レター・デイ・オブカタストロフ1

みぐだしょ @yosidagumi2024

◎レター・デイ・オブ・カタストロフ◎

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『ディグ・ザ・グローリー、ディグ・ジ・アビス』

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凍った大地の下、地下複合都市ガフの一角であるパライソ地区が広がっている。パライソ地区は大きな空洞となっており、壁面と底部に都市構造が展開されている。かつてのリズ連邦の支配したリズ大陸に位置し急激な寒冷化を受け人が住むには適さなくなった場所にこの地区は作られた。

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22世紀初頭に発生した大破局は大爆発とそれに伴う灰で惑星上空を覆いヘブン全土を凍った世界へと導いた。その中でもリズ地方の気温低下は深刻でかつてのリズ連邦時代において繁栄を誇った文明世界はほぼ完全に喪われていた。……新しいエネルギーが見つかるまでは。

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リズが寒冷化したのには別の理由があるが、それは今回特別な意味を持つことではない。新エネルギーだ。エネルギーは地下にあった。冷えた地上を捨て新しい世界を地下に求めた。だがその過程は安易なものではなかった。

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パライソ地区は地上からのエレベーター孔から大きく空間が広がり電球を逆にしたような構造になっている。居住区はその地底部にあり中央には新エネルギーの発掘のためさらなる地下へと進む穴、またガフの他の地区と繋がる横穴がいくつか存在している。

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『お医者さん！昔の話をまた聞かせて！』定期健診に来た少年にせがまれ医者は牙を見せながら困惑する。新エネルギーの副作用を心配する市民の要望から地区政府は定期健診の実施を行なっている。『アレは300年前、ワシがおぬしくらいのことじゃった』吸血鬼の医者は何度目かの昔話を始めた。

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この世界の地上にまだ秩序があった頃から、吸血鬼は血の入手が容易なため医者になる者が多かった。『もっと詳しく話してよ！おまけするからさ！』『まったく、吸血は医療行為じゃぞ』『はやくはやく！』『アレはここを掘り始めた頃じゃった。白い悪魔がここにやって来たんじゃ……』

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300年前、リズ大陸。パライソ発掘地域。複数の建設用アームヘッドが土を掘り返していた。凍った大地は固く、工事は難航を極めた。温泉を掘ろうとした結果、偶然にもこの場所でも他の地域と同様新エネルギーが見つかった。その結果、寒さ対策の温泉ではなく新エネルギーを掘ることにしたのだ。

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地下都市の骨組みが完成した頃、悲劇は起こった。リズを大寒波が襲い、じゃがいもが全滅したのだ。『終わりじゃ……もうおしまいじゃ』医者の男はわめきちらす。『そもそも血とかあんまり栄養にならないんじゃ！』『おじいちゃん、落ち着いて。血、吸う？』『吸わん！』『……待て、なんだアレ？』

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これは200年ほど前に絶滅したはずの軽トラック！軽トラックが青白い光とともに出現したのだ！『あ、アレは！』『知っているのか？吸血鬼のじいさん！』『で、伝説の軽トラックじゃ！ワシも昔見たことがある！』『あ、アレが……足でなくタイヤで動くという……』『そうじゃ！だがなぜ？』

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『なんてことだ伝説でしか聞いたことがない軽トラックが……』『とりあえず、行ってみるんじゃ』吸血鬼と男は軽トラックとそれに群がる人たちの所へ向かった。『ワシは吸血鬼じゃが、あの軽トラックなんじゃ？』吸血鬼はあまりいないため驚かれないようにこう挨拶する。『タイムスリップ教団だよ』

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『タイムスリップ教団？ワシは1,000年生きとるが聞いたことないの』『私の26年の人生でも初めてです』『そのなんたら教団が何をしてるんじゃ？』『タイムスリップ慈善事業らしいです』『ほう……』よくみるとローブを着た男がなにかを配っている。『きっと献血キットですよ、おじいちゃん』

