長編 ) 安田くんと文化祭！ ( Shota . )

やんちゃる @Okt__75

〈先輩？〉「あ、ごめん！」パッと手を離せば、〈俺的にはずっと掴んでくれても良かったんすけど？〉なんてにこにこして笑うから。最近の子は怖いな…と思いながら「馬鹿なこと言わないの」と腕を優しく叩いた。 あの子、可愛かったな…メイクだって私と違ってちゃんとしてて、ああ、だめだ。泣く。

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〈ちょ、先輩？〉「ごめん…ちょっと具合悪く、て」〈取り敢えずこっち、来てください〉田中くんに腕を引かれ、私はとにかく涙を見せたくなくて俯きながら着いて行った。 〈ここなら人来ないんで…で、どうしたんすか？〉「…」〈…安田先輩の事っすか？〉「ちが、う」〈嘘つけ〉

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田中くんの指が私の涙を拭って、子どもを慰めるみたいに頭を撫でるからまた涙が溢れてしまう。 ねえ安田くん。あの日安田くんは自信持ちって言ってくれたけど。あんなの見ちゃったら、自信持てないよ。 田中くんは泣き止むまでずっと側にいてくれて、田中くんの隣は居心地良かったのを覚えてる。

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「…あのさ、田中くん」〈はい？〉「もし彼女がさ、前に田中くんが他の女の子にジャージ貸したことに怒って。そしたらその数日後に、彼女が他の男子のジャージ着てたらどう思う？しかもその借りた男子の、腕とか掴んでたら…」〈嫌っすね、怒ります〉「…だよね」安田くんに会いたくないなあ…

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そんな願いも叶うわけもなく、真由（友達）から早く戻ってきてとLINEが来て戻らないといけなくなる。 〈よし、行きますか〉「…うん」〈先輩のクラスまで送ります〉「でも、」〈途中で泣かれたら困るんで〉「ゔ…」ごもっともです。田中くんの言葉に甘え、クラスまで送ってもらうことにする。

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クラスを覗いたら、安田くんの横顔が見えて。田中くんを見えないようにドアの前から少しズレた所に移動させる。 「明日田中くんの所行くね」〈サービスします！〉「本当？じゃあ尚更行かなきゃ」〈はい、待ってます〉田中くんが柔らかく笑って私の頭を撫でた。「あれ、田中くん黒髪にしたの？」

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〈今っすか？！〉「ばか！声が大きい！！」安田くんに聞かれたらどうすんの… 〈すいません…〉「…でも、黒髪の方がいいね。似合ってる」〈無理矢理担任にされたんすけど…黒髪にして良かったっす〉「…うん？」〈じゃあまた明日〉「うん、ばいばい」田中くんに手を振ってクラスに入ろうとすれば

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『へー、サボって男といたんや』安田くんの冷めた声と瞳が、私を射抜いた。 「安田くん、あの…」『何？』「田中くんはポスター貼るの手伝ってくれて…」『それで？頭なんか撫でられて？』どうしよう。安田くん、怒ってる。だけどさっきの光景が思い出されて、私はまた泣きたくなった。

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「安田くん、だって」『だって？』「女の子にジャージ貸してたし…腕だって触られてた…」『何？聞こえへん。はっきり言って』聞こえてるくせに。やっぱり安田くんは意地悪だ。「なんでもない」『何拗ねてんの』「拗ねてない」『ちゃんと言って』安田くんを見たら、ニヤニヤしてて。

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「ここじゃやだ」『へー…意外と大胆やな』「え、ちが、」『じゃあ2人っきりになれるとこ行こ』「ちょっと、待って…！」安田くんは私の手を握って、そのまま誰もいない空き教室に入って行く。「安田くん、」『で？何？』「…だから、その」『ん？』もういいや。呆れられてもいい。「…やだ」

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こんな事言ったら、安田くんの思う壺なのに 「安田くんのジャージ着るのも、腕掴むのも、私がいい」『…それで？』それで？え…『自分は頭撫でられて？』「いやそれは…不可抗力！」『俺やって不可抗力』「…」『あの感じは撫でられ慣れとる感じやったけど』「あれは私が泣いちゃったから…」『は？』

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安田くんの声が低くなって、ああまた怒らせたと反省する。 安田くんのこと怒らせてばっかりだ…. 『俺以外の男の前で泣いたん？』「…うん」『何で？』なんでって… 「だから、その…」『ん？』「ヤキモチ、妬いたから…」恥ずかしい。俯いたら、頬を優しく撫でられてその優しさに涙がまた溢れた

