アンド・ユー・ウィル・ノウ・ヒム・バイ・ザ・トレイル・オブ・ニンジャ #3

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーの痛烈なダブルキックを受けたヘルカイトは、糸の切れたタコのように回転しながら、猛スピードで壁に向かって飛んでゆく!ニンジャスレイヤーはスプリングキックの勢いのままジャンプし、三回転ひねりを加えながら、近くの足場に着地した。姿勢がやや乱れる。ダメージが大きいのだ。

2011-05-20 22:48:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

#6gates:Hellkite:左3番ファン速度5、右5,6番ファン速度2、下8番ファン速度MAX重点、上17番ファン速度MAX重点/// ここまでのタイプ速度、わずか0コンマ1秒!ヘルカイトは脳内インプラントされたIRCトランスミッター機能を使い、室内ファンの回転を制御する!

2011-05-20 22:53:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

するとどうだ!上下左右から巧妙にコントロールされた突風が吹きつけ、ヘルカイトを空中静止状態にしたのである!ゴウランガ! (((ヒュウ!危うくこの世とサヨナラするところだったな。ウカツだったぜ。ニンジャスレイヤーを殺すには、まだまだ気力と体力を削らなくてはいけないというのか!)))

2011-05-20 22:59:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

下から投げつけられたヤリを回避すると、ヘルカイトは再び上空を旋回し始めた。ホワー!ホワー!ホワー!首から吊るした手巻き式サイレンを鳴らして敵の聴覚と精神を責めさいなみながら、ヘルカイトは卑劣なスリケン攻撃を繰り返す。獲物が力尽きて死ぬのを待つ、砂漠の猛禽類のような無慈悲さで!

2011-05-20 23:05:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

数分ほどして、ニンジャスレイヤーの動きが精彩を欠き始めた。時折、肩の傷を狙ったスリケンが命中し、フジキドの体力を容赦なく奪う。ヘルカイトの見立てどおり、彼の気力と体力は限界に達しつつあったのだ。もしここにフートンがあれば、彼はすぐにでも包まって寝るだろう。それほど過酷な状態だ。

2011-05-20 23:09:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どうした、ニンジャスレイヤー=サン!センセイがいないと駄目か?!」部屋の中心部にそびえ立つコケシ状足場の上に着地すると、ヘルカイトは両手でキツネサインを作り、相手を挑発した。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの両腕がムチのようにしなり、怒りに満ちた二枚のスリケンが投擲される!

2011-05-20 23:14:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ヘルカイトは高く跳躍し、背中に負った凧を大きく展開すると、巨大ファンが巻き起こす上昇気流に乗ってニンジャスレイヤーのスリケンを回避した!タツジン!強化和紙にしたためられた「アブナイ」のショドーがニンジャスレイヤーを嘲笑う!

2011-05-20 23:16:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

逆にヘルカイトが空中からナパームのごとく投下したクナイは、ニンジャスレイヤーの背に次々と突き刺さる。(((このままでは体力が持たない。チャンスはあと一度きりだ。次の跳躍で奴が乗っていたコケシ足場に飛び渡って、さらに壁へ飛ぶ。そこから壁を走り、奴のカイトに飛びかかる!)))

2011-05-20 23:20:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがコケシ足場へと跳躍!だが何たるデジャヴか!その直前にコケシの上空を飛行していったヘルカイトが、秘かに非人道兵器マキビシを足場に仕掛けていたことに、彼は気付かなかったのだ!「グワーッ!」ウカツ!棘が深々と刺さる!さらにバランスを崩し針山に落下する!

2011-05-20 23:22:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはバランスを崩し、危険な針山へと背中から落下する。そしてインパクト!全身に無数の激痛が走った!『インガオホー!』床に仕込まれた震動感知センサーが作動し、電子スモトリ音声がニンジャスレイヤーに対して精神的ダメージを与える!「グワーッ!」

2011-05-20 23:26:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((今なら殺せるか?)))一瞬の迷いの後、ヘルカイトは部屋の四隅に仕掛けられた記録カメラに目をやる。(((今ここで劇的なカイシャクを加えれば…)))彼の脳裏に、ラオモトの真の副官へと続く黄金のキャリアパスが浮かぶ!彼は壁に掛けられたサスマタを手に取り、止めを刺すべく急降下した!

2011-05-20 23:46:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヘルカイトは遠隔IRCで天井のファン回転速度をMAXにする。猛烈な突風が背中のタコを後押しし、凄まじいGが全身にかかった!赤漆塗りのサスマタに全膂力をこめ、急降下攻撃を繰り出す!だが!サスマタがニンジャスレイヤーの首に命中する直前、彼は微かな違和感を感じた!(((減速?!)))

