10周年のSPコンテンツ!
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イカゴジラ @pascal_syan
フェス、2日目。 「おつかれヨーコぉ……」 「サキ、顔、マッシロネ!?具合悪イ?帰ル?」 まさに、顔面蒼白。一目で分かる体調不良。 「い、いや、大丈夫……大丈夫だから……」 「ダメ!具合、絶対悪イ!」 ヨーコはサキの額に手を当てる。 「熱アル、カモ……」 「マ、マジで?」
イカゴジラ @pascal_syan
「サキ、昨日、チャント寝タ?オフトン、カケタ?オ腹、冷ヤシタカモ?」 「朝までバイトしてた……」 「バイトッッッッ!?」 信じられない。あんなにバトルで激しく運動したあとに、バイトもしていたなんて! 無理もない。というか、無理しかない。いくらスタミナがあるからといって……
イカゴジラ @pascal_syan
「おかしいな……いつものフェスのときよりも……ちょっとバイト少なめにしたのにな……」 シグルイにも、程々にと言われていたので。 「無理、ダメ。今日、チャント、オヤスミスル。コジラセル、一番、ヨクナイ。」 「でもシグルイさんたちが……」 「私、話ス。大丈夫。オウチ、帰ルノネ」
イカゴジラ @pascal_syan
タクシーを呼び、すぐにサキの家へ。ヨーコに支えられながら、ベッドまで歩く。思ったより、症状がひどい。ぼーっとして、足にうまく力が入らない。 「ごめんね……わざわざ……」 「熱、ハカル。体温計、アル?」 「そこの引き出し……」 力なく指さす。すぐに、ヨーコが戻ってきた。
イカゴジラ @pascal_syan
体温計を脇に挟んで、じっとする。電子音が鳴り、液晶に数字が表示される。 「熱、ヤッパリ、アル……」 「あー……やらかしちゃった、完全に、自己責任だわ……」 「ソウナノネ。体調管理、キチントスルネッ」 ヨーコの怒った顔が、ぼやけて見える。
イカゴジラ @pascal_syan
「あつい……」 「マズ、着替エル。パジャマ、ドコ?」 「あそこ……」 手伝ってもらって、寝巻きに着替える。 「オ水、飲ンデ。汗、イッパイヨ」 「うん……」 「晩ゴハン、食ベタ?」 「あんまり……食欲、ない……たべてない……」 「ムムムム……」
イカゴジラ @pascal_syan
ヨーコは冷蔵庫を開けた。 まあ、見事に、空っぽ! 「ちゃんと買いなさいよ……」 サキが元気だったら、今標準語だったよ!とツッコミを入れていたが、今はそれができない。 「サキ、ヒトリ、大丈夫?必要ナモノ、買イ出シスルノネ」 「わかった……寝てるね……」
イカゴジラ @pascal_syan
かろうじて残っていた麦茶のペットボトルを、ベッドの脇に置く。 「喉乾イタラ、飲ンデネ」 「うん……」 「早ク帰ル、ガンバルネ。行ッテキマス」 「いってらっしゃい……」 ヨーコはサキ宅を出たあと、すぐに携帯を取り出した。
イカゴジラ @pascal_syan
「もしもし」 「モシモシ?オクトー、アノネ、サキ、熱出シタノ」 「えっ?」 オクトーの声に反応するシグルイ。 「今日、サキ、オヤスミ。ワタシ、看病スル。ゴメンネ……」 「いえ、気になさらず。何度くらいですか?」 「37ヨリ、チョットアル」
イカゴジラ @pascal_syan
「風邪、でしょうか?」 「ズット、バイトシテタミタイ」 「はあっ……!?」 「シグルイニモ、伝エテ。ゴメン、イッパイ、ゴメンネ……」 「こちらのことは気にしないでください。サキさんにお大事にと伝えていただければ。……ヨーコさんもお気をつけて」 「アリガトナノネ」
イカゴジラ @pascal_syan
「何か手助けが必要であれば、遠慮なく連絡してください。それでは」 「ヨロシクデス~」 オクトーは通話を切った。 「体調不良か?」 すぐにシグルイが尋ねる。 「はい。サキさんが熱を出したそうで……」 「…………」 程々にと言っておいたのに。
イカゴジラ @pascal_syan
「いかがいたしましょうか?」 「気がかりだな……。だが、押し掛けてどうにかなる問題ではあるまい。ヨーコが看病しているのか?」 「はい」 「なら、彼女に任せよう。すぐ連絡がつくようにしておけ」 「かしこまりました」
イカゴジラ @pascal_syan
「タダイマ~」 両手に提げたコンビニの袋。返事がない。どうやら眠ったらしい。 「チョット、ゴメンネ」 一言かけてから、まずはサキの額に、冷えピタをぺたり。 近所にある自宅から持ってきた氷枕を、サキの頭の下に敷く。 布団をばふばふと煽ってから、きちんとかけ直す。
