ぱすイカ二次創作19

iPhone11proMaxにしたんすけど、ものっそい打ちづらいからほんとにつらいんですよ!たすけて! 書いたもの ‪https://togetter.com/id/pascal_syan
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ぱすかる❄ @pascal_syan

「あたいが女子だって認めたら女子なんだよ!とっとと帰んな女装男子!」 「俺をそんな業の深い存在にしないで!!面白すぎるから!!分かったよ、女装男子は帰りますよ!決勝で会おうなみんなー!」 誰も手を振り返さなかった。 「まあ、席、……13人で取っとくよ」 「ねーちゃん優しい……」

2019-09-23 20:09:37
ぱすかる❄ @pascal_syan

「つーわけで、だ」 アカネは取りまとめるような声色で、 「お互い、勝っても負けても恨みっこなしだ!誰が優勝しようが、最後はどんちゃん騒ぎで締めっぞ!」 拳を天高く掲げる。 「また会おうぜ!決勝でな!」 皆、笑顔で頷く。

2019-09-23 20:13:37
ぱすかる❄ @pascal_syan

そして、徐々に、和やかに解散していく。 突拍子もない提案だったが、おかげで、緊張感がかなり解れた。 勝っても負けても恨みっこなし。最後はみんな(一部不参加)で、和気あいあいと語り合う。 スポーツとしては、理想の形だろう。

2019-09-23 20:16:36
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……くだらない……」 吐き捨てるように、アヤメは呟く。 くだらない。敵も味方も、勝ち負けも関係なく仲良くするだなんて。 この世は敵だらけ。味方でさえも、いつ裏切るか分からない。 信じられるものはひとつだけ。それは……

2019-09-23 21:07:21
ぱすかる❄ @pascal_syan

「お父様……」 最愛の人の名を呼ぶ。 どんな仕打ちを受けても、どんなに辛い使命を課されても、彼女は父親を信じ続ける。 母は幼いときに病死した。上に兄が、下に妹がいたけれど、彼らも皆、事故や病気でこの世を去っていった。 彼女に残されたものは、父親しかないのだ。

2019-09-23 21:17:59
ぱすかる❄ @pascal_syan

お父様が叶えられなかった夢。 シグルイを守るもの「サキモリ」としての使命を捨てて、反旗を翻し……結果として、失敗に終わった。先代のシグルイ、現在のゲンイチロウに敗れ、そのまま選手生命を終えてしまったのだ。

2019-09-23 21:23:49
ぱすかる❄ @pascal_syan

自分の代わりに、アヤメにシグルイの名を継がせようと、お父様も躍起になっている。 あちら側は「和解の兆しがあるかもしれない」などと言って…当代のシグルイと自分たちを組ませようとしたが、それも失敗に終わった。むしろ、決裂したと言えよう。

2019-09-23 21:26:02
ぱすかる❄ @pascal_syan

戦いに対する信条や姿勢、性格から何まで……シグルイとアヤメは、相性が悪かったのだ。 「よう、シグ坊。さっきぶりだな」 「……」 車に乗り込む直前、背後から語りかける声。 「撒いたはずだが?」 「あんまり早く歩くもんだから、探すのに手間がかかっちまったよ」

2019-09-23 21:34:11
ぱすかる❄ @pascal_syan

オクトーが、無言でシグルイの傍らに立った。半ば睨みつけるように、問いかける。 「用件は?」 「世間話だよ、そう怖い顔すんなって」 クライスは、へらへらと笑う。 「なんせ、お嬢様に置いてかれちゃったんだもん。一人で帰るのって寂しいんだぜ?」 「そうか。頑張れ」 「素っ気ないなぁ…」

2019-09-23 21:39:07
ぱすかる❄ @pascal_syan

しゅんとした顔に、白々しさを感じさせる。 「決勝戦、十中八九、サキモリとあんたらの試合になると読んでるぜ。シグ坊だってそうだろ?」 「……お前達がどんな手品を使おうと、俺たちの優勝は決まっている」 クライスの飄々とした態度を、真正面から刺し殺すような、鋭い眼光。

