旧エヴァ+ユング・ノイマン的解釈-碇ユイの真の目的と初号機暴走のメカニズム-

戯れに、ユング・ノイマン的解釈による旧エヴァ考察とかやってみた。
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@Abraxas_Aeon

この拘束具と、それを取り付けた人間の意図を、ヘラクレスの壮絶な最期の原因となる「ネッソスの衣服」と、それをヘラクレスに与えた彼の妻デイアネイラの意図にたとえて説明してみよう。

2010-04-24 16:58:47
@Abraxas_Aeon

ヘラクレスは自分の妻であるデイアネイラを犯そうとしたネッソスを毒矢で射殺す。そのときにネッソスは、恋の媚薬だと偽って自分の血と精液を混ぜたものをデイアネイラに与えた。デイアネイラは後に夫の寵愛を失うことを恐れたために、ネッソスから渡された「媚薬」を夫の下着に塗っておくった。

2010-04-24 17:04:02
@Abraxas_Aeon

が、デイアネイラが媚薬と思い込んでいるそれは、実はネッソスの毒である。ヘラクレスがデイアネイラからおくられたこの下着を着ると、たちまち皮膚がその毒に冒され始め、その苦痛に耐え切れなくなったヘラクレスは、その下着を体から引き裂いて燃え盛る不死の炎の中に身を投じて壮絶な最期を遂げる。

2010-04-24 17:10:37
@Abraxas_Aeon

この話をユング的に解釈すると、まずポイントとなるのは、デイアネイラがネッソスから渡されたものを媚薬だと思い込み、夫であるヘラクレスよりの愛を失うことを恐れて、自分の望みどおりになる「自分を愛するものとしてのヘラクレス像」だけを欲してそれをおくったということである。

2010-04-24 17:24:58
@Abraxas_Aeon

デイアネイラは自分が夫の下着に塗ったものを毒薬であることは知らないが、ヘラクレスが「ネッソスの衣服」を着たことによってその毒にもがき苦しむ様は、ネッソスの計略によるものという意味の他に、デイアネイラがヘラクレスを拘束しようとしたことに対する苦しみという意味も付加されている。

2010-04-24 17:31:12
@Abraxas_Aeon

このヘラクレスの「ネッソスの衣服」にまつわる話を、ユングはペルソナの話と交えて語っている。ペルソナとは、言うなればその人の本来の姿ではない。それはその人が「これが自分だ」と思い込んでいるものであったり、他人の側からその人をさして「その人本人だ」と思い込んでいるものだといえる。

2010-04-24 17:42:12
@Abraxas_Aeon

この「ネッソスの衣服」を着せることでヘラクレス本人を「自分を愛するヘラクレス像」で縛ろうとしたデイアネイラの意図と、人間がエヴァを拘束具(特殊装甲)で固めることによってその本来の姿を覆い隠し、しかもその力を制御しようとしたという意図は同じである。

2010-04-24 18:03:38
@Abraxas_Aeon

そして、その覆い被せられる「ネッソスの衣服」にもがき苦しんで体から引き裂き破り捨てるヘラクレスには、拘束具[=特殊装甲]を、自らの力で破壊し、隠された本来の姿を曝け出すエヴァが対応している。ここには普段は人間の制御下にあってスマートな動作をする様とは打って変わった逆転がみられる。

2010-04-24 18:31:53
@Abraxas_Aeon

この拘束具によって制御することと、暴走時にその制御下を離れて隠された本来の姿[=鬼神的な様]を解放して逆転的な様を見せるというのは、『ヨブ記』の結末においてヨブの目の前に現れたYHWHや、ヤコブ・ベーメが垣間見た「怒りの火」の神[=真の〈隠された神〉]などとも似た現象といえる。

2010-04-24 18:50:50
@Abraxas_Aeon

ある人に対して、ある一面だけを強制し、またその人がその一面だけに意識的になるようにしむけたりしてそのまま強制し続けると、無意識の中に逆の傾向が強まり、その作用によってやがてその人の在り方が逆転する、このことをユングはヘラクレイトスの用語を借用してエナンティオドロミーといった。

2010-04-24 19:08:19
@Abraxas_Aeon

既にユイが元型から構成されている集合的無意識[=賢者の石]と化していると述べ、シンジの側からの危機感と恐怖が、太母元型の周辺に投影されることで、そのヌミノースな元型の生きた動きが役割を担い、暴走の起爆剤となったと述べたが、その状態は当に神憑り的である。

2010-04-24 19:26:25