ぱすイカ二次創作⑦

ぱすかる❄ @pascal_syan

シグルイは、左手を振り上げた。 「ヒィッ……！」 グーか！？パーか！？ どちらにせよ、殺られる！ なんならチョキでも死ぬのでは！？ 「う……っ」 オクトーは、ぎゅっと目を閉じた。

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そんな、怯える彼の頭に、左手をそっと乗せて…… 少し撫でてから、すぐ引っ込めた。 「……さて。今何時だ？」 ついでに話題を切り替えた。 「あ、あの……今のは？」 「もう17時か」 サキの問いには答えない。まさかのスルーである。 ヨーコはオクトーを見た。 ……顔が真っ赤だ！

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「……もう、二度としません……」 両手で顔を覆う。耳まで赤くなっているのがわかる。 「つまらんな。何度やってくれても構わないんだぞ？」 「か、構います……俺は……！」 「オクトークン、ヨカッタネ～」 「あなたはどっちの味方なんですか！？」

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「チョット早イケド、晩ゴハン、ミンナデ、食ベル？ココ、ゴハン、オイシイヨ。ドースル？」 「ヨーコのオススメはハズレ無しだからね、私はここに残りますけど、シグルイさんたちはどうし……」 最後まで言おうとして、気づいた。 そういえば、この中に１人、とんでもないやつがいたんだっけ……

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「……どう、します？」 もう一度、語尾を言い直す。相手の出方を伺う。 「さて、どうしたものか。この後の予定はないが…」 「ナラ、一緒スルデス？今日、集マッテクレタ、オ礼シタイ。ミンナノブン、ワタシ、奢ルヨ！」 その時、サキとオクトーの脳内に、電流が走った。

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ヨーコ、それは、ヤバイ。 ジェスチャーで訴えるが、彼女にイマイチ伝わらない……！ 「……言ったな？」 「エッ？」 挑戦状を叩きつけられたシグルイと、何のことかまだ分かっていないヨーコ。 「高くつくぞ？」 「ダイジョーブネ、ココ、良心イッパイナノネ！」 そういうことじゃないよ、ヨーコ！

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オクトーは、音を立てずに個室を出た。一階へ降りて、店主に話しかける。 「すみません、お願いがありまして」 「いかがされました～？」 のんびりした声。 「今から大量に注文を入れますが、よろしいでしょうか？」 「どうぞどうぞ、今、他にお客さんいませんし～」 まだのんびりしている。

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「４名様でしたよね。団体様向けの大皿メニューもありますので～」 「１人で10人前以上食べる方がいます。……それでも、大丈夫ですか？」 「あーっ……」 ようやく深刻さが通じたようだ。 「……少々お待ち下さい……」 店の入り口へ行く。ドアのところで何らかの作業をして、戻ってきた。

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「今日はもう、他のお客様は入れないことにしました。なので、どうぞご遠慮なく……」 「お気遣い感謝いたします……！」 オクトーは、深々と頭を下げた。仏のような方で本当に助かった。 「とりあえず、その大皿メニューを全部頼んでも……」 「か、かしこまりましたぁ……」

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一時間後。 「……ヒッ……」 レジの前で、ヨーコは固まっていた。 どう考えたって、四人分の金額じゃない。自分の分が、まるで小銭みたいに感じられる額だ……！ 財布の中を見る。明らかに足りない。いや、お金はあるのだけど、口座からガッツリ降ろさなければならないレベルだ。

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「★●■▲●〇※★■▲…」 「よ、ヨーコっっっ、方言出てる、方言！！！」 友人のピンチは自分のピンチ。とっさにサキがフォローに入る。 「残りは私出すから、ねっ？」 「アリガト……！！絶対、絶対返スデス……！」 サキは財布を開く。 ちょうど半分こする形だ、これなら余裕で払え……

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「……うっ！？」 なんでこんなときに限って、財布にあんまりお金がないんだ！？ 「昨日親に仕送りしてたの、忘れてたぁぁぁぁぁ……！」 口座から下ろすのも、忘れてた！ 「……出すか？」 シグルイが懐から何かを出そうと……うわっ、めっちゃ高そうな財布だ！！！

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しかも、薄い。めちゃくちゃ薄い！薄いということは、つまり、キャッシュレスで生きているということだ。なんてスマートなんだ。当然のように、黒いカードが出てきた。何ら不思議はない。だってシグルイさんだもの。

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「使えるか？」 「はい、大丈夫です」 「一括で」 「かしこまりました～」 「面目ナイデス……」 店を出たあと、ヨーコはしゅんとしていた。 「俺の言葉の意味が分かっただろう？」 「ハイ……」 「奢るのは俺の役目だ」 そりゃそうだ、ぶっちぎりで食べてるんだもの。 割り勘が一番いいのかも。

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「ドコニ、ソンナ、イッパイ入ル……？ワカンナイ……」 「お、オクトーくん、分かる？」 「歳を追うごとに増えていると言ったら、考えるだけ無駄だと思えてこないか？」 「えっ 嘘っ 増えて……？」 「……増えていますよ」 「家計、ダイジョーブ……？」 「それはお答えできません……」

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かくして、ここに「無銘」のチームの結束が……おそらく、固まった。 メンバーの名前だけ見れば、１人を除いて壮々たるものだ。 だが、蓋を開けてみれば、ありふれた光景が広がっている。気取ることはない。飾ることもない。皆、自然体だ。 それが、彼らの強みなのかもしれない。