60式自走106mm無反動砲の試作車まとめ

60式SPRGの試作車(SS-1,SS-2,SS-3,SS-1(改),SS-4)のまとめです。ネットだと実車の写真がなぜか全く貼られなかった不憫な車輌達です。(恐らくこのまとめが初) 新情報、資料が手に入り次第随時更新していきます。 WarThunder forumに投稿してくれたTasty95215さんに感謝! <https://forum.warthunder.com/index.php?/topic/460673-ss-1-first-type-60-sprg-prototype/>;
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コマツ製SS-4(第三次試作車)

三式トニー @type3fighter

SS-4は昭和33年度予算により指揮車型1輌、通常型2輌が製作されました。コマツ社内名称は「KT70」。最終試作ながら、SS-3の増加試作という建て前上、予算は陸上自衛隊装備品費から捻出されたそうです。写真は溶接が終わったSS-4のシャーシ。 pic.twitter.com/ahWKBjeSQO

2020-03-23 22:13:21
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三式トニー @type3fighter

1号車は59年5月に、2、3号車はそれぞれ7月と9月に完成しました。写真は最終組み立て中のSS-4と完成した2号車。SS-3からさらに洗練され、量産車とほぼ同じ仕様になった。 pic.twitter.com/Y2czk7JdVT

2020-03-23 22:17:00
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三式トニー @type3fighter

SS-4を四方から。右袖部正面の鎧戸は変速機・操向機用潤滑油クーラー。ヘッドライトは戦闘時フェンダー脇に移動する。 pic.twitter.com/iM7qXamkCF

2020-03-22 14:43:27
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三式トニー @type3fighter

SS-3からの主な改良点は (1)居住性改善のため車両寸法を拡大(長さ+100mm、幅+50mm、高さ+80mm) (2)履帯幅の拡大(250→260mm)接地圧は0.56kg/cm2に。 (3)エンジンは6T115を強化した6T120を採用 (4)操向機をクラッチ・ブレーキ式から二重差動式に変更。 (5)視界改善のためJM17ペリスコープを採用

2020-03-22 20:36:17
三式トニー @type3fighter

SS-4の6T120エンジン。熱負荷を下げるため6T115からボアを120mmに拡大。排気量8800cc、120仏馬力/2400rpmと性能は若干下がった。また高温問題があったエンジンルーム換気冷却のためにシロッコファンを増設、冷却風の流れも車室から吸い込み車体後方に排気するシンプルな形になった。 pic.twitter.com/HAWI3o9yzJ

2020-03-24 22:38:03
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三式トニー @type3fighter

SS-4のパワーラインユニット。右からF4R1変速機、ベベルギアとH/L副変速機、二重差動式操向機が一体になっている。ギアは前進4段、後進1段に変更。避弾経始を念頭に置いた車体先端部鋭角化に伴い終減速機は遊星歯車減速式から2軸1段減速式になった。旋回半径はSS-3の信地旋回から半径6.5mになった。 pic.twitter.com/Xq4WXhGs8k

2020-03-24 15:22:50
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三式トニー @type3fighter

武装は新型のM40を二門搭載。携行弾数は左右両袖部に4発ずつと右フェンダーに2発の合計10発に増えた。スポットライフルは二門につき一門M8Cが搭載され、装弾数10発の弾倉を4個携行する。無反動砲とスポットライフルは後にそれぞれ日本製鋼所と豊和工業にて60式としてライセンス生産された。 pic.twitter.com/FRZV14slLp

2020-03-22 20:38:20
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三式トニー @type3fighter

高姿勢状態で右旋回、最大俯角をとるSS-4。よく見ると砲手用正面ペリスコープがまだ無く、スポットライフルも未装着。砲架は引き続き日本製鋼所が担当、上昇量450mmで仰角15度、俯角20度、方向射界±30度になった。 pic.twitter.com/pas3rAF87H

2020-03-24 15:09:31
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三式トニー @type3fighter

SS-4の雪上履帯。履帯幅をSS-3の650mmから680mmに拡大したが厚さはSS-3の普通鋼板3mmから100kg/㎟の高張力鋼板2.3mmにし構造もボックス型にすることで重量軽減しつつ強度の向上を図った。 pic.twitter.com/FQk4svk1Ak

2020-03-26 23:08:40
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三式トニー @type3fighter

1枚目:SS-4のシャーシ底面。左中央丸孔はエンジンオイルパン点検口。他にエンジンマウント、右中央のパワーライン滑油孔、滑油、燃料タンク孔、水抜きコック孔、トーションバー・アンカーが点在する。 2枚目:トーションバー式懸架装置の下転輪揺腕と併装ショックアブソーバー pic.twitter.com/YEeiKmzYJo

2020-03-23 21:59:53
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三式トニー @type3fighter