イカゴジラ @pascal_syan
タオルをいくつか濡らして、絞っておく。きっと汗で寝苦しくて、起き出すことがあるかもしれない。そのときに拭いてあげるために。 替えのパジャマも用意する。ヨーコのお古のTシャツと短パンだ。 それから、小さなゴミ箱に、紙袋をかける。その上に、色つきのビニール袋も。
イカゴジラ @pascal_syan
ご飯をあまり食べていないとはいえ、嘔吐する可能性もあるので。ゴミ箱をベッドの傍らに置く。 コンビニで買った大量のスポーツドリンクも、ベッドの傍らへ。 半分は常温で。もう半分は冷蔵庫で冷やしておく。 ゼリーやヨーグルト、アイスなどなど……冷たくやわらかく、食べやすいものも冷蔵庫へ。
イカゴジラ @pascal_syan
出掛ける前に、洗面台の戸棚のなかに、市販のかぜ薬があるのを見つけていた。あと1つしかなかったので、同じものを買い足した。 できることは全部やった……つもり。あっ、そうそう。お粥の準備はもちろんバッチリだ。
イカゴジラ @pascal_syan
「ん……」 サキが目覚めた。 「あ、……おかえり……」 「タダイマ。頭、ヒエヒエ、強過ぎない?」 「きもちいい~……」 「ヨカッタノネ。起キレル?」 「ちょっときつい……」 「オ薬、飲ム。オ腹、チョット、食べモノ、入レナキャ」 「ゼリーたべたぁい……」 「オッケーネ」
イカゴジラ @pascal_syan
吸って食べるタイプのゼリー飲料を、サキに差し出した。少しずつ飲んでいくのがわかる。 「あー……すきなんだよねえ……これ……」 好感触。 「オ薬、イクノネ」 「うん」 錠剤を口に入れて、水で飲ませる。 「これしか飲めないの、よく分かったね……」 戸棚にあったものですし。
イカゴジラ @pascal_syan
「……いっぱい、買ってきてくれたの……?」 傍らのスポーツドリンクなどを見て、か細い声で言う。 「ありがと……あとで、お金、返すから……」 「気ニシナイ。ソレヨリ、オネンネ、大事ヨ」 「そだね……寝るわ……」
イカゴジラ @pascal_syan
それからずっと、サキは寝たきり。時々目覚めて、トイレに行ったり、汗を拭いてあげたり、着替えさせたり、水分を摂らせたり。 ヨーコはサキの家に泊まり込みだ。ソファーを借りて、そこで眠った。結構いいお値段のソファーらしく、割と快適に眠れた。
イカゴジラ @pascal_syan
翌日の朝。 ヨーコは少し早めに起きて、朝ごはん作り。お粥を茹でる。無味だと食べづらいかもしれないので、種無し梅干しを添える。おかずも一応用意する。漬け物を少しと、卵焼きを二切れ。サキは、卵焼きはしょっぱいのが好きって聞いたことがある。
イカゴジラ @pascal_syan
朝食を用意していると、音でサキが目覚めたらしい。もぞもぞと布団が動くのが見える。 「オハヨー」 「ん、おはよ……」 冷えピタを剥がして、額に触れる。 「昨日より、ちょい、下がったかな……?」 「測ッテミルノネ」 体温計を脇に挟んであげる。 「……36.9だって」 確かに、昨日よりは下がった。
イカゴジラ @pascal_syan
でも、まだ油断はできない。熱がぶり返す可能性があるからだ。 「今日モ、オヤスミ。イイ?」 「うん……」 「ゴハン、食ベラレソウ?」 「うん、たべる、なんかたべたい」 食欲があるのはいいことだ。 食べやすいように、少し冷ましておいたお粥を差し出す。 「多イナラ、残シテ、ダイジョブヨ」
イカゴジラ @pascal_syan
「あー、おいしい~」 病人とは思えないスピードで、ぱくぱくと食べていく。どっかの誰かさんの影に隠れてしまうけど、サキだって食いしん坊なのだ。 漬け物と卵焼きも完食した。 「ごちそうさま、ありがとう」 「ドーイタシマシテ、ネ」 薬を飲んでから、サキは横になる。
イカゴジラ @pascal_syan
「あ、」 何かを思い出したかのように。 「フェスT、返さなきゃ……」 フェス終了後は、フェスTを返却しなければならないのだ。3日以内だっけ。 「洗濯、シトク。返スノ、アトデ、ダイジョブヨ」 「ごめんね、何から何までやらせちゃって……」 「イイノヨ」 ヨーコは微笑んだ。 「恩返シナノネ」
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