IEEI手塚氏「再エネで脱炭素化は幻想である」連載記事へのツッコミ

将来のことを論じておられるのに、今後のコスト変化を考慮に入れずに全否定しておられます。遺憾ながら、実質的な詭弁と存じます。
19

一部、突っ慳貪な表現なのはご容赦を。

Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

再エネで脱炭素化は幻想である(IEEI 手塚氏) ieei.or.jp/2019/06/opinio… 現時点で再エネが化石燃料より高いケースもあるのは確かですが、では今後それらのコストがどう変化するか、という視点が欠けてます。 なのに「幻想」などと全否定されるのは、「次の世代のことなんか知らない」と言うも同然かと。

2019-06-13 11:27:46
リンク ieei.or.jp 再エネで脱炭素化は幻想である – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute はじめに 日本の温暖化対策長期戦略では、今世紀後半の早い時期に「脱炭素化(ゼロエミッション)」を目指すことが謳われている。それには大前提として、エネルギー供給の脱炭素化=脱化石燃料を今世紀半ばまでに実現する必要がある。今世紀半ばと言っても 165
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

比較対象にされている石炭は、今後排出コストが上がることが予想されます。加えて再エネの価格低下に負けて稼働率が下がることで、さらにコストが上がるものと考えられます(いま建設・計画中のもの、そこまで考えてるのかな…)。

2019-06-13 11:30:27
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

一方の再エネ、特に太陽光は、挙げておられる世界レベルの話では、この数年で急速にコストが下がっています。2017年のデータでも、既に古いです。tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/news/1… 今後もさらに安くなると見られてますので、話の前提が崩れつつあります。

2019-06-13 11:33:46
リンク 日経 xTECH(クロステック) 太陽光と風力、2018年に13%コスト低下、多くの国で3~4円/kWhに 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は5月29日、「世界の多くの地域で再生可能エネルギーが、現時点で既に最も安価な電力源になっている」との調査結果を発表した。 15
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

続編のこの記事も、ツッコミどころ満載です。 ieei.or.jp/2019/06/opinio… まず、元ネタの報告書のこのグラフを無視されてます。 NEAは「コストが上がる」と連呼してますが、彼らの想定以上に再エネが安くなれば、逆に安くなる可能性も認めてます。 oecd-nea.org/ndd/pubs/2019/… pic.twitter.com/61OsoTk4zG

2019-06-13 11:40:50
拡大
リンク ieei.or.jp 再エネで脱炭素化は幻想である – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute 前回:再エネで脱炭素化は幻想である 第1部 自然変動再エネは安いのか?(その1) 加えてこうした再エネが「主力電源」としての役割を果たすためには、今一つ乗り越えなければならない大きな課題がある。自然エネルギーに特有の変動性への対応である。 37
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

元の報告書では高くなる可能性も安くなる可能性も指摘しているのに、片方だけを取り上げることで「幻想」などと全否定されるのは、大変遺憾ながら、実質的な詭弁と存じます。

2019-06-13 11:42:39
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

またこのNEAの報告書では、とりあえず再エネも原発も一緒に使え、と指摘しています。「再エネで脱炭素化は幻想」だなんて、どこにも書かれていないものと存じます。

2019-06-13 11:44:10
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

また大元のNEAの報告書自体にも大きなツッコミどころがあって。Low-cost VRE 以外のシナリオでは、再エネの今後のコスト低減についてなにも言及が無く、今後のコスト低減を全く想定していない可能性があります。本当にそうなら、単に"exercise"用の、非現実的なシナリオということに。

2019-06-13 11:59:25
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

ざっと見た限りNEAは2015年頃の再エネのコストを参照してるみたいなんですけど、先記のように再エネ、特に太陽光はここ数年だけでもコストが半分になったりしてるんですよ。tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/news/1… あと蓄電池も価格低下速いですが、おそらくNEAはそんな変化までついていけてないかと思います。

2019-06-13 12:03:47
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

というかNEAの報告書自体にも、「これは頭の体操(exercise)用だ」って断り書きが入ってるんですよ。なのでこれを論拠に「幻想」などと再エネの将来を全否定されるのは、遺憾ながらこの観点からも、実質的な詭弁かと存じます。