砲架搭載中のSS-4。無反動砲にはスポッティングライフルが装着されている。砲架に纏められているケーブル類は砲手席のトリガーに接続されている pic.twitter.com/VmJspZswLE

2020-03-26 23:12:04
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三式トニー @type3fighter

砲架搭載前の車室。2枚目は燃料タンクとエンジンエアクリーナーが見える。SS-3の分割されたタンクは煩雑化を招いたためSS-4は140Lを一か所にまとめ、増槽は20Lのジェリ缶を携行することとした。これにより航続距離は180kmに増大した。 pic.twitter.com/bNgVYc8yG7

2020-03-26 23:14:09
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三式トニー @type3fighter

SS-4の図面。量産車との外見上の違いは車長兼砲手席の正面ペリスコープが装備されてないぐらいでしょうか。 pic.twitter.com/e8CNcrwwbB

2020-03-27 23:03:58
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三式トニー @type3fighter

試作車のスペック表。エンジンの馬力表記が出典によって英馬力だったり仏馬力だったりしてまじで安定しないけど、この表のSS-2までが英馬力でSS-3から仏馬力が正しいと思います(多分)。単位の煩雑化を招いたエンジン業界を許すな。 pic.twitter.com/ewv52wKWih

2020-04-11 23:41:36
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三式トニー @type3fighter

何号車かは不明ですがSS-4は現在も岩手駐屯地で展示されています。SS-1(改)の北海道よりはハードル低いから見に行ってね pic.twitter.com/0vYkr5vzqB

2020-03-27 23:27:00
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SS-4の試験と制式化

三式トニー @type3fighter

57年5月から1号車が完成と同時に官立ち合いの社内運行試験が始まりました。粟津-金澤-倶利伽羅峠の往復というコースで、この時当時の陸上幕僚長杉山茂氏が視察、激励に来るなどSS-4には大きな期待がかけられていました。6月には能登半島でも同運行試験が行われました。

2020-03-28 22:54:02
三式トニー @type3fighter

能登における6月の社内運行試験の様子。各計測地点を設け滑油温度、転輪ゴム温度などを計測しながら走行する。SS-4が停車すると子供たちが物珍しそうに近寄ってきた。今も昔も子供は変わらないんやなって #60式自走無反動砲 pic.twitter.com/E612TeW5ok

2020-03-28 22:57:05
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三式トニー @type3fighter

7月に行われた検収試験では粟津-敦賀峠-今津の往復試験を終えた最終日、エンジンのクランクシャフトが折損する大事故が発生しました。直ちに試験は中断。運良く出会したコマツのトラックに工場まで運んでもらいシャフト幅を広げた強化型に交換され再び試験に臨めるようになりました。

2020-03-29 23:17:39
三式トニー @type3fighter

8月24〜28日に富士学校実験隊による粟津→富山→高田→小諸→高崎→須走までの620km運行試験が行われました。二重差動式操向機により従来に比べ格段に安定した操縦ができ、砂利道ばかりだった北陸道やカーブの多い碓氷峠も難なく制覇したそうです。平均運行速度は23.2km/h。燃費は1.71km/Lでした。

2020-03-30 23:50:08
三式トニー @type3fighter

2,3号車は8月から走行試験に入り、9月に揃っての射撃試験が行われましたが、ここでの結果が後々問題になったそうです。その後各車それぞれの技術試験を行い10、11月には実用試験として富士実験隊で総合性能、土浦武器学校で整備性の検討が行われ、12月に終了しました。

2020-03-31 23:19:48
三式トニー @type3fighter

以上の試験の結果報告は (1)各部のガタが照準器の精度を下げている。レティクルの線がいまいちで、0.5ミルほどの誤差がでる。 (1ミル=1000m先で1mの変異角度) (2)左右砲に2〜4ミルの誤差があり、調整機構が必要。 (3)昇降、固定機構の作動不良、操作レバーの位置不良。

2020-04-03 23:53:35
三式トニー @type3fighter

(4)撃発安全装置、スイッチ類、砲架スプリング作動不良。 (5)砲向射界が一部車体と干渉。 (6)エンジンの過熱。湿式主クラッチの半クラッチが操作困難。 (7)フェンダーの一部が履帯と干渉し歪む。 これらは簡単に解決できたものの、未だに引き摺っていた命中率=砲架の問題が大きな課題として残りました

2020-04-04 00:00:02
三式トニー @type3fighter

そして制式化を待つばかりの1959年12月、広島日本製鋼所にて防衛庁陸幕、技研本部、富士学校機械化実験隊とコマツが集合し対策の可否、改良方針の会議が行われました。2門の砲と照準眼鏡の平行度の誤差は過去の試験やSS-1(改)でも指摘された通り、各部の遊びや剛性不足によりズレが生じていました。

2020-04-05 00:10:15
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