの実態に即しているかどうか検討する必要があるでしょう。

2011-05-17 16:33:00
ひだりん @hidarin911

論点8:「では,どうすべきか?」年間の積算被曝量は少ないほうがよいのは当然でしょう。これを踏まえても,「どうすべきか?」の解には「避難する」から「なるべく屋内にいる」,あるいは,「気にしない」など多様なものが存在すると思われます。

2011-05-17 16:38:04
ひだりん @hidarin911

見落としている点や,抜け落ちている点はないでしょうか?あるいは,誤った前提やデータに基づいていないでしょうか?

2011-05-17 16:56:09
ひだりん @hidarin911

一般に,ある状態から,他の状態へ移行するかどうかを判断するとき,今の状態に対する満足度と,他の状態へ移行したときに予想される満足度を比較します。今の状態が不満足でも,他の状態に移行したときに,現状と比して,より不満足が予想されるなら,現状を維持すると判断するでしょう。

2011-05-17 17:33:52
ひだりん @hidarin911

現状に満足していても,他の状態に移行したとき,より大きな満足が予想されるのなら,他の状態に移行しようとするでしょう。いまの状態に不満でも,別れると寂しいからとの理由で,つきあい続けているカップルがたくさんいます。よりよい相手が見つかれば,躊躇なく乗り換える人もいるでしょう。

2011-05-17 17:38:29
ひだりん @hidarin911

福島の人は(一般化しすぎかな・・・少なくともぼくは),福島の現状に満足しているわけではありません。しかし,福島を離れたとして予想される仕事や住まいにたいして,大きな不安を持っています。仕事や住まいの見通しが立たない状況では,福島を離れるという判断はすごく難しいものとなります。

2011-05-17 17:43:11
ひだりん @hidarin911

ぼくは,福島に着任して20年くらいですが,それでもたくさんの想いがあります。福島の人には先祖代々,土地や家を,そして,地域や伝統を守り続けてきた人が数多くいます。多くの時間や労働や価値や想い出を福島につぎ込んできたるのです。

2011-05-17 17:47:44
ひだりん @hidarin911

さて,また寄り道をしてしまいました。しかし,「どうすべきか?」の解を求めようとするとき,このような要因は,決して無視できないと思われます。「代替肢の比較水準」,心理学的「投資量」という概念です。

2011-05-17 17:58:40
ひだりん @hidarin911

先祖代々,福島にたくさんの想いがあり(投資量が多く),避難したとしても,そこでの生活の見通しが立たないとするなら(代替肢の比較水準が低い),福島の地を離れられないでしょう。

2011-05-17 18:03:28
ひだりん @hidarin911

当初は,放射線による健康被害の可能性と「どうすべきか」を検討するつもりでした。でも,検討の過程で,関係の移行にかかわる社会心理学的問題に議論がすりかわってしまいました。そして,この心理学的な要因が,前者の判断に大きな影響を与える可能性が示唆されました。今日はここまでとしましょう。

2011-05-17 18:09:13
ひだりん @hidarin911

新しいシリーズを始めましょう。最初のシリーズでは,行き先を定めないまま歩き出し,遠回りや寄り道をしながらも,私たちが直面している課題の構造について検討しました。そして,多様な成員からなる集団が,正解が自明ではない課題を解決するための要因や条件について考察しました。

2011-05-22 10:53:21
ひだりん @hidarin911

続く第二のシリーズでは,私たちが置かれている現状を分析し,個人レベルでの判断には,代替肢の比較水準や投資量といった個人の要因が大きな影響を与えていることを示しました。個々人の状況について十分に配慮することの重要性は高いはずです。これを無視した乱暴な主張を見ると心が痛みます。

2011-05-22 10:55:04
ひだりん @hidarin911

このように個人レベルでの検討も,関係レベルや集団レベルでの検討も可能なのが,社会心理学の持ち味でしょう。もちろん,いままでのぼくの論は,かなり稚拙なものであったことは自覚しています。これは,社会心理学の責任ではありません。ぼくの力量がないからです。

2011-05-22 10:56:17
ひだりん @hidarin911

さて,前置きが長くなってしまいました。第三のシリーズです。今回も目的地を定めないまま,歩き出そうと思います。地震からずいぶんと時間が経ちました。いろいろなことがあり長かったような気もしますが,短かったような気もしています。

2011-05-22 10:57:33
ひだりん @hidarin911

すると気になるのが,復興がある程度進んできている地域と,まだまだ復興が進まず救援が必要な地域との「格差」の問題です。これまで「被災」という意味で「同じ被災者」だった訳ですが,時間の経過とともに,徐々に被災者や被災地域のなかに区別や異なったカテゴリーが生まれてきてしまいました。

2011-05-22 10:59:48
ひだりん @hidarin911

仮設住宅に入居できた被災者とできない被災者,救援物資が行き届いて復興が進行している被災地域とまだまだ不足している被災地域,肉親や家や仕事を亡くした被災者と難を逃れた被災者など,このようにいろいろな側面・領域での「格差」が,さまざまな次元や領域や質的にも量的にも生まれているのです。

2011-05-22 11:00:57
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