地下鉄と防空壕

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トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

1940年 ドイツ軍によるロンドン空襲の際にも、ロンドン地下鉄は地下壕(ちかシェルター)として使用された。 1935年「防空の科学」時点では「現代戦」としての都市戦略爆撃は「空想上」のものであったのに対し、1938年東京市資料の時点では、現実化していたということになる #地下鉄

2014-03-15 19:53:51
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

さて、水島朝穂が国による空襲下での避難民による地下鉄使用禁止の決定として、引用・批判しているのが、この大阪朝日新聞 1941年11月18日付大阪朝日新聞記事で報じられた貴族院防空法改正案委員会の質疑内容である。 lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/Con… #地下鉄

2014-03-15 20:40:40
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

実際には、この委員会での「空襲下においては交通も混雑するから地下鉄はこれに当て一般避難者が避難にこれを用いるようにはしないつもりである」という答弁が、後の大空襲下での地下鉄の防空壕としての利用・あるいは避難民の輸送禁止の根拠となったとは考えにくいのではないか。(続) #地下鉄

2014-03-15 20:44:32
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

(承前)38年東京市資料で既に、日本の地下鉄は爆弾・毒ガス・浸水被害に対して脆弱であると指摘されているが、この答弁では、交通混雑緩和のために積極利用したいという意向が示されている。後に見るように実際にも、地下鉄含む公共交通機関は空襲下でもできるだけ運行を続ける努力が(続)#地下鉄

2014-03-15 20:54:08
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

承前)なされていた。 一方で、大阪朝日新聞のつけた「空襲下における地下鉄避難行わず」の記事タイトルからは、第一次大戦、そして直近の40年にロンドンの地下鉄が防空壕として役立ったことから、日本の地下鉄もそのように利用できるのではないか、という期待感と、それが裏切られた(続 #地下鉄

2014-03-15 20:57:42
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

承前)落胆が読み取れないこともないかもしれない。 おそらく、そういった現在進行形で空襲の猛攻に耐えていたロンドン地下鉄の事例は、民間に少なからぬ刺激を与えていたのであろう。 しかし前年40年に、当時内務省東京地方委員会所属の都市計画家、石川栄耀は、まさにリアルタイム(続 #地下鉄

2014-03-15 21:03:32
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

承前)で進行していたロンドン空襲に言及して、ロンドンの地下鉄と日本の地下鉄の違い(日本の地下鉄の脆弱性)に言及するのみならず、先の貴族院委員会の答弁にも連なるような、「地下鉄道の防空上の価値はかかる防空壕代用的なものでなく、空襲時に路上が混乱し電車、自動車が無秩序に(続)#地下鉄

2014-03-15 21:09:04
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

算を乱して停止せる時、唯一の交通機関としての必要性である。」ということを述べている。そして、現実にも、空襲下での地下鉄は石川の構想実現を目指して運用されていたように思われる。 twitter.com/semakixxx/stat… (続) #地下鉄

2014-03-15 21:11:46
小久保せまき @semakixxx

@torewolf 続きます。都市計画専門家で日本の防空体制構築に多大な影響を及ぼした石川栄耀は、昭和15年12月に以下のように述べています。ここでも、明確にロンドンを例示して、その違いと、日本の地下鉄の活用方法を述べていることに注目です。

2014-03-05 14:19:16
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

なお、せまきさんが引用している石川の発言は「土木学会誌 第二十七巻 第三号 昭和16年3月発行 (1941年)」(jsce.or.jp/library/open/p… …)収録の、「講演 帝都防空都市計画試案 石川 栄耀」pp.225-6 #地下鉄

2014-03-15 23:06:34
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

この講演で石川は以下のような発言もしている。 「我々は、此れを将来地下鉄道のルートとなす部分については、実施の可能性ありとし、計画に加へてゐる。 二.防護室 ホ.防空壕 防空壕に「専用のもの」と「他の施設を利用するもの」とある。 (中略) その配置等も他の同程度の(続) #地下鉄

2014-03-15 23:07:11
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

(承前)ものと相補ふべきものであるから、現地に於て周囲の情況より決定すべきものである。防空壕に代用すべき施設には次の様なものがある。  地下駐車場、横断地下歩道、地下鉄中二階、道路トンネル (中略) 横断地下歩道 此れは、交通頻繁なる箇所の為に横断地下歩道を設ける。(続)#地下鉄

2014-03-15 23:13:15
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

承前)その地下部分に広間を設け兼(?)用せんとするものである。 我々の考へでは、ここに地下便所、郵便ポスト、自動電話、変圧器等を備へ、一つの路上構造物整理広場に使ひ度いと思ふのである。 此れは、東京では既に30箇所計画決定せられ、その一つは事業決定を見た(20万円)(続)#地下鉄

2014-03-15 23:22:11
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

(承前) (1行削除) 地下鉄中二階 地下鉄中二階を防空壕として、利用する事は当然可能である。 ただ現在の出入口の構造は決して安全であると云へない。 殊に防毒施設等も何等施してないのは欠点である。此れ等の改造が必要である。」 pp.226-7 #地下鉄

2014-03-15 23:25:15
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

注目すべきは、 ・ロンドン空襲で地下鉄が防空壕として機能したことに注目して、地下の活用が考えられていたこと ・その際、防空施設としては脆弱な既存の地下鉄の流用よりも、地下道の新設で防空施設、(おそらく)空襲時の交通機能麻痺対策を兼ねようとしていたこと、である。 #地下鉄

2014-03-15 23:41:48
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

少しさかのぼるが、大阪毎日新聞 1938.1.24(昭和13)にも、「空襲下に自若! 縦横する地下鉄 衛星都市と高架で結ぶ画期的プラン愈よ本極りへ 十年後の“交通大阪”」(lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/Con…)という記事がある。ここでも、「敵機空襲下に(続)#地下鉄

2014-03-16 00:21:45
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

(承前)において大大阪の交通大動脈の重大役割を果すのは何といっても地下鉄だ」とされている。 しかし、先の石川のプランにしてもこれから少なくとも三年の調査を要する国土計画(p.200)とされているし、東京都資料についても、既存地下鉄の改造方策(pp.13-5)として(続)#地下鉄

2014-03-16 00:27:09
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

(承前)かなり抜本的な防空対策が述べられているが、反面、緊急性を有する課題として考えているようには思われない。 少なくとも、1940年時点での都市防空化とその中での地下鉄の活用は、今後10年単位の計画の中で語られていたのであり、5年後には本土空襲にさらされるなど、(続)#地下鉄

2014-03-16 00:30:52
トーレ@狼がドアの前で待ってる @torewolf

(承前)想定外であったということだろう。 #地下鉄

2014-03-16 00:31:14

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