新規抗菌薬ザバクサ®︎(セフトロザン/タゾバクタム,CTLZ/TAZ)について

MSD社から新しく販売となった抗菌薬ザバクサについての簡単な解説です。結論から言えば、臨床現場で使用する機会は極めて少ないと思われます。
4
EARLの医学ツイート @EARL_med_tw

MSDからの新規抗菌薬ザバクサ®︎(セフトロザン/タゾバクタム,CTLZ/TAZ)について CTLZ構造はCAZに似ており,緑膿菌活性が高い.また,βラクタマーゼにも安定した構造であり,ここにさらにβラクタマーゼ阻害薬のTAZとの合剤である.

2019-06-30 13:54:41
EARLの医学ツイート @EARL_med_tw

よって,CTLZ/TAZはESBLやAmpC産生菌に感受性があり,緑膿菌に関してはCAZ,キノロン,カルバペネムに耐性のものも含めて感受性がある. 一方で,メタロβラクタマーゼやKPCには無効.ブドウ糖非発酵菌には効いたり効かなかったり程度.また,グラム陽性球菌にはめっぽう弱い.

2019-06-30 13:59:15
EARLの医学ツイート @EARL_med_tw

CTLZ/TAZは腎排泄型のため用量調整が必要となる. クレアチニンクリアランス別 30-50:1回750mgを3回/日 15-29:1回375mgを3回/日 15未満:データなし 血液透析患者:初回のみ750mg,その後は1回150mgを3回/日

2019-06-30 14:04:14
EARLの医学ツイート @EARL_med_tw

CTLZ/TAZの適用疾患は複雑性尿路感染症と複雑性腹腔内感染症.同じTAZがついているゾシン®︎とは異なり,嫌気性菌にはほぼ効かないと考えていい抗菌薬のため,複雑性腹腔内感染症の経験的治療で単剤では用いられない(MNZと併用).

2019-06-30 14:08:35
EARLの医学ツイート @EARL_med_tw

加えて,本抗菌薬は薬剤耐性菌治療の側面が強いため,他に代替薬がいくつもある以上,経験的治療での出番はほぼないと考えてよい. ESBLやAmpCを産生する菌が原因であっても,重症例ではカルバペネム系を優先すべき.非重症例でもCMZ,FMOX,CFPMなどが無効な場合に限り使用を検討するのがbetter

2019-06-30 14:12:06