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『ポテトチップス、ペペロンチーノ味じゃと……！』『はい、私はタイムスリップ・イモヒコと申します。タイムスリップする前はウスコ系列のポテトチップス企業の部長でした。しかし売れ残りの不良在庫に絶望しタイムスリップしたのです』ローブの男がこちらに気づき自己紹介した。

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『……おぬしも大変じゃな』吸血鬼はタイムスリップの意味を半分も理解しないまま相槌をうった。タイムスリップもまた超常現象である！『ですが！この時代に私のポテトチップスが必要とされている！サダヒコCEOも私の行動に理解を示してくださった！』『よかったね』『はい！ではあなたもどうぞ！』

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『待て！それを食べるべきじゃないぜ！』また青白い光だ！そこに現れたのは！『ふ、不良！ワシの学生時代にもおった不良じゃ！絶滅したはずでは！』『……じいさん本当はいくつなの？』『おい、イモヒコさん！いったいなにが起きておるんです！』吸血鬼はイモヒコに問う。『なぜあなたがここに？』

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『それを聞くのか？タイムスリップ教団！おまえたちの悪事は見逃す俺ではないぜ』学生服のタイムスリップ不良は凄んだ。『あ、あなたは……？』吸血鬼の付属品の男が不良に尋ねた。『俺は未来番長、礼三郎です』『……礼三郎さん、タイムスリップ教団のすることは全部妨害するのですか？』

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『どういう意味だぜ？イモヒコ』礼三郎はイモヒコを睨む。『私は仮にもウォッチャー、脅しには屈しませんよ。タイムスリップ慈善事業を妨害するのならあなたこそ悪です！』『タイムスリップ教団が悪を語るのか？そのポテトチップスにチカラ・パワー錠を混ぜたな！』『何！』イモヒコが驚愕！

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チカラ・パワー錠、人を筋肉の虜にする魔性のアイテム……。かつてのメロンパンディストピアの悪夢が思い起こされる！『……どうやら話しても無駄のようだな……』イモヒコの目の色が変わる！『アームヘッドで勝負だぜ！』白いアームヘッド、エーデルワイスが出現！

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それと対峙するように赤いアームヘッド、フラガラッハが出現！『意味のわからない難癖で人々の救済を邪魔をするなら許しませんよ』『俺こそ許せないぜ』エーデルワイスが跳躍！人が集まるここから離れようとする！イモヒコもその意を理解し抜刀せずエーデルワイスを追う！『なぜそんな真似を！』

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上空、リズの常なる曇り空が雪を降らせようとする中で二機のアームヘッドが激突した！『ポテトチップスは私の夢そのものだからだ！』『だからって！』『知らんわ！』フラガラッハは足からセイバー・オブ・アンサラー を射出！メインアームでキャッチしビーム刃を発振！斬りかかる！

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エーデルワイスはテトラダイを纏った拳で受け止める！テトラダイのビーム刃と交錯し火花が散る！イモヒコはサブアームを操作！エーデルワイスのホーンを引きちぎろうとする！フラガラッハに衝撃！エーデルワイスの放っていたタイムスリップ拳だ！フラガラッハは大きく体勢を崩す！そこへ追撃！

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フラガラッハは落下し地面に激突する！『これで終わりだぜ、芋掘り野郎！』エーデルワイスがチョップミサイルと化して迫る！『たしかに私は芋掘り野郎さ。だがね、ただの芋掘り野郎ではないさ！』フラガラッハの６つの腕が地面を掘った！調和能力！『ドレッジ……』

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調和能力ドレッジ、それは……。フラガラッハの掘った地面から超常的芋蔓が出現！6本の芋蔓はフラガラッハの腕に引き出され地面から出現していく……。『芋掘り野郎の恐ろしさを教えてやろう』空中のエーデルワイスに芋蔓が絡みつく！『⁉︎……だがこんなんじゃ止めれないぜ！』『そうかな？』