ヲコノミヤキ・ヲー

劉度 @arther456

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（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい）

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【Wokonomiyaki War】

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熱された鉄板が、小麦の生地を焼いている。そこに、ヘラが差し込まれた。ヘラを持つ女は、一呼吸置いてから生地をひっくり返した。「ヲッ」見事、生地は形を崩さずひっくり返った。絶妙に焼けた面が表になる。「おっ」様子を見守っていたロシア人店主が感嘆の声を上げた。1

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ソース、青ノリ、鰹節をかけ、それぞれに切り分ける。「ヘイヲマチー」「これがお好み焼きか」店主は一口食べた。「ふむ……いいな、これは」「そうね。美味しいわ」「そうですね、海鮮お好み焼きなんて、久しぶりに食べました」味見に参加したロシアン女将と春雨もこの味には納得だった。2

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「これ、“お好み”ってことは、何を入れてもいいのか？」「ヲヲムネ」「ふむ。楽でいいな。嵩増しに中華麺も入れておこう」この鉄板焼きの店は、新メニューを開発していた。手軽なランチはないかと考えていたところに、アルバイトのヲグチがヲ好み焼きなる食べ物を持ってきたのであった。3

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「これでいこう」数回の試作の後、店主はこれを新メニューにすることにした。「いいんですか？」春雨は確認する。「何かまずいか？」「いえ、店長がいいなら、いいんですけど……」春雨には懸念があった。ヲグチこと空母ヲ級が考えた海鮮ヲ好み焼き、果たして人間の口に合うのだろうか。4

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「ﾗｯｼｬｰｾｰ!」大盛況であった。深海棲艦のせいで海の物が珍しくなった日本人に、安価な海鮮ヲ好み焼きがウケないわけがなかった。店側としてもありがたい。ヲグチがどこからか仕入れてきた海産物を焼いて出すだけで、お得感溢れる日替わりメニューができるのだ。6

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「すいませーん！お好み焼き3つー！」「ﾊｲﾖﾛｺﾝﾃﾞｰ！」今日は昼から満席、店の外にも3、4人並んでいる。「マーボー、皿を頼む！」「はい！」春雨も厨房で大忙しだ。接客をしている女将とヲグチはもっと忙しいだろう。春雨が洗った皿に、素早くヲ好み焼きを盛る。それをヲグチが持って行く。7

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「ヲ待たせ致しました、本日のヲ好み焼きです」「ほーう、広島焼きかい！」ここのお好み焼きには中華麺を入れた。安いので嵩増しに入れただけなのだが、なぜかしばしば広島焼きと呼ばれた。店主はよくわからなかったが、とにかくウケているので気にしないことにした。8

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「ｦｺﾉﾐﾔｷﾌﾀﾁｮｰｳ！」「ﾊｲﾖﾛｺﾝﾃﾞｰ！」「ﾅﾏﾁｭｳﾌﾀﾂｰ！」「ﾊｰｲ！ｦｸﾞﾁﾖﾛｼｸｰ！」怪しい発音の日本語が飛び交う。店長は新しいヲ好み焼きを焼きながら店内を見渡す。すると、さっきヲ好み焼きを出した客を別の客が囲んでいるのに気付いた。嫌な予感がした。9

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「おう兄ちゃん」「なんや？」「さっきのはどういう意味じゃ」「さっきって何の話や」「とぼけんじゃねえ。広島焼き言っとったじゃろ」「それが？」「広島焼きってなんやねん。お好み焼きじゃろが」確かに、広島焼きなんてものを作った覚えはない。これはお好み焼きだ。10

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「アホちゃう、キミら？」広島焼きと言った男はせせら笑った。「お好み焼きに焼きそばが入るわけないやろ」「広島じゃ焼きそばを入れるのが当たり前じゃ」「ここ、ヲカヤマ県……」ヲグチが呟く。その通りだが首を突っ込むな、と店長は内心呟く。幸い、男たちは聞いていなかったようだ。11

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「そら広島だけの話やろ？日本のスタンダードは麺無しや、この田舎モンどもが」「誰が田舎モンじゃ！」客の１人がテーブルを蹴り飛ばした。コップが倒れ、水が座っている客の服にかかってしまった。「……おいおい、せっかくの服が台無しやないか。どうしてくれるんや？」男が立ち上がる。12

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まずい。やむを得ず、店主は叫んだ。「ヲ前らヲモテに出ろ！」13

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「ソビエトカラテ！イヤーッ！」「グワーッ！」「ソビエト正拳突き！イヤーッ！」「グワーッ！」「ソビエト一本背負い！イヤーッ！」「グワーッ！」「ソビエトおしぼり！イヤーッ！」「ひんやりして気持ちいい！？」「ソビエト回し蹴り！イヤーッ！」「グワーッ！」15

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「解せぬ」30分後、通報を受けて駆けつけた警察官に、店主はこってりと説教されていた。「俺は店を守っていただけだ」「わかります。それはわかります。でも20人はおかしいでしょ、どうなってんの」警察官は困り顔で店主を諭す。彼が来た時、店主は20人目の乱闘者を投げ飛ばしたところだった。17

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「いや、最初は5人でケンカしてたんだが、大阪人が駆けつけて、そしたら広島人の援軍も来てな」「はい」「そいつらが店のテーブルや椅子を壊し始めたからソビエトカラテで止めてたら、両方襲いかかってきたんだ」「えー」幸い、店主の正当防衛は認められ、ヲこられるだけで済んだ。18

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【ヲコノミヤキ・ヲー】　をわり