2019-09-23 21:42:37
ぱすかる❄ @pascal_syan

「手品のタネを捨てるか、諦めて手を引くか……どちらか選ぶといい。前者ならば、俺は快く迎えるが」 「俺に聞くなよ、アヤメ様に直接言ったらどうだい?」 「言伝をするのも従者の役目ですよ」 オクトーが冷ややかに忠言する。 「ええ〜、やだやだ。くそ真面目にお仕事するなんてまっぴらごめんだね」

2019-09-23 22:12:21
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……それでも部下ですか」 「こんなんでも部下なんだよ。世の中不真面目な大人が多いんだぜ?」 「お前のような者が誰かの下につくなど、珍しいことだ。……なぜ、アヤメの下にいる?」 「んんー、そうだなあ」 数秒、考え込んでから。 「お嬢様がかわいいからかな?」

2019-09-23 22:20:13
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……なに?」 「いやね、顔もそうだけど、一回りも年上のやつ相手にもキャンキャン吠えるあたりとか、可愛げがあってさあ」 にやにやと笑う。 「子供相手にするのなんてくそったれ、なぁんて思ってたけど、案外悪くないな。シグ坊の気持ちも分かるぜ」 「一緒にするな」

2019-09-23 22:27:17
ぱすかる❄ @pascal_syan

シグルイは不快そうな顔をした。 「お嬢様のためなら何だってしてやるぜ?殺し以外だったらさ」 間違った忠誠、いや、彼の場合はそもそも、忠誠ではないだろう。ただ自分の興味や好奇心だけに従う、混沌のような男だ。

2019-09-23 22:34:24
ぱすかる❄ @pascal_syan

「手品を捨てる気も、白旗をあげる気もさらさらないぜ?特に後者はありえないだろうなあ〜」 「珍しいな、逆を選ぶとは」 「何が珍しいものかよ」 クライスの目が、ぎらりと光る。 「本質はあんたと一緒なんだぜ?これでも」 彼が『延命』を望むのも、闘争本能が根底にあるからだ。

2019-09-23 22:41:30
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ま、そういうこった。俺でさえこうなんだ。重いもん背負ったお嬢様なんか、尚更諦めないだろうぜ」 「ならば、力ずくで諦めさせてやろう。二度と再起しないよう、根元からへし折る。覚悟しておけ」 「はーい、じゃあそう伝えときまーす」 クライスはそそくさと立ち去った。

2019-09-23 22:46:12
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……ようやく帰ったか」 シグルイはため息をついた。 「疲れるな、あの手合いは」 車に乗り込みながら、愚痴のように零す。 「気が合いそうにありません」 「合わなくていい。ろくなことがないからな」

2019-09-23 22:53:25
ぱすかる❄ @pascal_syan

だが、あんな彼でも、やはり手練。歴戦の強戦士だ。35歳でまだ現役を名乗れるほどの、驚異的な生命力もある。 サキモリの脅威はアヤメだと語られがちだが、彼無くしてあの盤石は成し得ないだろう。

2019-09-23 23:13:17
ぱすかる❄ @pascal_syan

「楽しみだなぁ〜」 繁華街を歩きながら、彼は実に愉快そうにしていた。人気のない路地裏へ入り、 「勝てば天国、負ければ地獄……」 張り巡らされた雨樋や室外機の上を、リズミカルに飛び移る。 ビルの屋上のフェンスを掴み、くるりと身を返して、屋上へと降り立った。

2019-09-23 23:22:36
ぱすかる❄ @pascal_syan

「どっちに転んでも、いい景色が見れそうだ……」 見下ろす夜景よりも、ずっと、いいものが。 大会の裏で暗躍する彼らに、運命はどう動くのだろうか。 神ですらも、きっと知らない。

2019-09-23 23:27:08
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