2019-06-13 12:07:13
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

一方でこのNEAの報告書は、太陽光や風力は十分安くないとアカンぞ、安さこそが身上だぞ、という論拠には使えそうに思います。 とりいそぎ、以上。

2019-06-13 12:08:56
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

なお太陽光の急激なコスト低下が読めなかったことについては、誰も責められるものではないです。僕ら自身、2年前に「太陽電池パネルの値段は、8TWぐらい普及したら0.25ドル/Wになるんちゃうか」なんて、論文に書いたんですけど… science.sciencemag.org/content/356/63…

2019-06-13 12:23:24
リンク Science Terawatt-scale photovoltaics: Trajectories and challenges The annual potential of solar energy far exceeds the world's total energy consumption. However, the vision of photovoltaics (PVs) providing a substantial fraction of global electricity generation and total energy demand is far from being realized. What te 2
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

実際にはその16分の1の0.5TW普及時点で、0.25ドル/Wに到達しちゃった。 pv-magazine.com/features/inves… おかげでこの前の論文では、”俺らの読みよりもずっと速かったわ、ごめん”(意訳)って書く羽目になりました。(てへぺろ science.sciencemag.org/content/364/64…

2019-06-13 12:27:24
リンク Science Terawatt-scale photovoltaics: Transform global energy Solar energy has the potential to play a central role in the future global energy system because of the scale of the solar resource, its predictability, and its ubiquitous nature. Global installed solar photovoltaic (PV) capacity exceeded 500 GW at the en 388
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

ちなみに再エネや蓄電池の今後のコスト低減まで考慮したシミュレーション例がこちら。全ての技術について保守的な見通しを設定しても、シミュレータにブチ込むと、世界のエネルギーの大半を再エネで賄うのがお得、という結果に。 energy-democracy.jp/2668

2019-06-13 12:41:40
リンク Energy Democracy ラッペーンランタ工科大学のグローバルな100%再生可能エネルギーシステム研究 2019年4月、フィンランドのラッペーンランタ工科大学(LUT)とドイツのエネルギー・ウォッチ・グループ(EWG) は、2050年までに世界全体が100%再生可能なエネルギーシステムへの移行が可能であり、コストも小さいことを示す研究成果を発表した。 107
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

なにかすごい技術革新を想定してなくても、排出量削減は可能で、経済的でもある、という見積もりになる。つまり何か革新的な技術が出てくれば、その分だけ話はさらにラクになる。一方でこれは全てが最適に進められることを想定してるので、無駄は省かないといけない。

2019-06-13 12:44:21
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

続編が公開されてるので、これにもツッコミ入れていきます(またManhattan Instituteか、やれやれ…) ieei.or.jp/2019/06/opinio… まず太陽光の「半世紀」でのコスト低下だけど、「10分の1」じゃなくて、100分の1以下だ。

2019-06-15 20:21:34
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

次に「百万ドル規模」の設備うんぬん。これは大元のMIのPDFに載ってる図。これを観たら「同じ総コストでこんなに発電量が違うのか、発電コストはガスの方が安いのか」と勘違いするだろう。でも違う。ガスの方は、燃料のコストが入っていない。このグラフは、発電コストの比較ではない。 pic.twitter.com/sq2bk9NP3t

2019-06-15 20:26:57
拡大
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

手塚氏、そして氏が引用したMIが参照したのが、Lazardの発電コスト比較。そのLazardの報告書には、ちゃんと発電コストでの比較が載っている。太陽光も風力も、既にガスより石炭より、安い。 lazard.com/media/450784/l… 要するに、さきほどのMIのグラフは事実上の詭弁と言える。引用した手塚氏の主張も。 pic.twitter.com/M3rnww24XB

2019-06-15 20:34:12
拡大
Keiichiro SAKURAI @kei_sakurai

その後の部分は再エネの系統への組み込みや蓄電に関して、それっぽい数値をいくつか挙げて、否定的な見解を述べている。 でもその全てが、下記のような事項まで考慮したものではない。 ・再エネの今後のコスト低下 ・具体的な電力の需給データや気象データに基づく、再エネの導入シミュレーション結果

2019-06-15 21:08:50