2011-05-20 23:52:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは霞む目をかっと見開き、紙一重でサスマタを掴んだ。ゴウランガ!インパクト直前に起こった不可解なファン回転の不具合が、ヘルカイトの突撃速度をわずかに殺し、カイシャク攻撃の直撃を防いだのである。

2011-05-20 23:59:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヘルカイトは仰向けに倒れる敵の胸の上に着地し、膂力と体重だけでサスマタを押し込もうとする。一方、ニンジャスレイヤーはサスマタを押し返しながらも、ヘルカイトの顔の向こう、天井に備わった大型ディスプレイのひとつを見た。TV画面が消え、黒いUNIX画面を緑色の文字が超高速で流れていた。

2011-05-21 00:06:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

画面はNetHackじみた図形に代わり、テンサイ級ハッカーでもなければ認識しきれないほどの速度で動き始めた。モニタに繋がるケーブルや大型ファンの一部がバチバチと火花を散らす。やがて画面に現れるUNIX文字だけで作られたナンシーの顔!トコロザワ・ピラーの電脳空間がハックされたのだ!

2011-05-21 00:14:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オヌシの負けだ、ヘルカイト=サン!イイイヤアアアァーッ!」ニンジャスレイヤーは渾身の力をこめてサスマタをへし折った。続けざま、激痛をこらえながらスプリングキック!両足がヘルカイトの胸板をとらえた!「グワーッ!」

2011-05-21 00:17:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

再び猛スピードで弾き飛ばされてゆくヘルカイト。「無駄だ!この部屋にいる限り俺は……ワッツ!?」ファンが制御不能だ!ヘルカイトは回転したまま壁に痛烈に叩きつけられる。「グワーッ!」激突による脳震盪の中、ふと天井を見たヘルカイトは、そこに映ったUNIX画面を見て瞬時に全てを悟った。

2011-05-21 00:25:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そして一瞬後、彼の目の前にはロケットのような勢いで高く跳躍するニンジャスレイヤーの姿が現れた。違法薬物が脳内麻薬の分泌をうながし、世界がスローモーションに変わる。だがヘルカイトの体は反応しない。ニンジャスレイヤーの上昇が止まり、彼の目の前で体をひねり、回転回し蹴りを……放った!

2011-05-21 00:30:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

なんたるカラテ!かろうじて動いたヘルカイトの右腕の骨を粉々に粉砕しながら、右の胸板にニンジャスレイヤーの足裏が命中する。「ハイクを詠め」無慈悲なる言葉が、蒸気のような吐息と共に鋼鉄メンポから吐き出された!直後、衝撃波が走り、トコロザワ・ピラーの壁が砕ける!

2011-05-21 00:37:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サヨナラ!」ヘルカイトの体が、トコロザワ・ピラーの高層階から落下する。遠ざかってゆくその声を聞きながら、ニンジャスレイヤーはコケシ足場の上に着地し、天井にオジギをした。ナンシーに礼を言うかのように。するとUNIX画面の高速スクロールが一瞬止まり、「ヨロコンデー」とタイプされた。

2011-05-21 00:41:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは足場を素早く飛び渡って針山ジゴクを越え、最後のシックスゲイツが待つフロアへの階段を駆け上った。もはや体力と精神力が限界に近いことを、彼は悟っていたからだ。休息を取る時間も、最終的には命取りになる。今はただひたすら突き進み、ラオモトを仕留めるしかないのである。

2011-05-21 00:43:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一方、白目を剥いて気絶しながら数十メートルの高さを落下したヘルカイトは、かろうじて正気を取り戻し、傷ついた背負い式カイトを再展開した。「ムテキ」の文字が書かれた部分の強化和紙が、ひどく痛んでいる。右腕と胸骨も破壊されてしまった。「ラオモト=サンに伝えねば……」

2011-05-21 00:47:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヘルカイトはうわごとのように繰り返しながら、タコを必死で操り、どうにかビル風を利用して上昇に成功した。風圧で全身が軋む。今にも体が空中分解しそうだ。覚束ないタコの軌道は、片羽をもがれた蚊のように無様だったが、真のシックスゲイツにふさわしい執念深さでもあった。「ラオモト=サン……」

2011-05-21 00:50:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

重金属酸性雨に打たれ、ふらふらと旋回しながら、ヘルカイトはトコロザワ・ピラーの天守閣を目指し舞い上がる。黒雲の隙間からは、天頂に輝くドクロじみた月が顔をのぞかせ、ソウカイ・シックスゲイツの崩壊を暗示するかのように天守閣の黄金シャチホコを青白く照らすのだった。

2011-05-21 00:53:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第一巻「ネオサイタマ炎上」 最終エピソード「ネオサイタマ・イン・フレイム」  #3「アンド・ユー・ウィル・ノウ・ヒム・バイ・ザ・トレイル・オブ・ニンジャ」#3終わり #4へ続く

2011-05-21 00:53:36