つがい形成(pair-bonding)の本能と社会規範

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済州島みかん @99mina_jeju

進化心理学的には、人類は子孫を残すことに特化して進化してきたはずなのに、実際のところ世の中には子孫を残す活動に適応できない非モテの割合が多すぎる。 もしかすると現代社会の自由恋愛の文化は、これまでの人類史においては特異な営みで、人類とはあまり折り合いが良くないのかもしれない。

2019-10-02 14:51:36
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

人類は子孫を残すことにではなく、異性を選んで/競い合ってセックスをしようと思うことに特化しています。これを考える際に重要なのは卵を持っているメス(女性)が実際セックスできているかどうかです。社会規範などのミーム、コンドームなどの人工物が無ければ、大多数の女性は子を残すでしょう。 twitter.com/99mina_jeju/st…

2019-10-02 20:26:38
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

そして、その遺伝子的な意味での適応面とは別に、サピエンス社会がEEAの時代から伝統的に築き上げてきた "規範" に対して自由恋愛がフィットしない、ということはたしかにあります。

2019-10-02 20:30:05
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

ハーバード大のヒト進化生物学学者J.ヘンリックは、文化-遺伝子共進化(DIT)理論の世界第一人者だ。彼はサピエンスの進化的な"心のプログラム" (=ゲノム)と、過去の部族社会において生じた"規範"(=ミームとも) の二要素からサピエンスの配偶を語る; 「ではまず、結婚について考えてみよう────」 pic.twitter.com/Or9CInblEI

2019-10-02 21:18:52
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「ヒトには生まれつき、つがい形成(pair-bonding)の本能が備わっているが、この本能を律して強化するために生まれた社会規範の集合体が結婚制度である。結婚にまつわる信念、価値観、風習なども制度の一部を成している」 pic.twitter.com/D9xewPa2TQ

2019-10-02 21:20:12
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「この脆さをはらんだ本能による絆(bonding)を補強する結婚規範があることによって、配偶関係が維持されるとともに、新たな姻戚関係が生まれ、さらに、子どもの父方の親族関係ネットワークが強化される。」

2019-10-02 21:20:53
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「結婚の大元にあるのは、長期にわたってつがい関係(pair-bonding)を維持しようとする本能である。これはヒトだけでなく、ゴリラやテナガザルなどの大型類人猿やサルの一部にも見られるようだ。この本能は繁殖戦略の一つと考えられるが、それが発現するかどうかは状況しだいだ。」 pic.twitter.com/n8FiZOxihT

2019-10-02 21:22:15
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「────そうせざるをえないわけではない(小便とは違う)。ある環境におかれると、そうする傾向があるというタイプのものだ。」

2019-10-02 21:25:19
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「つがい関係(pair-bonding)」という言葉は、一夫一婦制(=単婚, monogamy)と混同されることが多いが、両者は別の概念であることを理解しておく必要がある。複数の相手とつがいを形成することもあるのだ」 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-02 21:25:20
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化人類学者のロビン=ダンバーは人類は通常の一夫一妻種でないと言っています。彼によると、スザンヌ=シュルツとキャット=オピエによるベイズ的手法を用いたコンピュータ解析(S.Shultz, C.Opie & Q.Atkinson 2011)から、サピエンスはテナガザルのような単婚種ではない(R.Dunbar 2016)。→ t.co/hYItfFZgX8

2019-09-27 16:51:48
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「たとえば、ゴリラの雄は、同時に複数の雌と長期のつがい関係を結ぶことが珍しくない。ヒトもまた例外ではない。世界を見渡せば、同時に複数の相手とつがい関係(pair-bonding)を結んで結婚する文化圏もあるし、歴史を振り返ると、ヒト社会の85%で何らかの形の複婚が認められていた」

2019-10-02 21:25:55
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「────つまり、雄雌間の永続的な(少なくともその場限りではない)関係のことを、つがい関係(=pair-bonding)と呼ぶのである。」

2019-10-02 21:26:17
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「結婚にはたいてい儀式や贈り物の交換が伴うが、男女のつがい形成に共同体を巻き込むのが結婚である。つまり、共同体の成員が、結婚規範を犯す者を監視し、(噂を流すなどして)制裁を加える第三者になるのだ」 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-02 21:28:22
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

「モラル」というのは実は、サピエンスにとっては他人を叩くための絶好の道具だ。人類は通常の自然選択だけでなく、“評判選択”(Alexander 1987)や “逸脱者の処罰と社会統制”(Boehm 1997) といった特殊なモラルゲームを繰り広げて進化(=自然淘汰)してきた動物なので、道徳や正義で他者を攻撃する。 pic.twitter.com/eygL9mMka4

2019-09-17 15:47:52
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「本人やその親族が、結婚相手に対してどのような経済的、社会的、および性的な役割や義務を求めるかは、広く共有されている行動規範によって決まるもので、一律ではない」

