綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』読書メモ集

綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、2019)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

「「責任のインフレ」にたいして、あらゆる「責任」を認める強い主体でもなく、また責任なしの社会を構築するのでもないとしたら、言葉による責任を見直してみるのもひとつの手だろう」(綿野恵太『けれど』)。ここは拙著と大きく重なるポイントだな。不快を言語化する責任。

2019-07-26 10:27:34
荒木優太 @arishima_takeo

反対にいうと、私はここまでで終わって、次章「天皇制の道徳について」は踏み込まなかった(丸山の「無責任の体系」から出発しているのに)。良い面・悪い面あるだろうが。

2019-07-26 10:29:51
荒木優太 @arishima_takeo

綿野恵太『けれど』特徴メモ。④内田樹がフェミニズム批判の人だったことを思い出させてくれる。⑤差別摘発者になれるPCと「責任のインフレ」の共犯関係を明らかにした。

2019-07-26 10:37:26
荒木優太 @arishima_takeo

「生前退位をほのめかした「おことば」以後、天皇制を賛美する言説からは、平成の天皇制に美智子が大きな影響を与えたという認識がなくなっていくのである」(綿野恵太『けれど』)。興味深い。

2019-07-26 10:49:52
荒木優太 @arishima_takeo

「差別はいけない」とみんないうけれど、天皇制という身分制度からは都合よく目をそらし続けているのである。by綿野恵太『けれど』

2019-07-26 11:07:34
荒木優太 @arishima_takeo

「津村喬はブレヒトの「異化」を差別論として読みかえている」(綿野恵太『けれど』)。おおー、ここ面白いなー。

2019-07-26 11:11:11
荒木優太 @arishima_takeo

綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』読了。面白かった。歴史主体論争とか統治功利主義とか責任のインフレとか、自分の本と割と被る題材を取り扱っていたので比較しながら読んだ。『無責任の新体系』の政治分析にヌルさを感じる人はこっちを読むといい。

2019-07-26 11:28:00
荒木優太 @arishima_takeo

天皇のリベラル化が、属人性でもなければ伝統の賜物でもなく、デモクラシーと君主制のパラドクスに適応した必然、というのは慧眼。

2019-07-26 11:32:18
荒木優太 @arishima_takeo

ポリティカル・コレクトネスについて私が微妙だなと思うのは、左翼的にみてまあ当然だろう思える主張があると同時に、なに下らないこと言ってんだみたいな変なのも混じっていて、しかも両者を貫く原理的な何かがあるわけでもなく、道徳っぽいってことだけで同じハコに入れられている適当さ加減にある。

2019-07-26 11:40:56
荒木優太 @arishima_takeo

そういう意味で、PCという言葉が古い左翼を新左翼が揶揄するための言葉を保守派が流用したという迂路の話は、概念の解像度の粗さに関して納得させるものがある。

2019-07-26 11:46:15
荒木優太 @arishima_takeo

例えば、「いつになったら結婚するの?」とか「全員クビにするぞ?(冗談~」の問題性を摘発することは良いことだと私は思うが(まあそれってPC介さないとできないことなの?とかも思うが)、同じ水準で「マンホール」や「問題を孕む」が性差別的だみたいな話になると、ちょっと下らないかなと思う。

2019-07-26 11:54:41
荒木優太 @arishima_takeo

権利概念の厳密さには適うかもしれないが、そこにはどんな被害者がいて、どんな痛みがあるの?ということが等閑視されている感じがする。概念の空転感。

2019-07-26 11:58:30
荒木優太 @arishima_takeo

これは、「マンホール」という語に不快を感じるな、ということを意味しない。というか、感じるなと命令しても感じるのが不快というものだろう。不快を権利=法の問題として立項するとき、その中間過程を、きちんと言語化する責任を求めなければならない。

2019-07-26 12:02:35
荒木優太 @arishima_takeo

こういうこと言うと、今日では「トーンポリシングだ」とか言われるかもしれないが、私はトンポリを批判道具として認めていないので、そこはもう仕方ないかな、という感じでしょうか。

2019-07-26 12:08:38
荒木優太 @arishima_takeo

というか、トンポリを認めると、「オレは移民が隣りにいて不快だ(だから差別問題として立項する」の暴論に正当性を与えかねないから、あんまりやらない方がいいっすよ…とか思うが、これはもうトンポリのトンポリみたくなってるな…。

2019-07-26 12:11:23
荒木優太 @arishima_takeo

まあ、これも前書いたことだが、そもそも不快を権利=法の言説で囲わないと甲斐を感じられない感性それ自体を議論せねばならないと思うんだな。端的にいうと、文学がもっていた感情の処理システムが機能していない。反対に権利=法には過剰な負担がかかっている。

2019-07-26 12:16:35