- uchida_kawasaki
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憲法いろはの“ろ”(42) 連載物のコラムの1つをアップします。 今回は、あいちトリエンナーレに対する不交付決定を題材に、税の使い方について考えてみました。 よろしければチェックしてみてください。 pic.twitter.com/pq7MSX5NsX
2019-10-17 17:47:59いまの税の使い方は公正か? (番外編) 今回は、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金の不交付決定を題材に、改めて番外編として税の使い方の公正について考えたいと思います。 9月26日、文化庁は、愛知県に支給予定だった補助金約7800万円を全額不交付とすると
2019-10-18 03:21:03発表しました。補助金を申請した愛知県による事前説明が不十分だったためとされています。 文化庁は、補助金申請の審査にあたり、対象事業が実現可能な内容・規模かどうかも判断材料に加えています。「表現の不自由展・その後」展の中止後に、文化庁が聞き取りを行った結果、愛知県は、展示内容が
2019-10-18 03:21:03来場者を含む安全や事業の円滑な運営を脅かしかねないと認識していたことが判明したとのことで、文化庁は愛知県がこうした認識を事前に申告しなかったことで、適正な審査ができなかったと説明しています。 今回の不交付決定をめぐっては、2点を指摘できます。
2019-10-18 03:21:04まず、愛知県が円滑な運営を脅かしかねないと認識していたにもかかわらず、文化庁に申告していなかったという点についてです。文化庁は、このことから実現可能な内容ではなかったと評価したことになりますが、文化庁は「実現可能」性の主体について履き違えているとしか思えません。今回の件では、
2019-10-18 03:21:04「表現の不自由展・その後」展が中止となったのは、主催者に原因があるわけではありません。実現可能性を失わせた主体は主催者ではないのです。「実現可能」性を判断するにあたって、主催者以外の主体による妨害の有無・程度まで考慮に入れるとなれば、こうした手法は形を変えた「検閲」となる危険性が
2019-10-18 03:21:04あります。 もう1つは、全額不交付という判断についてです。今回中止となった展示は、「あいちトリエンナーレ」のなかの一部にすぎません。仮に、「表現の不自由展・その後」展をめぐって、文化庁に対する申告に不備があり、不交付との判断が適切なものだったとしても、不交付はその限度において
2019-10-18 03:21:05妥当なだけであり、全額不交付は明らかに不備の程度に比して過剰なものとなっています。 それにしても、今回の不交付決定はあまりにも「政治的」と言わざるを得ません。たとえば、首相主催の「桜を見る会」については、来年度の予算概算要求額は約5700万円とされていますが、この費用と「あい
2019-10-18 03:21:05ちトリエンナーレ」の費用とどちらが有意義で公益に適うのかは明らかではないでしょうか。 今回の不交付決定に対しては、抗議署名の取り組みが開始されており、開始1日で5万筆を超えたと報じられています。 税の使い方について声をあげることが、今日ほど求められているときはないと思います。
2019-10-18 03:21:05これは大問題だと思います。長文となりますが、よろしければご覧ください。 1.実体面について 今回の「公益性の観点」という規定ぶりは、あまりにも抽象的ですし、「公益」の内包と外延も不明確です。具体例の摘示もなく、判断権者の恣意性の混入を避ける手立てもありません。内定や決定がされた
2019-10-19 00:31:37表現について、助成を取り消すというのは、表現に対する一定の規制を及ぼす制限として機能することからしても、このような抽象的な文言での制限は許されません。 2.手続面について まず、助成金が交付されるまでのプロセスを確認しましょう。 助成金交付に際しては、15名以内の委員で構成する
2019-10-19 00:31:37る芸術文化振興基金運営委員会を設置し、分野別の4つの部会及び14の専門委員会を置き、各分野の実情及び特性に応じた審査を行います。 応募のあった活動については、振興会理事長から運営委員会へ助成対象活動の採択について諮問を行います。これを受けて運営委員会から部会へ、さらに専門委員会
2019-10-19 00:31:38へと順次調査審議の付託が行われます。 専門委員会の審査は、付託された助成金交付要望書について、専門委員による書面審査及びその結果に基づく合議審査により行われ、助成対象活動の選定が行われます。 専門委員会での審査結果をもとに、各部会では採択すべき助成対象活動及び助成金額について審
2019-10-19 00:31:38議が行われ、この結果が運営委員会に報告されます。 これを受けて運営委員会で審議が行われ、当該年度の助成対象活動と助成金の額が決定され、振興会理事長に答申されます。 運営委員会からの答申を受けて、振興会理事長が助成対象活動及び助成金の額を決定します。採択された助成対象活動について
2019-10-19 00:31:38は、「芸術文化振興基金助成金交付要綱」及び「文化芸術振興費補助金による助成金交付要綱」に定める所定の手続を経て、助成金が交付されます。 以上が、助成金が交付されるまでの一連の流れです。交付決定までには、いろんな段階を経て、いろんな人の意見が反映されて、そのうえでの決定となってい
2019-10-19 00:31:39ることがわかります。 それに対して、取り消し規定の追加については、理事長が取り消すことができるとされるだけであり、交付決定までのプロセスと比しても、あまりにも簡略です。理事長の判断の正当性を担保する手だてもなければ、取り消し前に弁明の機会などが保障されるかも定かではありません。
2019-10-19 00:31:393.規定追加の効果 取り消しという決定は、事実上、表現の機会を奪うということにつながります。そうした極めて打撃的な効果伴う規定の追加を、なぜこのタイミングで行ったのかということについて、現段階では日本芸術文化振興会からは積極的な説明はなされていません。 また、「公益性」という
2019-10-19 00:31:39観点からの取り消しの規定が必要であることの根拠や必要性に関する説明もなされていません。改訂前の規定でも、「申請について不正の事実があった場合」や「交付内定の内容又はこれに附した条件に違反していると認められる場合」には取り消すことができるとされており、これらの規定ではなぜ足りないの
2019-10-19 00:31:40かが不明です。 こうしたことからすると、結局、今回の規定追加は、「公益性」というタームを用いていること、「あいちトリエンナーレ」の直後であることなどからしても、申請者の表現の「内容」に関して一定の影響を及ぼす意図があったとしか考えられないのであり、それはすなわち表現する側に委縮
2019-10-19 00:31:40効果を与える意図ということになるはずです。 表現をめぐる社会の状況は、1年前とは一歩も二歩も異なっています。5年前とはもっと異なっています。5年後にはどうなっているでしょうか。 今回の改訂は大問題だと思います。 #日本芸術文化振興会 #表現の自由 #美術手帖 bijutsutecho.com/magazine/news/…
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