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『何で泣くん？』「…分かんない」『も〜可愛いな』私を抱き締めると、背中をぽんぽんとする安田くんの男らしいゴツゴツした手。 「…好き」無意識で出た言葉に恥ずかしくなって、安田くんの肩にぐりぐりと頭をくっつける。 （可愛いすぎ…）

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その後、ちゃんと仲直り（？）して帰りも一緒に帰って、いつもよりキスが多かった気がしたけど、その夜は寝落ち電話をして当日を迎えた。 『おはよ〜○○』「おはよう安田くん」『章大やろ？』「…章大くん」『んー？』「おはよ」『おはよ』安田くんと肩を並べて教室に入ればいつもより賑やかな教室

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〈ヤス！ジャージありがと！〉『あ〜そこに置いといて』「…」どんな顔していいか分からず、安田くんの横を通り過ぎて真由の所に向かった。 真「今日安田くんとまわるんだっけ？」「うん、その予定」真「彼氏とまわるからさ、心配してたの」「真由の彼氏見たかったな〜」真「今度会わせるよ」

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「本当？」うん、と頷いた真由に私も頷き返す。真「あ、そうだ。髪やってあげる」「いいの！ありがと〜」真「緩く巻いていくね」「ん」真由が慣れた手つきで私の髪を巻いていく。仕上げに、とリップと軽いメイクをしてくれて。 真「…素材いいともっと可愛くなるね」「え？」

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『○○〜、行こ』安田くんの声に振り向けば、『めっちゃ可愛い！！』と声を大きくして私の頬をぐりぐりと撫でる。 「…ありがとう」『真由ちゃんがやってくれたん〜？』真「うん、だから○○から目離さないようにね」『…言われんでも離さんわ』私の手を優しく握って『行こか』歩き出した。

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『どこ行く？』「ん〜…」 賑やかな廊下を歩くから、いつもより近い距離で話す私たち。 「安田くんの担当って何時から？」『○○と同じ時間にしたから気にせんでええよ』「…何時だっけ」『午後の2時！4時に後夜祭やるんやけど、俺バンドやんねん』「え！そうなの！」『せやで〜』

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よくギター背負ってるな〜って思ってたけど。そっか。そうなんだ。 （…安田くん、もっとモテちゃう）『どしたん？』私の顔を覗き込んで心配そうな顔をした安田くんに首を振って「なんでもない」と返せば少し眉を下げて『我慢はやめてな？』「…うん」『あ！マルや〜』丸「来たなリア充」

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丸山くんは吸血鬼の格好をしていて、変なポーズをしながら私たちを見つめる。丸「お化け屋敷入ってく人全員カップルやねん〜」「丸山くん彼女は？」丸「居らんよ」あれ、じゃあC組の子は…『昨日別れたんやって』「…お気の毒に」丸「やめて！！」丸山くんが耳を塞いだ時、女子の歓声が響いて錦「…」

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錦戸くんの頭には茶色い猫耳。お尻には尻尾が生えてて。不機嫌な顔をした錦戸くんは女子に囲まれて動けずにいた。狼男… 「…可愛い」『ああいうのが好きなん？』「え、いや、」丸「イチャイチャすんな！散れ！！」丸山くんに無理やり追い出された私たちは特に行く当ても無く散策。

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安田くんの手をぶらぶらさせながら歩いてれば、今流行りの文字が見えて足が止まった。 「タピオカ飲みたい！」『お、ええやん』安田くんと列に並んだら、さすが安田くん。後輩も先輩もみんな安田くんに夢中で。 『○○〜写真撮ろ』その視線に気づいてるのか気づいてないのか、私の肩に腕を回す。

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『もっと笑ってや〜』「あはは…」 笑える訳…！！女子の皆さんの顔が怖すぎて笑顔が引き攣る… やっと私たちの番が来て、注文しようと顔を上げたら 〈あれ！先輩！〉「田中くん！」『…誰？』「あ、後輩の田中くん」『あー、昨日の』〈？…サービスしますね〜〉「いいの？やった〜」

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〈昨日言ったじゃないっすか（笑）〉 『…』〈タピオカ大量に入れときますね、味はいちごみるくでいいですか？〉「凄いよく分かったね」〈よく見てたんで（笑）安田先輩は？〉『○○と飲むんでいいわ』〈…はーい〉お金を渡そうとしたら〈俺の奢りっす〉「でも、」『それはどーも☺️』…ん？何この空気

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タピオカを受け取ってもう一度お礼を言うと、〈お金はいいんで、今度デートしてください☺️〉「…え？」 またこの子は揶揄って…「ふざけないの」〈え〜（笑）〉『な〜まだ？』いつの間にかドアの所にいるから 「じゃあまたね！」〈は〜い〉田中くんに手を振って安田くんの後を追った。