2019-10-02 21:28:51
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

「しかし、文化の違いを問わず、次のような事柄は必ず結婚規範で規定されている。①結婚できる相手の範囲(近親相姦のタブーなど)、②結婚できる相手の数(一夫多妻を認めるか否かなど)、③相続権と「正当」な相続人、④新婚夫婦の新居(母方居住か、父方居住か)、⑤婚外セックスに関するルール。」

2019-10-02 21:29:23
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「男性側からすると、つがい関係(pair-bonding)がある場合には、自分が妻の生んだ子どもの遺伝上の父親であるという確実性が増すので、育児にも関わるようになる。少なくとも、その子に対して寛容になる。」 pic.twitter.com/Gl3eRmcnWy

2019-10-02 21:31:11
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「父性の確実性が大きな意味をもつのは、自分は本当に遺伝上の父親なのかという、生物のオスの抱える不安の裏返しとも言える。他の条件がすべて同じだった場合、父親であることが確実であればあるほど、妻の生んだ子どもの面倒を見る意欲が高まる。」twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-02 21:32:47
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

オックスフォード大の進化心理学者ロビン=ダンバーは、「赤ん坊はみんな父親似だと思いたがる」という話を報告している→: “ ヒトの赤ん坊は、生まれて一年間は肉と骨のかたまりでしかないので、細心の注意で育てていかねばならない。世話をする者にはかなりの負担だ。” pic.twitter.com/GR6THHaBm0

2019-09-27 18:34:35
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「結婚規範により、つがい関係が強化されることによって、面倒見のよい父親がつくられるのである。」

2019-10-02 21:34:11
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「それがだめでも、後述するように複数の父親がつくられる。すべてではないにせよほとんどの社会には、妻に貞節(=つまり浮気しないこと)を求める社会規範があり、およそ四分の一の社会では、夫にも何らかの制限を設けている。」

2019-10-02 21:34:12
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「そのいずれにも、妻の生んだ子どもに対する男性の投資を増大させる効果がある」

2019-10-02 21:34:44
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「妻に貞節を求める社会規範があると、夫だけでなく共同体全体で妻のセックスや恋愛を監視することになる。そうなると妻としては"妻の産んだ子は自分の子だ"という夫の確信をぐらつかせるような〔本能的プログラムによる〕不貞行動はなかなかとれなくなる” twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-02 21:39:52
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

そこで、モテる男と浮気がしたい女性のあいだにwin-winの関係が生じ、ある種の「共犯」としての浮気や不倫が生じる。このような"真夜中の秘密のロマンス"への憧れは、世界中の文化に確認される、進化によって生じたヒューマンユニヴァーサルだ。

2019-09-10 15:54:15
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「それが夫に与える心理的効果は大きく、妻の産んだ子ども(わが子である確率が高い)に対して積極的に投資するようになる。」

2019-10-02 21:42:07
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「また、妻としては、貞操規範を犯している(他の男性と不倫している)ところを見つかれば、夫やその親族に非難されるだけでなく、世間からも後ろ指を指されるとわかっているので、それも不貞行動の歯止めになる」

2019-10-02 21:42:08
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:「一方、夫の性行動を制限する規範は、家族に向けられるべき資源(財力や労力)が、浮気したり、娼婦を買ったりといった、婚外性交渉の機会獲得のために向けられてしまうのを、防げないまでも抑制する。」 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-02 21:44:21
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“嫉妬” には性差がある。なぜなら嫉妬という感情は、進化によってデザインされた生物学的な戦略だからだ。進化心理学者デイリー&ウィルソンによれば、男性は托卵を防ぐためパートナーの肉体的な浮気により嫉妬を感じ、女性は子育て投資先であり続けようとパートナーの感情的な浮気により嫉妬を感じる。

2019-09-27 22:16:55
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック「また、こうした規範があると、共同体全体で彼を監視することになるので、それを犯した場合には、妻やその親族との関係のみならず、共同体内での立場をも危うくすることになる」 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-02 21:49:41
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

ゴシップ戦略といいます。サピエンスの脳は真実を探求するのではなく、気に入らない人物をけなすような情報をかき集め、それを都合よく信じて他者に拡散するように進化しています。進化心理学者R.ダンバーの『Grooming, Gossip and the Evolution of Language/邦題:ことばの起源』をお読みください。 pic.twitter.com/kMW8laNsWz twitter.com/netzkymets/sta…

2019-09-24 01:24:41
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

「夫の忠誠を求める社会規範は、夫の資源がセックス目当てに浪費される事なく妻の子供たちに投じられるように仕向けているのである。当然ながら男性が複数の妻をもつこと(一夫多妻)を許容・奨励している社会では、養育男性にはその分多くの資源や財産が求められることになる」 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-02 21:52:58
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

自由恋愛をしていて、生殖利益を独占していたモテ男やヤリチンが、(意図を共有する心的能力を進化的に有することで)結束した非モテ男たちから虐殺され群れから駆逐された、というのがサピエンスが過去の部族社会において辿った進化史(C.Boehm 2012)。自由恋愛はサイコーだが社会的にリスクは大きい twitter.com/Cryptobanker_Z…

2019-03-16 22:18:30